ドイツ人のファッションセンス 2

 

5. 学生の服装

 

ドイツの女性は、階層が高いかオシャレかまたはおばあさんでない限り、パンツを穿いている。気候のせいもあるのかもしれないが、田舎へ行けばいくほど、スカートの若い女性は見当たらない。

では、学生はどんな格好をしているのかというと、これが判で押したように決まっていて、ブルージーンズ+木綿のシャツ(冬はセーター)+ジャンパー、といった風である。靴は、大抵茶色の紐を結ぶ形式の、足首まであるとても頑丈そうな革靴を履いている(オイルコーティングがしてある)。化粧はしていない。これは男子学生も同じである。ドイツの大学は、国立ならば学費がほとんどなく、しかも学生は親から援助してもらうことなく生活する、というのがあって、大抵の学生は貧乏である。だから、学生食堂で古着の即売会を行なったり、本を売り買いすることもよく行われる。

二年目に住んだチュービンゲンの大学には、夏になると語学コースが開講されるので、日本からも多くの学生が来ていたのだが、こういったドイツ人学生の中に、日本人の女性が混じるとなんだかとてもおかしい。必ずジーンズのドイツ人と、短いスカートかブーツカットのパンツを穿いて、ヒールの高い靴を履いている日本人。必ず化粧している日本人。日本では「これが今年のトレンド」などと、いかにもそのスタイルが全世界の流行であるかのように発表されるけれど、ドイツでその「トレンド」スタイルをしている若い人を私は見たことがなく、したがって日本人のスタイルはとても浮いて見えた。

 

6. 革靴

ドイツ人で、布製のスニーカーを履く人はほとんどいない。大抵が革靴を履いている。上に述べたように、男性も女性もパンツ姿がほとんどなので、若いときは頑丈な、足首までの靴、年を取ったり、スカートのスーツを着るような階層の人はパンプスを履く。靴は大抵一万円以上するが、そのかわりとても長持ちする。

筆者は日本に戻って来て、あの頑丈な革靴がなつかしくなり、ぜひ履きたいと探しているのだが、まだ見つからない。もっとも、ボリュームのある茶色の革靴なので、日本ではどんな服にも合わないし、重くてつかれてしまうだろうと思うが。

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7. 冬の装備

ドイツの冬は、マイナス何十度の世界なので、日本から持っていったような防寒具では話にならない。靴は中に毛が付いているものでないと、外を歩いたときに痛くなってしまうし、耳あても必須である。上着は、お尻が隠れる程の長さがあってしかも綿入りのもの、しっかりと密閉できるものでなくてはならないから、日本で売っているダウンジャケットでは寒くて使えなかった。

筆者は、ドイツで表が人工ゴムのようなもの、裏に綿の入った、お尻まで隠れるジャケットを買ったのだが、これが重いけれど(ドイツの重衣料は大抵重い。彼らは体力があるから、重さを気にしないのである)、使い道が広かった。セーターを中に着れば、保温性が抜群で真冬でも平気だし、春や秋(といっても日本の真冬程度の寒さ)でもこれ一枚で体の熱が逃げない。雨や雪に降られても、外がゴムのようなものなので、まったくぬれた影響がない。今でも重宝している……と言っても、スタイルは野暮ったいので、これを着たがために日本では「ださださ〜」になってしまうのだが。

外が寒いのなら、下着を沢山着ればいいのかというと、そうではない。室内は20度ほどあるので、下着を着ていたのでは脱げなくて、却って調子が悪いのである。ひたすら上に着る、これがドイツでの冬の過ごし方のようだ。

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