男の沽券

 
のっけから難しい字を書いてしまったが、「こけん」と読む。 この、最近あまり聞かない言葉を座右の銘にしている男がいる。 彼は
・好きな有名人は石原裕次郎
・価値判断は「男の沽券にかかわるか、かかわらないか」
・人生で一番大切なのは、愛
といった、非常にわかりやすい価値観を持つ男である。結構な中年なのだが、 今でもこのポリシーを貫き、そして
「家族を愛し、家族を守る」という、とても大変なことを黙って実行している立派な人間である。

この、歩くマカロニウエスタンみたいな男は、背が高くハンサムなわけでも、マッチョなわけでもない。頭がだいぶ薄い、50がらみの、背の低い、ふつーのおやじである。

しかし、「守られている」彼の家族にとって、彼は理想の男性。
彼の娘は、小さなころから「お父さんみたいな人と結婚する」と公言していて、実際、もうすぐ父親と同じ職業の、似たようなタイプの人と結婚するらしい(実際に似ているかどうか、まだ相手に会ったことがないので不明)。
彼の息子は、20代前半にして、髪が怪しい雰囲気になってきているが、「俺ははげてもかまわない」と本気で言っている。 私は彼がとても好きだし、彼の家族も好きである。とても美しい家族だと思う。

  ………でも、なんか変。

 

  ところで、この文章は、彼の沽券にかかわっちゃうだろうか、やっぱり。

 

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