〜逃げれない鳥〜
「・・・・はぁっ・・・んんっ・・・・。」
どこからか子猫が鳴くような切ない声が聞こえる。
部屋に居ても微かに聞こえる、自分の愛しい人の声だと一瞬でわ
かる。
「・・・はんんっ・・・・やっ・・。」
その声を聞いていると自分の中にどす黒い何かが生まれてくるのを感じた・・・。
八戒は唇をかみ締め、部屋を後にする。
一方あの声の主、悟浄は紅い髪を振り乱し、男に跨り自ら腰を振るっていた。
淫らに踊り狂うのを三蔵は口端を吊り上げて笑う。
「はぁっ・・・さんぞっ・・。っぁぁ・・・。」
呼ばれた三蔵は悟浄の腰を掴み、突き上げる。
「いいのか?悟浄・・・・。」
悟浄は突き上げられる度、背を反らして喘ぐ。
悟浄の乱れる髪が気に入っている三蔵は、もっと激しく突き上げる。
悟浄自身にも手をかけると、悟浄は一層高く甘い声を上げた。
「あぁっ・・・んやぁぁっ・・・。」
「っ・・・そんなに声を出すな・・・八戒に聞こえても良いのか?」
そう言われると悟浄は手を口に当てて声を出すのを我慢する。
苦しげに眉を寄せる悟浄・・・。
そして、二人とも静かに果てていった・・・。
悟浄が目覚めるとすでに三蔵は居なかった。煙草でも吸いに行っているのであろう・・・。
悟浄は、起き上がると宿屋にある風呂に三蔵との情事の跡を消そうと思い、ふらつく身体を動かし向かった。
ふと、その途中で空を見上げた・・・。目に映った物を見て悟浄の身体が震えだす。
「やべっ・・・今日は満月・・・だったっ・・・。」
悟浄は妖怪と人間との混血児・・・、いつもは人間の姿をしているが月に一度、満月の夜だけ、妖怪の姿になってしまうのだった・・・。
身体を引き摺るようにして、風呂へ入る・・・。誰も居ないのを確認すると悟浄の変化が始まった。耳が伸びて、妖怪の証が太腿に現れる。
髪も少し伸びて赤みが増す。
瞳も赤よりも濃くそして濡れていた・・・。
「こんな姿・・・誰にも見せらんねぇよな・・・。」
服を脱ぎ捨てると風呂に入る。湯船に浸かるとピリッと痛みが走った。うっと顔をしかめて我慢する・・・
いつまで経ってもあの行為は慣れない・・・。
気持ちは良いんだけど、その後が辛いのが玉に傷なのだ・・・。
「・・・・はぁ・・。満月・・綺麗なんだけどねぇ・・・・発情しちゃうんだもん・・・情けねえよ・・。はははーん・・・。」
悟浄は三蔵が好きなのだ・・・だが、八戒の事も好きでいた・・・。
幾度となく八戒とも身体を重ねていた・・・。八戒の自分への想いが判ってるから拒むことが出来ないでいた。突き放せば壊れてしまいそうで怖かった・・・・。
「・・・・八戒・・。」
「僕がどうかしましたか?」
悟浄は後ろから急に話しかけられたので驚いて振り返る。そこには笑みを浮かべた八戒が立っていた・・・。
「悟浄・・・その姿・・・。」
悟浄の妖怪化した姿を見て八戒は驚いていた・・・。悟浄は真っ赤になって八戒から背を向ける。
「しょうがねえだろっ・・・こうなっちゃうんだから・・・・。」
悟浄の後ろで八戒が湯船に入る音がした・・・。
「悟浄・・・貴方は・・。」
八戒は悟浄の腕を引き自分の方に寄せる。バランスを崩した悟浄は必然的に八戒の膝に座る形になってしまった。
「ちょっ・・・八戒っっ・・なっ・・・んんぅっ・・・。」
振り向こうとした悟浄の顔を掴み深く口付ける。妖怪化し、なお欲情している悟浄は、それだけで先程燃え尽きたはずののもが頭を持ち上げてしまう。
八戒は唐突に悟浄の中に何かをいれる。三蔵との情事の後でかすんなりと受け入れる。
