2001年ドイツへの旅 その2

前回までのあらすじ

ドイツになんとかやってきたわたしたち、いきなりロストバゲージの憂き目に遭う。しかも出先で鼻血まで。一日目は着のみ着のままだったものの、二日目の夕方なんとか荷物到着。しかし二つのうち一つがうちらのじゃない!ドイツ人のだ!哀れドイツ人の荷物を送り出し、待つことしばし。みごと最後の荷物も届いたものの、預けた鍵が届いてなくて開けられない。

って全然「旅行内容」が書いてないな。

鍵はすでに行方不明になったもの、と取り返すことをあきらめた。というのも、鍵をなくした荷物はハードケースではなく、ナイロン&ジッパーの、キャリーつきソフトケースについていた南京錠の鍵だったからだ。ラッキー(って本当にラッキーなのか?)
ホテルのフロントに頼んで、鍵を壊してもらった。ほっ。これで全部自分の荷物が使えるよ。

9月19日(水)天気:Stuttgart:晴れ;Hamburg:曇りのち雨  気温:16度くらい

昨日の失敗を教訓に、今度は正しく「追加料金なしに朝食を食べられる場所」を聞き出し、そこで朝食。パン、コーヒー、紅茶、ジュース、チーズ、ハムなどが用意してあり、セルフサービスで勝手に取って食ってくれ、という無人の部屋だった。「こういう方がいいよね」と言いながら食べていると、アメリカ人ビジネスマンががやがやと登場。
普通、団体のアメリカ人というのは、それはそれはうるさいものなのだが、このときのアメリカ人はエリートなのか(←勝手に決めつけ)、静かに話をしながら、テレビ(テロのニュース映しっ放し。音声は流れていない)を見ていた。

空港に行くまで時間があるので、のんびりテレビ観賞。朝や午後の早い時間は、ドイツではアニメ、それも日本のアニメをやっている確率が高い。見てみると、案の定やってる!
内容は、どっから見ても「セーラームーン」のパクリとしか思えないもの。そして高校生らしいのに、なぜかウエディングドレスを着ている。わからん!
エンディングを見たら「ウエディング・ピーチ」というものだった。知らないなあ。(帰国後調べたら、同名タイトルで数年前に放映された作品だったことがわかった)

車でシュトゥットガルト空港へ。なにしろチュービンゲンに行く途中にあるので、何度も通った道。すいすいである。レンタカーを返してチェックイン。人があまりいない。
昼食にはちょっと早いので、一度言ってみたかった「カードメンバーのラウンジ」というところに行ってみた。
クレジットカードを見せると、(名義人である)相方は無料、私は10マルク取られた(成田は無料だぞ!)。コーヒーなどの飲み物一杯無料で、雑誌がたくさん置いてある。とりあえず芸能系週刊誌をいただいた。ヘルツォーク元大統領、結婚したのか。ふうん。
ラウンジには私たち以外、事務のおばさんしかいなかった。ネットに接続するディスプレイがあったので、早速自分のサイトに接続。おっ!日本語が表示できるぞ!図に乗って掲示板に行ってみる。化け化け(なぜ??)誰か書き込んでくれているらしいが、見られないのが残念。表紙にしておく(が速攻でおばさんに元に戻されていた。ちっ!)

またまたユーロウィング。今度は荷物を乗せてくれよ、と思いながら乗る。お昼近かったのだが、前回食事が出たので、今回も?と食べずに乗ったら、ジュースしか出なくてがっくし。でも革張りシートは本当に快適。一時間ほどでハンブルクに到着。

待ちきれなかったので、ハンブルクの空港でお昼。またまたヴルスト(ソーセージ)。でもねえ、本当においしいのだもの。

タクシーにてホテル「フィア・ヤーレスツァイテン(Vier Jahreszeiten)」へ。ここが今回の目玉宿泊である。なにしろ、ドイツが世界に誇る高級ホテルだ。まあどうしましょう。とりあえずこんな感じ。

フィア・ヤーレスツァイテンの廊下
ホテル フィア・ヤーレスツァイテンの廊下

鍵もカードではなく、昔からの真鍮製の大きな鍵。いただいて部屋に案内されると、寝室・居間・メイクルーム・バス・トイレ別・バスにシャワーブースあり、というものすごい部屋だった。

泊まった部屋
泊まった部屋の居間のテーブルから寝室を望む

しかし残念だったのは、一望できるはずの内アルスター側ではなくて、部屋が中庭に向いていたことだ。リクエストしておけばよかった…でもまあ、このホテルでもっとも安い部類の部屋なんだろうから、仕方ない。

