■ 2004年08月 3日 ■ <本>篠原美季『英国妖異譚8水にたゆたふ乙女』

今日発売の最新刊。とある女子学院には伝説があって、『ハムレット』を学園祭で演じようとすると、必ずオフィーリアが水の事故にあう。縁があってその劇に関わることになってしまったユウリは・・・・
これはかなりいい感じかも。モチーフはミレーのオフィーリアの絵です。『残酷な神が支配する』のオフィーリアを彷彿とさせる場面があります。そしてユウリを救うため協力するシモンとアシュレイなんてのも見られます。雨の降る日に寄宿舎から外をながめるユウリとか、川沿いの柳の木とか、河のほとりでピクニックする少女ふたりとか。そういう言葉にぴんとくる方は是非手にとって読んでみてください。途中から読んでも大丈夫。昔好きだったいろいろなものがふんだんに散りばめられた世界。しかも日英ハーフな霊感の強い主人公だ。陰陽師的世界も楽しめて盛りだくさんです。

追記
篠原さんが萩尾さんを好きだろうということは、第一作目からわかりましたが、この本を再読していて、かなりそれが根深いと思いました。萩尾さんの作品のいろんなものが血や肉になってる感じがしました。初読のときはきがつかないくらいさりげなくね。『トーマの心臓』だけではなくて、『銀の三角』とか。同じものを食べて育ってきた人がたくさんいるわけです。その上で独自の個性もあって、読んでいて楽しい。

投稿者 SOKE : 2004年08月03日 23:38
コメント
■ Posted by: よ : 2004年12月15日 22:58

読了〜。川の岸辺の柳の淡い緑、水に広がる少女の茶色い巻き毛、煙る霧雨。すごく絵画的で、心落ち着く光景。・・なんだけど、最初、読んでると、そういう心地よい風景に引き込まれそうになると、少年たちが、理屈を述べだすので、現実と物語の狭間を行ったり来たりするような落ち着かなさがあった。事件を語らなければ、いい感じなんだけど。どこか、借り物のような少年達に比べて、才気あふれるイザベルや、儚げなジュリアなど、少女の方が、いきいきと描かれていると思った。なんとなく、クリスティーに出てくる女優を彷彿として。ところが、後半3分の1辺り、ユウリが事件を解きだすと、とたんに、少年達が、魅力的に動き出し、無駄な言葉はなくなる。詩的でありながら、納得させるような謎解き。このために、前半の少年達の会話が、伏線として置かれていたのだと気づく。で、最初に戻って読み直すと、さっき退屈な言葉遊びに思えた会話も、意味を持って、面白く読める。そして、本を離れてみると、絵画のような物語の余韻と、ユウリの最後の言葉が残る。物語の場面が、寄宿舎でお芝居だから、ずっと小鳥の巣を思いながら読んでいたけど、あれは、トーマだったんだ。少年達の世界に惹きこまれる。好きと言ってしまうよりは、同じ思いですと言いたくなるような物語でした。

■ Posted by: SOKE : 2004年12月16日 00:04

作者は私達より世代が若いですが、24年組のマンガはかなり読み込んでいると思いますよ。血肉になるくらい。だから小鳥の巣だし、トーマだし、風と木の詩なの。そのへんは別項に記載。
http://park3.wakwak.com/~winter/mt/archives/000546.html
他のも面白いからお楽しみに。

■ Posted by: よ : 2004年12月18日 18:13

上記の項、すっかり忘れてたのに、それぞれに、同じ処に至るんだよねえ。そして、本棚の奥にしまいこんであった赤本を引っ張りだす。角のすりきれた赤本は、少し黄ばんで、懐かしい世界だった。そんな人が、何人もいるのかもと思うと、なんか、ちょっと嬉しい。

■ Posted by: SOKE : 2004年12月19日 10:18

赤本って大学受験みたい。第一期全集ですね。うちはいったいどこにあるのかわからない・・・

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