「んぁぁっ・・・はっかっ・・・・んんぅっ・・・。」
深く口付けられているので、身を捩る事もできない。
八戒は悟浄の耳元で
「悟浄・・・・お仕置きです・・・。」
と、言うなり悟浄の中に入れたモノのスイッチを入れる。すると中のモノが形を変えて動き出した。
「やぁぁぁっ・・・何っ・・・っあぁぁ・・・。」
悟浄の感じるポイントを硬いモノが機会独特な律動で攻め立てる。
そこに当たる度、背を反らして高く甘い声を上げていた。
八戒は悟浄自身に手を伸ばし、戒めの楔をつける。これでイくことが出来なくなり、一層悟浄を狂わせる・・・。
「やぁっ・・・はぁんっ・・・んあぁっ・・。」
「綺麗ですよ・・・。悟浄・・・・・。」
八戒は悟浄の耳元でそう囁くと尖った耳を舐める・・・どんな些細な刺激にも敏感に反応する身体・・・。忌々しいと悟浄は思った。
耳元でピチャピチャと聞こえてくる音に悟浄の頭が真っ白になっていく。その事を知っている八戒は執拗に舌を絡ませる。
そして、もう一度中のモノのスイッチを弄る。
「いやぁぁっ・・・やだっ・・・。」
中のモノはより一層質量を増し、悟浄の中で暴れ狂う。
欲望の出口を塞き止められ、それなのにもっと刺激を与えられる・・・狂ってしまうかと思うくらいの快楽に、悟浄は咽び泣く。
「貴方は僕のものです・・・。誰にも渡さない・・・。」
八戒は悟浄を抱きしめると、湯船の淵に横たえて力の入らない脚を左右に割開く。力なく抵抗する悟浄を押さえつけ、悟浄の秘所に指を入れ中のモノを奥へ押し込む。
「かはっ・・・苦しっ・・・っああっ・・。」
悟浄は欲望の戒めを取ろうとして自身に手を伸ばす・・・が、八戒に手を掴まれてしまい無駄に終わった。
本当に狂ってしまいそうだった。そんな悟浄に気づいている八戒は、もっと追い詰めるように自身を口に含むと、舌と歯で刺激を与え吸い上げる。
「はぁぁぁっ・・・・やぁっ・・・あっ・・・あぁっ・・・。」
紅い髪を振り乱し、悟浄は八戒の頭をそこに押し付けるようにして懇願する。
「八戒っ・・・もう・・・いやぁぁっ。」
イくにイけないもどかしさと、何でこんな事をされているのかという気持ちとが、一緒くたになったので悟浄は泣きだした。
そんな悟浄を見て八戒は胸を抉られるような感覚がこみ上げる。
(・・・僕は・・何をしているんだ・・・?)
愛しくて愛しくて仕方がない人を苛めて・・・。
ただ、八戒は悔しかったのだ。昔から悟浄が好きだった・・・
こういう行為も数え切れないほどしてきた・・・。だが、一番に入れたかった悟浄の心・・・どんなに身体を重ねても手に入れられなかった心を・・・いとも容易く手に入れた三蔵に、嫉妬していた・・・・なぜ僕ではないのか・・・と。
その嫉妬を愛する悟浄にぶつけてしまった。
「はっ・・・・かい?」
八戒は悟浄の声で我に返った。目の前の悟浄は綺麗な瞳に大粒の涙が溢れていて、もっと綺麗に見えた。こんなに脅えさせてしまったという後悔がこみ上げる。
「・・・・悟浄・・・。」
「八戒・・・・モウッ・・・。」
何かを感じ取った悟浄は、八戒の首に手を回し強く掴んだ。絶頂が近いようだ。八戒の胸にあった罪悪感が今の悟浄の言葉で跡形もなく消え去った。その後から欲望の塊がこみ上げる・・・。八戒はそれを抑えることができなかった。
「何ですか?」
解ってるくせにそうやって意地悪に聞いてみる。
「・・・八戒っ・・・」
悟浄は涙を流しながら、快楽に濡れた声で八戒の名前を呼んだ。
「そんな甘えた声を出しても駄目です。どうしてほしいか自分で言いなさい、悟浄・・・。でないとこれ以上はしてあげません。」