一休みしてさっそく散歩へ。アルスター湖畔のカフェ「アルスターパビリオン」にてお茶。私は旅行にきて初めてのケーキを注文。(゚д゚)ウマー
ところで隣の席のオヤジが頼んだもの、中華せいろに入っている。なんだ??
と思ってると、オヤジ、割り箸(明らかに日本製)を割って、器用に箸を使って食べている。すげえ〜!でも、カフェで中華ってあーた。

しばらくこちらでケーキを楽しんでいると、なにやら匂いが。
シュ、シュ、シューマイくせえっ!
そのオヤジ(もちろんドイツ人である念のため)が食べていたのはシューマイだったのだ。
それにしても、私たちは匂いのもとがシューマイだとわかるからいい。他のドイツ人はどうするんだ。「なんだこのにおい???」とか思ってるだろっ!

ハンブルクには、帰国前に一度来たことがあるのだが、どこに何があるか綺麗に忘れている。前回プラダのドレスを7000円くらいで買えた、あのアウトレットに行きたいのだが、相方ともども場所がわからない。でも、おかげで随分散策できた。
相変わらず路上に「あきらかにヤク中」の人が物乞いをしている。目がくぼんでいて死んでいて、もともと色が白いので、本当に映画に出てくる「麻薬中毒」みたいで、怖い。必死で目を合わせないようにする。

夕食はじゃがいも料理のクナイペ(バー)兼レストランのような場所で食べた。当然「ブラットカルトッフェルン(じゃがいも炒め)のセットで、メインを季節のもの「マチェスフィレ(にしんのフィレ。塩漬け?生のもの)」にした。
しかし着てみたら、マチェスは三匹分くらい、じゃがいもにいたっては、小さいフライパンいっぱいである(じゃがいもは二人分)。いやいや、まじで太るぜってもう太ってるけどさ。

重い腹を抱えてホテルへ。テレビをつけると、「クイズ・ショウ」というのを一日に何度もやっている。見ると、どうみても「ミリオネア」のパクリ。ホンモノの「ミリオネア」は明日あるらしい。見てみよう。

9月20日(木)天気:曇りと通り雨の繰り返し  気温:14度くらい

ちなみにこのホテルは「朝食つき」の値段だったので、大威張りで朝食のホールへ。隣のテーブルで一人朝食を食べるにいちゃんが、ものすごくかっこいい!なんだろう、モデルかなあ、ドイツ人じゃないよね(ラテン系?)有名人かもしれないよね、どっちにしてもお金持ちなんだろうなあ、こんなところで一人で泊まれるんだから(←自分たちが貧乏であることは完全に棚にあげている)。おかげで楽しい朝食であった。
ところで、シュトゥットガルトのホテルはアメリカ系だったせいか、アジア人(韓国人)が見受けられた(そのご一行のメンバーと思われた)が、このホテルにはいない。

電車でブレーメンへ行く予定だったが、変更してレンタカーを借りることにした。予約がないので、3軒くらいから「空いているのはないんですよお」と言われたが、やっと一軒貸してくれるところを発見。「一番小さいので」と言ったら、出たよ、また「フォードKa(カー)」。なんでいつもコレなんだよ?

アウトバーンを走ってブレーメンへ。一応130キロくらいは出しているのだが、抜かれる抜かれる

着いてみると、ブレーメンはただいま一大工事中だった。

「ブレーメンの音楽隊」
とりあえずお約束 ブレーメンの音楽隊の像

ちなみに「ブレーメンの音楽隊」の像は、「ヨーロッパ三大がっかり」物件と言われている。何がって、こうやって「像」だけ写真に収めるのが大変なのだ。だって市役所のカゲにあるし、大きさも二メートルちょっとくらい(全体で)しかない。ブレーメンに来たい人は、これを目当てに来ては絶対にいけない。

ローラント像
ブレーメン市民のシンボル ローラント像

名所のひとつ、市庁舎が思いっきり工事中でがっかり。
ドイツの一大チェーンデパート、カールシュタットへ。本のコーナーを見ていると、日本の「まんが」を発見。その名も『漫画』で、主にドイツで放映されたアニメの原作をドイツ語訳してあるペーパーバックである。あるある、「らんま1/2」に「Dr.スランプ」に、「セーラームーン」。とりあえず記念に何か買おうと思ったが、一巻で終わるものがなかなかなく、しかたなく武内直子の「セーラームーン」じゃない短編とかいうのを買った。学園ものらしく「センパイ」の語義が欄外で説明してあったりして面白い。でも、開きが全部逆だから、ウラ焼きしてあるのよね…
たまたまそのとき、一人でレジに向かったところ、レジのおじさんにものすごくにっこりと笑いかけられた。
子供だと思われてる?

