今回は第一部のつづきやねん。
さとこは部屋でパジャマに着替えて、入院患者に変身やそれで第一声は「お昼ごはん
は、でるんかな」やて、まだ11時やのにもう昼ごはんの心配か。
洋:「午前中に入院した人には昼ごはんは出るやろ」
覚:「病院のごはんいややな」
洋:「しゃあないやん、入院してんねんから」
覚:「看護婦さんに聞いてみよ。」
洋:「何を」
覚:「下のレストランで食べてもいいか」
そこにちょうど看護婦さんがやってきたので、さとこは早速聞いてみてる。
今回だけということで許可がでた。もうさとこはウキウキ気分で「なに食べよ、なに
食べたい?なに食べよかな」って子供みたいや。
でも、食事の前に検査や問診があってん。40分の赤ちゃん検査もあって、そこで初
めてみーちゃんの心音を聞いてん。箱のような機械のスピーカーから「ハホッ・ハホ
ッ・ハホッ・ハホッ・ハホッ・・・・・・・」って少し早いめの鼓動が聞こえてきよ
る。ほんまにさとこのお腹の中におるんやな。この10ヵ月の間、俺が寝てる時も、
仕事してる時も、遊んでる時も、俺やさとこの意志とは関係なく動き続けてきたんや。
そう思うと、何かすごく感動してもうた。40分なんかあっという間や。
俺がほのぼのと感動に浸ってるのに、さとこが「さあごはんだあ。なに食べよかな」
って言うもんやから、思わず現実に引き戻されてしもうた。
結局この日の昼ごはんは、二人とも地下のレストランで食べてしもうた。
俺の口でも3、4口の「一口」とは言い難い一口カツが4、5枚の一口カツ定食を
さとこはペロリとたいらげてしまいよった。すごく満足げな顔をしてる。
あと三日で手術やと言うのに、たいしたもんやな。
食べる事がすごく好きやのに、手術前と後の絶食せなあかんのは、すごくかわいそや。
でも、お母さんになるんやもんな、それぐらいがんばって耐えよな。