読了〜。川の岸辺の柳の淡い緑、水に広がる少女の茶色い巻き毛、煙る霧雨。すごく絵画的で、心落ち着く光景。・・なんだけど、最初、読んでると、そういう心地よい風景に引き込まれそうになると、少年たちが、理屈を述べだすので、現実と物語の狭間を行ったり来たりするような落ち着かなさがあった。事件を語らなければ、いい感じなんだけど。どこか、借り物のような少年達に比べて、才気あふれるイザベルや、儚げなジュリアなど、少女の方が、いきいきと描かれていると思った。なんとなく、クリスティーに出てくる女優を彷彿として。ところが、後半3分の1辺り、ユウリが事件を解きだすと、とたんに、少年達が、魅力的に動き出し、無駄な言葉はなくなる。詩的でありながら、納得させるような謎解き。このために、前半の少年達の会話が、伏線として置かれていたのだと気づく。で、最初に戻って読み直すと、さっき退屈な言葉遊びに思えた会話も、意味を持って、面白く読める。そして、本を離れてみると、絵画のような物語の余韻と、ユウリの最後の言葉が残る。物語の場面が、寄宿舎でお芝居だから、ずっと小鳥の巣を思いながら読んでいたけど、あれは、トーマだったんだ。少年達の世界に惹きこまれる。好きと言ってしまうよりは、同じ思いですと言いたくなるような物語でした。
作者は私達より世代が若いですが、24年組のマンガはかなり読み込んでいると思いますよ。血肉になるくらい。だから小鳥の巣だし、トーマだし、風と木の詩なの。そのへんは別項に記載。
http://park3.wakwak.com/~winter/mt/archives/000546.html
他のも面白いからお楽しみに。
上記の項、すっかり忘れてたのに、それぞれに、同じ処に至るんだよねえ。そして、本棚の奥にしまいこんであった赤本を引っ張りだす。角のすりきれた赤本は、少し黄ばんで、懐かしい世界だった。そんな人が、何人もいるのかもと思うと、なんか、ちょっと嬉しい。
赤本って大学受験みたい。第一期全集ですね。うちはいったいどこにあるのかわからない・・・