■ 2004年04月30日 ■ 第三夜「ポーの一族」

さてーものすごく期待してみると少し肩透かしをくらった気分になるんですけれど、正攻法で作った番組でした。基本情報が行き届いていて、まちがいはないけれど、お手ごろなキーワードに収束させてしまったのはどうかなあ。今回は驚きとかそういうものはなかったな。・・・あ、すごくびっくりしたことがひとつだけ。ネットの皆様を生で拝見したこと(笑)

今回、キーボードでメモを取りながら見ていたので、細かい内容を書こうと思えば書けるんだけれど、うーん・・・書くほどでもないかなあ。番組としてはよくできてると思うのよ。でもね、物足りない。物足りなかった。こんなもんじゃないでしょう。どうしてそんなふうに思うのか、もうちょっと考えてから、また感想を書くことにします。

30分ほど考えてみました。(笑)
番組の最初に「小さい頃は変わった子だった」というナレーションが入った途端に、悪い予感はしていたんだ。社会から疎外される存在とか、対人関係がうまくいかない、とかその方向に行きそうで。そうしたら、ほんとにそれでまとめちゃったのね。それは萩尾さんの個人的な生い立ちとか性格もあるだろうけれど、当時のマンガはみんなそういう不安についての作品を描いていたように思います。「女の子であること」「マンガを描いていること」「高度成長期の時代に生活の役に立たないものに、思いをはせていること」そういうことで、自分達が社会から外れていると感じて、それでもここにいるんだと主張する作品は枚挙にいとまがないと思う。そして、そういう時代背景と、個人的な背景があって作品が成立したとしても、なおかつこの作品がそういうものから離れて価値を持っているのは何故か・・・と、そこまでつっこんで欲しかったかも。そこまで考えて、じゃあ、自分で説明できるか?と自問自答して、簡単には答えられないかなあと思いましたけれど。
「エドガーは萩尾さんだ」という言葉も、あんまりピンとこなくて。エーリクでもオスカーでもユリスモールでもなくてエドガーなのかな。ほんとうに?私は阿修羅王の方が近いと思っていたんですけれど。光瀬さんのキャラで都合が悪ければ、レッド星とかね。エドガーよりももっと能動的な感じがするけれど。うーん、このへんは登場人物はみんな作者の分身という獏さんの言葉が正しいかな。

萩尾さんの作品がデビュー当初からいかに完成された絵と話を備えていたか。その上で、ポーの一族があって、追い討ちをかけるようにトーマの心臓があって・・・そのへんを上手にすくいとることは難しいかなあ。マニアのないものねだりかしら。作者の言葉がたくさん聞けたのはよかったわ。萩尾さんは年をとるにつれて、どんどん語りが上手になってきたような気がする。若い頃は内側に向かって話しているような感じだったのが、今は外に向けて話をされている。どんどん明晰になっていく感じ。このおだやかな人の中から『残酷な神が支配する』や『バルバラ異界』が生まれてくる不思議さを感じつつ、見ていました。

キリアンの行方や、ポーの続編については、私はさほど思いいれはないの。絵も、お話も本当の続きになるわけないし。当時の作品だけで十分だと思う。でも、現在の萩尾さんの作るコスチュームプレイは読みたい。彼女の今描く「物語」はどんなに面白いだろうと思う。ほんとに描いてほしいなあ。ポーの続編じゃなくて、パラレルでいいから。あの言葉はちょっと楽しみだわ。

投稿者 SOKE : 2004年04月30日 00:02
コメント
■ Posted by: くーみん : 2004年04月30日 00:45

それは、作っている人に迷いがあるんじゃない?
こんな濃くて、その筋の人しか喜ばない番組を作っていいのかって。いいのよ、NHK!
だって、口コミで放送時間の変更まであちこちから流れて来て、
別コミの目次の前みたいな時間帯に放送しているんだから。

そして、物語りはどうなるのか?
未完で完全に閉じていないことが、魅力だし、あの時しか描けなかったという魅力がアルと思う。
そういう感じがかぶっていたように思いますが。

それから、竹宮さんとか、とか、、、またこのシリーズを続けて欲しいと熱望します。NHK様。

■ Posted by: soke : 2004年04月30日 01:12

珍しく、くーみんさんがNHKに優しい言葉を。すいませんね、萩尾さんの作品については、私、客観性ナシです。よくできた番組だよ。でも、もっと何とかしろ、と無いものねだりを言っちゃいますね。獏さんが完全に読者モードでにこにこ語っているのがおもしろかった。佐野史郎が吸血鬼ものを好きだというのも、なんか変でおもしろかった。
その筋の人って?(笑)その筋の人が知ってるようなことは全部省いて、もっとテーマを掘り下げろよ!NHK!(←ほとんど駄々っ子)

■ Posted by: 茶 : 2004年05月01日 03:48

くーみんさん、初めまして。
>別コミの目次の前みたいな時間帯
というのに、受けてしまいました(^^)
これ以上マニアックにやるにはハイビジョンの丑三つ時ぐらいでしょうか〜。

