UOPシャドウDN3
UOP-SHADOW DN3
*黒い深海魚?:UOPシャドウDN3*
-* UOP-SHADOW DN3 *-
(J.P.ジャリエ)
シャドウDN3は、P.レブソン(アメリカの化粧品メーカー・レブソン社の御曹司)のドライブで1974年のF1を戦うはずのマシンでした。しかし、南アフリカでのテスト中、事故により、P.レブソンは他界してしまいました。DN3は、J.P.ジャリエとB.レッドマンの若手二人で戦う羽目になってしまい、その結果、たいした戦績は残してはいません。でも、なかなか、かっこいいマシンでした。
DN3の最大の特徴は、そのスタイリングにあったと思います。動物が持っているような美しい曲線で構成されたボデーカウルで包まれていました。海の中を悠々と泳ぐエイ、またはサメのようでした。全体的にはウィッジシェイプを形成しているのですが、どこを見ても直線が見出せないような複雑な曲線のボデーは、自然界の合理性のようなものを感じさせました。(最近でも、イルカをテーマにした乗用車がありますが・・。)
当時、エアインジェクションポットの高さ制限はなく、DN3はかなり高いエアポットを備えていました。そして、そこには、スターズ&ストライプ(星条旗)が描かれていました。
ディメンジョンを見ると、ホイールベースは2667mm、トレッドはフロント:1473mm、リア:1524mmで、かなりのロングホイールベース、ショートトレッドでした。ロングホイールベースの代表格:マクラーレンM23のホイールベースが2647mm、ナロートレッドの代表格:ブラバムBT44がF/1524mm、R/1448mmでしたから、DN3はかなり特異でした。
サスペンションは、4輪ともアウトボードのダブルウィッシュボーン・タイプで、また、リアにはダブルコイルスプリングが採用され、プログレッシブ特性が与えられていました。当時としてはめずらしい、チタン合金が、コイルスプリングやステアリングアーム等に採用されていました。
この車のデザイナーはT.サウスゲートで、彼のデザインの特徴であった、フロントオイルクーラーレイアウトを採用していました。彼の設計した車はシャドウ、ロータス78、アロウズとフロントオイルクーラーでした。また、彼は、ローラ在籍時代に、ホンダRA-300にも携わっていました。
オランダGP以降、このマシンをドライブした、この年デビューしたばかりの新人T.プライスの活躍は、すばらしいものがありました。イギリスGPの予選初日に、トップタイムをマークして見せたり、チームNo1ドライバーのジャリエの前を走って見せたりで、あっという間に、ジャリエと共にジョイントNo1の座を得てしまいました。私の好きなドライバーの一人でしたが、77年、南アフリカGPで、コース上を事故の処理に向かった係員の抱えていた消火器を頭に受け、他界してしまいました。彼は、ずっと、シャドウに乗りつづけていましたが、シャドウ以外の車に、ぜひ一度、乗って見てほしかったと思います。一流チームで、戦わせてみたかったドライバーでした。
私のオートバイ用ヘルメットは、今でも、T.プライスと色違いです。
-* UOP-SHADOW DN3 *-
(T.プライス)
ホイールベース | 2667mm |
トレッド(フロント) | 1473mm |
トレッド(リヤ) | 1524mm |
ホイール(フロント) | 13x10 |
ホイール(リヤ) | 13x18 |
総重量 | 574kg |
エンジン | フォード・コスワースDFV |
エンジン型式 | 90°V型8気筒 |
バルブ型式 | DOHC 4バルブ |
総排気量 | 2993cc |
ボアxストローク | 85.6x64.8mm |
圧縮比 | 11.0 |
燃料供給装置 | ルーカス間接噴射 |
点火装置 | ルーカス |
ギヤボックス | ヒューランドFL200 |
ブレーキ | ロッキード |