イギリスを舞台にした幽霊話。ということで以前から気になっていたんだけれど、なかなか手にとらなかったのは、表紙のイラストが少々子供っぽかったせい。でも一冊読んだら、9冊一気に読めました。第一作がホワイトハート大賞の優秀賞受賞作で、応募した作品を手直しして文庫になり、そのままシリーズとして続いているようです。だから巻を追うごとに上手になっていくので、最初がちょっとどうかなと思っても第四作目くらいから落ち着いて楽しむことができます。いっそ途中から読んだ方がいいかも。最初の数冊は、妖精や幽霊があたりまえに現れるので、驚きます(笑)それから登場人物の容姿を形容する時に、何回も同じ言葉を使うのがちょっと困るかなあ。アマチュアからプロへ、だんだん変わっていく過程を見るような感じ。それでも一気に読ませてしまう力があるのは面白いと思う。作者のたどってきた読書歴をある程度、推測することができます。昔の少女まんがにどっぷりつかった人で、その上で、興味のある分野を自分で調べて、小説を書いている感じ。寄宿舎、お城、湖、妖精、幽霊、ケルト文化、お茶会、監督生、キーワードがいっぱい。無垢な主人公をはさんで、悪魔的な友人と守護天使の友人が綱引きをしているという(笑)。BL的要素はかなりはっきりあるんですが、それを目に見える形にする以前の駆け引きで済ませているところが美味しい。守護天使のシモンの性格がけっこう面白い。感情を細かく分析して折れるところは折れるところがあって。悪魔的なアシュレイは、作者の中でも最終的な性格付けが保留されているような感じです。主人公にだけは優しい、ということにするか、本当に冷酷な人間にするのか。主人公のユウリはわりと地味なんですが、なぜかもてるという。どっかのユーリと似ています。日英のハーフ。父親は子爵。(セルジュみたいね)母親は日本の格式の高い神官につながる家出身。ユウリには陰陽にくわしい従兄弟がいて、イギリスの妖精譚やケルトの宗教と日本の陰陽道みたいな話もからんで、和洋折衷幽霊譚も書けるかも。9冊のお話を終えたのに、ユウリの力は今目覚めたばかり、まだまだ続きそうで楽しみです。
投稿者 SOKE : 2004年08月04日 22:27