あまりTV向きではないかも知れないお人なので、画面で見る時には実はハラハラ(ほとんど身内意識)、でも今回は穏やかな空間が作られていて、細い声もお茶目な手ぶりも愛情こめて撮られている感じがしました。
夢枕さんが優しくてほのぼのしましたね〜(^^)
とてもマトモな番組だと思いました!
再放送したら前のも録画しようっと。
あとどうすれば満足が行くかってのは‥‥‥難しいですね‥‥(^^;

■ Posted by: soke : 2004年05月01日 19:45

茶香さんは、もしかしたらじかに会われたことがあるのかな・・・という気がしますが、驚きません(笑)もっと知らないことを教えてくれたら、きっと満足できると思うんですけれどーあと、関係者のインタビューですね。萩尾さんと竹宮さんの対談とか、大泉荘にいた人たちの座談会とか。どれも実現しそうもないですけれど。

■ Posted by: 茶 : 2004年05月01日 23:24

お見かけしたことなら3、4回ありますよ〜うふふ。サイン貰ったことも。でも個人的にお話したわけではないのです〜もちろん(^^;
知らないことを知りたい!んですか〜?そんな‥‥総合で全国に放映しちゃうなんて勿体無い!?
自分の内面って‥そんなの当たり前だろー?と思ってしまいましたが、他の漫画家だとこのフレーズとりたてて出ないですかね‥

■ Posted by: soke : 2004年05月01日 23:55

やっぱりね〜そういえば勝負服の方とかも(笑)
『ボヴァリー夫人は私だ』とか?あえて言わなくてもみんなそうなんでしょうね。
お話がふってくるみたいな話はよかったですね。
それは作者にとっても、読者にとっても幸せ。
私が見たいのは、もっと好奇心を刺激してくれるような、新しい見方とか解釈とか考察とか情報です。
見ている最中もわくわくどきどきするような。
素材がいいのに、作れないのは腕が悪い(笑)

■ Posted by: よ : 2004年05月03日 13:06

この頃、もう私は、マンガを卒業しようとしているもかもと思う。面白いと思うことはあるけれど、その場限りで読み流してしまうので、わざわざ手に入れることもなくなってきたし、昔からの大切なマンガも、改めて、手に取ることはない。あの頃の読んでいた自分も含めて、全てで丸く収まった思い出が、だんだんおぼろになって、大切にしまわれている感じ。だから、今回も、わざわざは見ないと思ってたけど、やっぱり、萩尾さんだけは見ちゃった。よかったよ。その日の内に、書き込もうと思ったほど。
デコラティブな部屋や、母親の世代のような服装や、残酷な・・にしても、なんとなく、隔絶された世界に住んでいる人のような気がしていたけれど、<30になって、澱がふってきて・・>というその一言に、共感した。萩尾さんの人生と、私の人生は、全く違うものなんだけれど、同じように、歳月は降り、あの頃の輝きはなくしてしまったけれど、その澱やくすみを大事にして、今にあるという感じ。あの頃と同じ気持ちで、大好きなポーやトーマにひたることは、もうできないし、萩尾さん自身ですら、もはや、思い通りにはならない。そのことを、きちんと知っていて、この澱のたまった人生に満足しつつ、戻らないあの幸福な一時を、萩尾さんと語り合ったような気がして、とても満足した。
やっぱり、萩尾さんて、好きだなあ・・

■ Posted by: soke : 2004年05月03日 17:04

よっちゃん、それって、生活に追われてるんだと思うよ。あと10年・・・いや、8年くらいしたら、違う風に思えてくるかもしれない。でも、昔と同じ時間が帰ってくることはないというのは本当だけれど。「少女まんが」っていうくらいだから、少女でなくなったら描くのも読むのもギャップがあるかも。だからエドガー達バンパネラの設定はすごいの。時間を止めちゃったから。「死すべき運命の人間達」は、永遠の時間を思って涙したり、心を慰めたりするのかもね。ポーと指輪で何か書けるかも。

■ Posted by: よ : 2004年05月04日 11:25

そう。疲れているのかも〜、と思わないではない。時間はあるの。ないのは、心のゆとり。こぼれていく時間を惜しむ一方で、この40のまなざしで、いろんなことを見たり、考えたりできることに満足している。人は、自分の見たいモノを見るのね。
ビルボも、フロドも、エドガーも、時を止めたのは、身体だけ。心には、いろんな歳月の澱が降り積もり、老いていくから、疲れちゃったんだね。ただいま、指輪2巻に突入。ビルボの<薄っぺらになって、疲れてしまった>という言葉が、ひとしお心に残ります。
それにしても、フロドって、50歳なんだね。イライジャの風貌に、50のまなざし。・・こわい。
今までのところ、フロドの葛藤は、青年の葛藤とばかり思っていたけれど、もっと重い意味を持つのかと期待させられて、これからが楽しみです。

■ Posted by: soke : 2004年05月04日 11:28

よっちゃーん。今から指輪を楽しめるんだ。それはすごく幸せなことだよ。ゆっくり行ってらっしゃい。映画から入って(って、見たんだっけ?)原作を読んだ感想を聞かせてくださいね。

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