■ 2004年06月27日 ■ <本>立花隆『イラク戦争日本の運命小泉の運命』

このタイトルを見ただけで、本を買ってしまったので、私もこういう売り方に弱いということだろうな。おそらく7月の参院選をにらんで急遽編集出版された本で、立花さんには珍しく見切り発車的な荒さが残る。過去の講演記録と、月刊現代にこの一年の間に連載された記事をもとに構成されている。
日本の現在が、日中戦争の時の戦時体制(40年体制)をもとに築かれていること。アメリカは自国の利益にかなうときにはそれを支持し、相反するときは改革を迫っていること。小泉は改革を標榜して首相になったが、アメリカの意向を汲んだだけの改革は必ずしも成功していないこと。しかし、この数年の瀬戸際の日本経済を破綻させずに持ってきたことだけは評価できること。イラク戦争でアメリカ支持を打ち出したのは、全く世界情勢をわかっていないこと。イラク戦争の長期化と自衛隊の派遣で、何が起こっても不思議ではないし、何かをきっかけに一挙にいろいろな変化が起こるかもしれないこと。恐らく小泉は、在任中に憲法改正への端緒をつけることで、自分を歴史の中に位置づけたいと思っていること。しかし第九条こそが日本の繁栄の元になっているのだから、これは堅持すべきである。
大雑把にまとめるとそういう内容でした。おそらくこの本を出した立花さんの最大の意図は、最後の数ページに書かれた、アメリカの追従をやめて、日本の独自の道を歩めということを、この時期にアピールしたかったということでしょう。そういうやむにやまれない気持ちが伝わってきます。

しかし、どうしてこういう状況になるまでブレーキをかけることができなかったのか?というのが私の素朴な疑問です。小泉さんが経済の破綻をくいとめたにしても、政治的にやっていることはどう考えてもアメリカ追従だし。軽々とハードルを越えて自衛隊を外に出し、こんな状況になっても人道的援助などとお題目を唱えている。それを止めることができないのはなぜだ?それは自分に対する疑問でもあります。いったい何ができるのか。何もできないのか。選挙には「より少ない害悪を選ぶ」という意味すらないと思ってしまう。
立花さんの月刊現代の記事は、雑誌で読んだときもそうですが、こうして本にまとまると、やっぱりネットの時代にはあまりにも間があきすぎるということを感じてしまいました。そして情報ソースもかなり一般的なもので、独自取材ということが難しくなってきたかなと思いました。目まぐるしく変わる現実に、確実な論評を加えていくことは、立花さんにとっても難しいことなんだな、と思いました。

投稿者 SOKE : 2004年06月27日 18:12
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