懐かしのレーシングカー:My Dear Old Racing Cars

ブラバムBT42-44

Brabham BT42-44

*ロブスター・クロー(蟹のハサミ):ブラバムBT42-44*

Brabham BT44
-* Brabham BT44 *-
(富士スピードウェイ)


1973年に、ゴートン・マーレイの設計によりデビューしたのがBT42です。それまで、ブラバムのマシンは、トーラナックがデザインしていました。(BTのTはトーナラックのTです。BはもちろんブラバムのB。トーナラックは、ラルト・カーズを設立し、後に、ホンダと組み、F2を席巻しました。)BT42は、エクレストン率いる新体制になった新生ブラバムが作った最初のマシンでもあります。(前年、トーナラック設計のBT34の改良型であるBT37もありますが・・・。)

Brabham BT42

 ショートトレッド、ショートホイールベース、2分割のラジエターを内蔵したスポーツカーノーズ、三角形のモノコックと、実に個性的なマシンでした。三角形のモノコックは、DFVエンジンの取り付けか容易なように、90度でヘッドの取り付けブラケットにフィットするようになっていました。また、低重心化にも貢献していました。この三角モノコックは、のちにMRBやサーティーズのマシンにも影響を与えました。(BRM P201、サーティーズTS19、参照)

Brabham BT34  フロントの2分割ラジエターは、トーラナックがBT34(右絵)で試みたものでした。その見た目から、『ロブスター・クロー』『蟹の爪』と呼ばれました。当初、ラジエターを通った空気が直接フロントタイヤ、フロントブレーキ、フロントダンパーに当たるため、熱による悪影響が心配されましたが、思ったほどでもなく、このラジエター方式もいろいろなマシンに採用されました。
この年、ブラバムはロイテマンが16ポイント(7位)、フィッティパルディ(兄)が3ポイント(15位)とまずまずの成績をあげました。

Brabham BT42
Brabham BT42(上下)
Brabham BT42

Brabham BT44 翌年、1974年、ブラバムはBT44をデビューさせました。外見は、スポーツカーノーズがスマートになり、また、フロントサスペンションがプルロッドタイプのセミインボードへと変更されました。この方式は、プログレッシブレートが採用しやすく、また、構造が非常にシンプルで、のちに、ブラバム式といえば通用するほどのメジャー方式となりました。

ショートホイールベース、ショートトレッドのマシンは、非常に軽量に作られ、高い運動性能と最高速を備えていました。

Brabham BT44 デビュー戦のアルゼンチンGPでは、トップを快走中、エアボックスが外れるという不運に会い、勝利を逃しましたが、戦闘力の高さを証明しました。

カルロス・ロイテマンはこのマシンで、南アフリカ、オーストリア、アメリカGPと3勝をあげ32ポイント、最終のアメリカGPでは、ロイテマン、パーチョの両カルロスの1・2フィニッシュで締めくくり、新生ブラバム最良のシーズンとなりました。

翌1975年は、マルティニカラーにペイントされたBT44Bでシリーズを戦いました。ロイテマンとパーチョはコンスタントに得点を重ね、優勝こそ各1勝(パーチェがブラジルGPで、ロイテマンがドイツGPで)づつしか上げれませんでしたが、ロイテマン37ポイントシリーズ3位、ペイス24ポイントシリーズ6位、コンストラクターポイントで2位を得ました。

Brabham BT44
フロントタイヤにこんなカバーを付けて現れたこともありました。フロントタイヤの空気抵抗を減らそうと言うアイデアだったみたいですが、認可されなかったように思います。(BT44)

Brabham BT44
-* Brabham BT44 *-
(富士スピードウェイ)


 BT42BT44
ホイールベース2388mm2413mm
トレッド(フロント)1422mm1422mm
トレッド(リヤ)1448mm1448〜1549mm
ホイール(フロント)13 x 10
ホイール(リヤ)13 x 17
総重量575kg
エンジンフォード・コスワースDFV製
 エンジン型式90°V型8気筒
 バルブ型式DOHC 4バルブ
 総排気量2993cc
 ボアxストローク85.6x64.8mm
 圧縮比11.0
 出力450PS490PS
 燃料供給装置ルーカス間接噴射
 点火装置ルーカス
ギヤボックスヒューランドFG400
ブレーキガーリング