ウエスト759
WEST 759
*中島悟もドライブしたミニ・フォーミュラ:ウエスト759*
-* WEST 759 *-
('75 JAF-GP:中島悟)
1975年、FL500のレースシシーンで、もっとも活躍したのがWEST 759と中島悟でした。当時のFL500には、東の雄・スズキ板金、F1も作った小島エンジニアリング、ハヤシ、鴻池スピード等、そうそうたるチームが参加していました。その中、WEST 759は、ベルコ・ウエストというコンストラクターが開業2年目にして作り上げたマシンでした。
ベルコ・ウエストは、横浜にある鈴木板金(ベルコ)の兄弟店として、滋賀県草津市にオープンしました。友人がFL500を買うというので、品定めにいっしょについていった神谷氏が、フォーミュラーカーに魅せられ、鈴木板金一年間、武者修業にでかけたのち、1973年12月に開業しました。
そして、初めて作ったマシンがWEST 759です。そのマシンは初めて作ったとは思えないまとまりを見せていました。その作りは、当時のFL500を模範にするのではなく、F1を模範にしていたようです。
マシン全体の印象はかなり大柄で、当時のFL500がミニチュアフォーミュラーのような印象の中で、フォーミュラーカーしてバランスのいい感じを受けました。
フロントノーズは、マクラーレン風のウェッジシェープ(一部にはUOPシャドウという人もいましたが)。当時のFL500といえばスポーツカーノーズか、極単に細いものが主流の中、ダウンフォースを意識した平らなウェッジノーズは新鮮であり、また、かっこよく思えたものでした。
ボデーは、ブラバムからヒントを得たと思われる三角モノコック、底辺角が70度のもので、どちらかというと三角というより台形を成形し、低重心で安定感のある印象を与えるものでした。
フロントサスペンションはフェラーリ風のもので、Aアームの前側のアームが伸びてロッカーアームとなって、ダンパーユニットを押し下げるインボードタイプのものでした。最初のうちはアーム強度が足りず、数週走ると、アームが変形し、フロントの車高が変わってしまったそうです。パイプ板厚を上げ、対策した後はそんなことはなくなったそうです。
ラジエターは、モノコックの後端に、かなりの後退角を持って取り付けられ、リヤタイヤとの間を埋めていました。70度の角度をもったモノコックに、正方形のラジエターを後退角を持って取り付けるには、三次元に傾ける必要があり、違和感なく取り付けられていたのが『センスがいいな』と思わせました。
エンジンはスズキ水冷3気筒(もちろん2サイクル)、413cc、出力は約70ps。
このマシンは、1975年4月の鈴鹿2&4に中島悟が乗ってデビューし、一周も走ることなく、第3コーナーでアクセルワイヤーが切れ、リタイヤしました。が、そのごの活躍はすざましいものがありました。2戦目は雨の中、トップでスタートした後、スピンしてしまい2位、9月の鈴鹿グレート20で優勝、11月のJAFグランプリも優勝、76年1月のガーネット優勝と3連勝を飾りました。もちろん、中嶋悟のドライブで。
-* WEST 759 *-
(デビュー戦:雨の '75日本GP・中島悟)
全長 | 3300mm(ウイング含む) |
ホイールベース | 2070mm |
トレッド(フロント) | 1280mm |
トレッド(リヤ) | 1280mm |
重量 | 238kg |
モノコック重量 | 28kg |
モノコック長さ | 1624mm |
モノコック幅(上) | 580mm |
モノコック幅(下) | 820mm |
エンジン | スズキ水冷3気筒 |
ボア・ストローク | 56.0x56.0mm |
総排気量 | 413cc |
出力 | 70PS |
ミッション | 4速 |
エンジン | スズキ水冷3気筒 |
サスペション(Fr) | ダブルウィッシュボーン (上下・Aアーム) |
サスペション(Rr) | ダブルウィッシュボーン (上・Iアーム、下・Aアーム ラジアスロッド) |
ダンパー | コニ・アジャスタブル・スペシャルD |
ブレーキ(フロント) | ディスク |
ブレーキ(リヤ) | ドラム |
ホイール(フロント) | 6.5J |
ホイール(リヤ) | 6.5J |
タイヤ(フロント) | 130/450−10 |
タイヤ(リヤ) | 170/450−10 |
関連LINK [West 759]
West Racing Cars
West Racing Cars
http://www.west-racing.co.jp/