市の郊外にある、住んでいた場所へ。
おお、変わってない。
しかし相方行きつけのクナイペ「Bei Hilde(バイ・ヒルデ=ヒルデのもとで)」は、外見内装(多分)そのままで、別のお店に変わっていた。ヒルデさんにはずいぶんかわいがってもらったけど、元気に隠居生活しているかな…。
(ちなみにヒルデさん一家は、夫のルーディガーさんはトラック運転手、ヒルデさん飲み屋経営、そして息子はヤク中、というものすごい一家だった。第一、私も相方も、彼らの苗字知らないし(^_^;))
しかし考えてみたら「Bei Hilde」って、日本でいう「あけみ」とかいうのと一緒である…

同じく近所にあった、南欧系レストラン「ラグーナ」へ。まったく変わってない!オーナーのおじさんも、私たちのことはすっかり忘れていたが(アジア人、目立つと思うんだけど…)変わってなくて何より。お昼を食べる。「ミックスグリル」という、あのレストランで名物の一つで、ラムの串焼き、ケバチチ(シシカバブの小さいようなもの)、フリカデレ(ハンバーグ)と、野菜、たっくさんのポメス(フライドポテト)である。変わらず(゚д゚)ウマー。そして私たちが何度も食べた、美味しいガーリックペーストのついたパンも健在で、(゚д゚)ウマー。しかし腹は破れそう。
当時私は病気で、胃も痛めていたため、食べられるときで「お子様メニュー」(これが結構な量なのだ)、調子が悪いときはスープだけしかダメで、随分このおじさんに心配かけたものだ。考えてみたら、大人用を食べたのは初めてかもしれない!

とても満足し、今度も相方のリクエストで大学へ。
一人感慨にふける相方。飽きている私。

最後に、駅前にある「海外博物館」へ。
二年も住んでいながら、ここには一度も行ってなかった。 早速行ってみると、昔から貿易で栄えたブレーメンの商人が行った先々で手に入れたものを中心に展示。本当に世界の各地域の文化や民俗が展示してあるのはいいのだが、必ず「その地域にすんでいる動物」の剥製があって、ちょっとキモチワルイ。
ちなみに当然日本もある。展示内容は「アイヌのもの」「江戸時代の籠、漆器、陶器」「能面、狂言面」「明治時代の人力車」などなど。展示の説明を読んでみたが、結構ちゃんと調べてあって「オイオイ」なところは見受けられなかった。感心感心。

その他、生物のしくみコーナーも。
骨格標本や細胞のしくみの説明、なんかあんまり関係ないような…
さらに、「ブレーメンの商人」の展示。港の様子や船の中、電信装置、ブレーメンで作られたもの(ビール、コーヒー、動物のえさ、チョコレートなどが有名)などを展示。個人的にはここが一番楽しかった。

しかし、全体でみると、本当に「海外」という以外何も共通項がないような博物館であった。
中で小学生が写生していた。いづこも同じ秋の夕暮れ。

ところで、この日は雨が降ったりやんだりの天気。相方は面倒がって傘を持ってこなかったのだが、ものすごい通り雨に遭い、結局傘を買うことに。
しかし、どこを見ても傘は「20マルク(1200円)」くらい。
ビニール傘はないのか! 100円ショップはないのか!! しかたなく買った折りたたみは、広げてみたらものすごいデカイ!固い!
そして雨が漏る

豪雨の中、ハンブルクへ。
ものすごい雨で前が見えないのに、抜かれる抜かれる。 ところでアウトバーンには、街灯がない
まだ日が長く、7時くらいまでは余裕で明るいのだが、雨だったこともあり、車線が見えなくなって本当に怖かった。たどり着けて何より。

夕食はハンブルクの街中にある「ミュンヘンのビール飲み屋」フランチェスカーナーへ。(なんでハンブルクでわざわざミュンヘンのものを?)私はヴァイスヴルスト(白ソーセージ;ミュンヘン名物)とブレッツェルを食べた。おいしいけど、なんでここでコレ食べてるんだろう、わたし?

隣のテーブルに座っていた老夫婦が、帰りがけに私を見てにっこり笑う。
なんか、ものすごくみんなによくしてもらえるんですけど、なぜ?

戻って部屋で懸案の「Wer ist die Millionaire?(誰がミリオネアか?)」を見る。さすが、セットも出題形式も、音楽も全部同じ。しかし、違うのは
司会がくどくない
ところである。ドイツにはみのもんたはいないらしい。

さらに続く

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