プレゼント      


    5月4日の日曜日、義母に澪音をみていてもらって覚子と二人で買い物に出かけてん。
覚子の出産を記念しての俺からのプレゼントを買いに行ってん。
我が家では俺の毎月のこずかいから少しずつへそくり的に貯金しててん。へそくりって言っても覚子も知っているし、銀行に行ってくれるのは覚子やから、本当はへそくりと違うねん。そしてこの貯金の事は二人の間では、通帳の絵柄がケロケロけろっぴーなので、「けろっぴー貯金」って言うてるねん。毎月5千円から1万円くらい貯金してて、これで覚子の誕生日のプレゼントを買ったりしててん。この貯金では自分の物は買わないと決めてある。毎日俺の為に早起きしてくれて、お弁当を作ってくれる覚子への感謝のしるしや。
去年、覚子の妊娠がわかって暫くしたときに「ちゃんと元気な赤ちゃんを産んだら、記念になるような物をプレゼントしたるわな」って言ってて、アクセサリーなんかやったら赤ちゃんの誕生石が飾ってる物なんかいいな。など言うたりしててん。それで、ちょうど澪音が生まれて1ヵ月やし、義母もいてくれてる間やったら出かけられるので、二人で行くことになってん。
澪音は4月生まれやから、ダイヤの付いた指輪かネックレスにしようって言ってたんやけど、指輪は石が付いてたら、澪音をだっこしたりするときに澪音に傷を付けてしまうかもしれないので、ネックレスを探すことに決めたみたいや。
大阪駅付近の百貨店の宝飾店を片っ端から見て歩いたけど覚子の気に入ったものは見つからず、梅田の地下街を歩いて一軒の宝飾店に入ってみてん。そこには覚子の目に止まるネックレスがあって、最初にウィンドウケースから出して見せてもらったのは、4万円ほどの商品やった。「これどう思う」覚子は俺に尋ねてくる。覚子は遠慮してるみたいやったので、俺が「あれはどうや」と6万円ほどの商品を指差した。けろっぴー貯金には7万円ほど入ってあったのでその予算内やったら覚子が気に入ったものを買ってやろうと思っててん。店員さんはここぞとばかりに「どれか出してお見せしましょうか」と尋ねてくる。「これ見せてちょうだい」と覚子が指差したのはダイヤのプラチナネックレスやった。さっきの4万円のネックレスとこの6万円のネックレス、さすがに2万円の差は一目瞭然や。覚子は悩んでいるので、店員さんは「ご予算があるなら、こちらのほうが素敵ですよ」と6万円の方を勧める。こうなったら蜘蛛の巣にかかった虫みたいや。覚子は明らかに俺に気を使ってるみたいやったので、6万円の方を指差して「これ気にいってんねんやったら、こっちにしたら」と言うと、嬉しそうな顔をして店員さんに、「じゃ、これください」
帰りの道で覚子は「ありがとう、せっかくおこづかいからためたお金やのに、ごめんな」って言うてくれたので、俺も嬉しくなって「気に入ってくれたんやったらええやん。記念やからな。ほんまはもっと高価な物を買ってやりたいけど、それでがまんしといて。」って言うた。実際、夜中の2時や明け方の5時に起きて澪音に授乳させて、それから俺の弁当を作ってくれる覚子に頭の下がる思いや。この程度ですごく喜んでくれるんやったら、俺も嬉しいわ。これからも病気せんと、がんばってや。そう思いながら今月からまた新たに、けろっぴー貯金に勤しむだんなであった。
   


 
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