■ 2004年05月 4日 ■ <本>『真珠の耳飾の少女』

今日は雨だったので、GWの家族サービスの遠出はやめて、家でごろごろしていました。
私は寝転っがて、本を一冊読み終わりました。『真珠の首飾りの少女』
オランダの室内の光と影の中で絵を描く画家を見つめる少女の話。

この小説を読んで、私が思い出したのはカンピオン監督の『ピアノ・レッスン』でした。靴下のほころびをなぞる指の描写を思い出しました。この小説には、全編そういうものがただよっています。あからさまな描写よりもよっぽど深いかもしれません。小さな女の子が狂言回しになっているところも似ている。これが第二作なんてとんでもないですが、ところどころに小さなあながあるので、ちょっとほっとする。あんまり早くからソツのない作品を書いてもらっても、つまらないじゃないですか。画家がもう少し書きこんであったらもっとよかったかなとも思いました。でも、そこまで言うのは贅沢かもしれません。

ストーリーの構成を把握する前に、物語に引き込まれたのは、主人公が女中として奉公に出る時の不安感や、しっかり仕事をしていくことの誇りが書き込まれているせいかもしれません。10人の家族の洗濯物を、一人で始末する。川から水を汲み、お湯をわかし、シミを抜き、日にさらし、アイロン(というより火のしだろうな)をあてる。真っ白でぴんと糊のきいた衣類をご主人一家に用意する。手間をかけ、時間をかけた生活が、美しい自然や町の中で営まれていた時代があったんだなと、思いました。

私の実家の書棚には五冊の美術全集がありました。美術史上有名な作品ばかり収録した入門書みたいな本でしたが、小さい頃の私は、時々本を広げて中の絵をながめていました。お気に入りは人物編の中のきれいな女の人の絵で、モネの日傘をさした女の人の絵や、アングルの伯爵夫人の絵とかがお気に入り。その本の中にフェルメールの絵もありました。ハチミツのような金色の光の中でレースを編む女の人。その絵の解説には、オランダ絵画の説明や、室内画をゆっくり見れば、航海に関する道具や、地図や、外の世界への窓がある、みたいなことが書いてありました。いつもは思い出しもしないけれど、あれは実は豊かな時間だったなあと思います。家に画集のひとつも置いとくべきだなあ。チビたちのために。(今市子画集とか、波津さんの画集はあるけれど)

http://www.cacr.caltech.edu/~roy/vermeer/thumb.html

で、今日は映画をレイトで見に行くつもり。この作品がアカデミー撮影賞に匹敵する映像で見られるなんて、楽しみだわ。

(ネタばれを含む感想)↓

表題の絵が写真のように細部まで丁寧に描かれていて、それでいてこの画家にしか描けない絵で、振り向きざまの少女の目がいろんなことを語っているのと同じように、この本も丁寧な描写を積み重ねて、この作家にしか書けない文章で、少女の心の動きを伝えてくれます。小説の中で「この絵には欠けているものがある」と少女が気づき、その場所に欠けているものをはめこんだとたんに、物語はクライマックスを迎えます。本を読み終わって、表紙の絵を見ると、真珠の耳飾が、確かに絵の中心に無くてはならないものとして存在していることに気づかされます。そうして、読者はこの本を書いた作者の並々ならぬ力量にうならされるのでしょう。しかもラスト、それすらもただの物として扱って日々の暮らしに戻る主人公にもう一回驚く。少女とはいうけれど、これはなかなかしっかりした性根の女性なのだ、と。彼女は一番大切なものを手に入れたので、目に見えるものなど必要ないんですね。・・・

投稿者 SOKE : 2004年05月04日 18:49
コメント
■ Posted by: pom : 2004年05月04日 20:43

一日で本を一冊読むあなたもすごいけど他にしなければいけない雑用などはないのですか?この投稿を読んで私も見た〜いと思うのですがなかなか外出できません。
また感想を楽しみにしています。結構寝る時間が遅い人ですよね。私は規則正しい生活をしないとひどくなったりすることがあるので、早く寝て適当な時間に起きています。

■ Posted by: pom : 2004年05月04日 20:47

確認するつもりが投稿を押してしまったので文がヘンだ。まぁいいか。言いたかったことは、たまには健康のために早く寝た方がいいよって言いたかっただけ。

■ Posted by: soke : 2004年05月04日 23:57

大丈夫〜連休だからちょっと生活が不規則になってるだけ。いつもは12時には寝てるのよ。そして朝五時に目が覚めてしまう年寄りのような体質になりつつあるところ。雑用を全部片付けてからとか言ってたら、本も映画も最後まで楽しめないんだよね・・・どっちをとるかということだろうと思います。

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