八戒は今にも果てそうな悟浄自身をキュッと強く掴んだ。
「う・・・あぁぁぁっ・・・!!」
その行為に悟浄は悲鳴を上げた。イきたくてもイけないもどかしさに悟浄は八戒の髪の毛を掻き乱した。
「煩い手ですね・・・・。そういうものは・・・・。」
悟浄の手を後ろで一つにし、手拭で縛り上げた。悟浄は痛みのためか眉を寄せ苦痛の表情をする。
「言いなさい・・・」
八戒はなおも尋ねてくる。
「・・・・かせて・・・」
とうとう観念したのか、悟浄の口からぽつりと言葉が洩れた。
「イ・・・かせて・・・・。」
八戒はその言葉に、ニッコリと恐ろしい程の笑みを浮かべ、悟浄を起き上がらせて、
「では、僕のを使えるようにして下さい。そうしたら、イかせてあげます・・・。」
そう言うと八戒は自分自身を悟浄の前に突き出した。
「さぁ、始めて下さい・・・」
悟浄は顔を紅潮させ、自由の利かない身体で八戒自身を口に咥えた。
初めは舌先で全体を嘗め回し、浅く、深く吸い上げる。
「んっ・・・う・・・ふぅ・・・んんっ・・・」
「イイですよ・・・悟浄・・・。もっとして下さい。」
八戒は悟浄の中のモノを引き抜いて自分の指を入れる。そして悟浄の頭を掴み、強引に上下させた。そうしていると、次第に悟浄の頭は
真っ白になり、歓喜に似た表情で八戒自身を奉仕していた。
「・・・もう良いですよ。悟浄・・・。」
「んん・・・・んうぅ・・・はぁっ・・・。」
八戒は優しい声で囁き、ゆっくりと悟浄を自身から引き剥がした。
「約束通り、イかせてあげますよ。」
八戒ははち切れんばかりの悟浄自身の先端を口に含み、強く吸い上げた。悟浄の身体が一際大きく跳ねた。
「っあぁぁぁぁ・・・・・!!!」
悟浄は背が折れそうな程仰け反らせ、八戒の口の中に果てた。
荒い息をしながら八戒に倒れ込んだ。
「八戒・・・っこれ・・・・とって・・・」
悟浄は、後ろで縛られた腕をもぞもぞと動かして解いて、とゆする。
八戒は素直にそれを取ってやった。すると、悟浄は八戒の背に手を回し、次の快楽を強請った。八戒はそれに答えるように、自分自身を
悟浄の秘所にあてがいゆっくりと自身を埋め込んでいく。何度も慣らされたソコは、八戒をすんなりと受け入れ、奥へ奥へと導く。
「う・・・んっ・・はぁっ・・・動いてっ・・・はっ・・かい・・・」
悟浄は妖しく身体をくねらせ、八戒を誘惑する。八戒は堪らないと言った勢いで、腰を動かした。
浅く、深く、ゆっくりと早く、激しく動かす。悟浄もその動きに合わせて腰を動かす。口から甘く、淫らな喘ぎを洩らしながら・・・・。
「もっと・・・八戒っ・・・もっとぉ・・・」
うわ言のように、何度も八戒の名を呼び、果てたのにまた求めてくる満月の威力がここまで悟浄を狂わせる・・・。
「あ・・・はぁんっ・・・ん・・ああ・・・ん・・・」
体制を何度も変え、気が狂うほど高く突き上げる。その行為はまるで獣のようだ、噛み付き噛み付かれ、それは永遠に続く。快楽と言う名 の激しい争いは、悟浄が気絶するまで続いた・・・。
風呂場で気を失った悟浄をバスタオルで包み、部屋へ連れて行く途中・・・・三蔵が悟浄の部屋の前で待っていた。八戒に気付くと腕の中 の悟浄にも気付く。
「・・・・っ!!貴様っ!!」
悟浄の痛々しい身体を見て、三蔵は普段はあまり感情を表現しないのだが今は怒りを露にしていた。
「今日のところはお返ししておきます・・・。」
と言うと八戒は三蔵に悟浄を渡すと、悟空の寝ているはずの部屋に入っていった・・・。