謎の店員

 

うちの目の前にコンビニがある。当然、一番よく利用する。下手すると毎日行ったりする。

その店員はは年齢は多分20代。お昼過ぎにやってきて、午後11時まで勤務している。わたしがここに住んでからずっといるし、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」など、挨拶もきちんとしている。おまけに、地域内チェーン店の「No.1店員」にも輝いている。そう、非の打ち所がないすばらしい店員さんなのだ。

しかし、なにかが違う。「いらっしゃいませ」と言われても、背中にぞぞぞと怖気が走る。「ありがとうございました」といわれると、「できればもうきたくないのだよ」と思う。釣り銭をもらうとき、手に直接触れないように工夫してしまう。そう、その店員はわたしに「生理的不快感」を催すのである。

わたしはその人の欠点を明文化できない。多分勤務態度もすばらしいはずだ。長く勤めているのだから仕事に合ってもいるし、まじめなのだろう。しかし。「客に不快感を起こさせる」ってこれはサービス業にとっては致命的なのではないだろうか?わたしの同居人は「勤務時間を避けてコンビニに行く」という。友人は物真似をしてしまうという。長く勤務しているせいで、他のバイトに対して態度がでかいのも(根拠なく)気に入らない。ああ、お互いにとってなんと不幸なことか!

でも、気になる。今までどんな生き方をしてきたのだろう。どういう経歴を経て、コンビニにたどり着いたのだろう。一人暮らしなのだろうか。店長はどう思っているのだろうか。想像は尽きないが、知り合いになりたくないので話し掛けることはない。

そしてわたしは今日もコンビニに行くのである。行きたくないんだけど。

 

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