● ぽす○でごー ●



ぽ○とぺっとのごじょうちゃん。
だいすきな御主人さまのまねをして、お手紙を書いてみました。
もちろん宛先は、大好きな御主人の八戒です。
「できた〜v」
とてとて〜と廊下を走りでようとすると。
「ごじょう。危ないですから、廊下は走っちゃいけませんよ」
「うん、ごめんなさい」
「それから、それはお仕事着ですよ。遊びに行くなら、別のになさいね」
ごじょうちゃんがかぶっているのは、ぴんくいろした、かわいいクマのお帽子です。顎の下で結ぶ紐は、じぶんで結んだのでしょう、上手なたてむすびです(笑)。
御主人さまは笑いながら、せめて紐を結びなおそうと、顎にてをかけました。
でも、ごじょうちゃん、顎の紐をしっかりと握り締め、一歩八戒から逃げるように下がりました。
「いや!いや! ごじょう、おしごとなの!」
「…お仕事?」

だって、ごじょう、はっかいにおてがみかいたんだもん。
ちゃんと、ぽすとにいれるんだもん。

でも、お手紙を書いたことは、まだ内緒です。
だって、ごじょうは、御主人さまをびっくりさせたいのですもの。
じっと、ごじょうが御主人を見詰めていると…、ふと、御主人は手で顔を押さえてしまいました。
…指の間から出ているのは、鼻血です…。
ごじょうに骨抜きで、もうダメダメな御主人は、辛うじてごじょうから血を隠すと
「…気をつけていってらっしゃい」
「は〜いv」
元気に、よいこのお返事をして。
ごじょうはぱたんと扉を自分であけて、でていきました。


…数分後。
ふみゅ〜、という、ごじょうの困ったようなうめき声が聞こえます。
「ごじょう!?」
まさか、変なポストマンにでも捕まったのでは…!
慌てて玄関から飛び出そうとしたのですが、ごじょうはまだ、ウチの前にいました。そして、ポストの前で難しい顔をして唸っているではありませんか。
短い腕を組んで、ポストを睨みつけて、唸っています。
八戒があわてて出ていこうとしたとき、青い帽子にローラーブレードの、ポストマンが通りかかりました。
「………どうした?」
「あのねっ、あのねっ、…ポストのおくち、とどかないのぉ…」
ポストマンは、ごじょうと八戒のうちのポストとを見比べて、なるほどと頷きました。
ポストのとりだしぐちは下にあり、そして八戒が踏み台をつくって、ごじょうでも手が届く様にしてありましたが、いれぐちのほうには、何の踏み台もありません。
これでは、確かにごじょうの手は届きません。
届きませんが、必要のないことでしょうに…。
出ていきそびれた八戒は、扉の影から首を傾げました。
通りがかりのポストマンは、ふいに、ちいさなごじょうをひょい、と抱き上げました。
「これで届くだろう?」
微か〜に微笑みつきで、ごじょうの頬をつっついたりしてます。
…ぴき、と、八戒が掴んでいた扉の一角に、ひびが入りましたが、外の二人はまったく気が付いていないようです。
「ありがとー、ほむら!」
「礼には及ばん。で、どうするんだ?」
ポストマン・焔は、青い帽子をちょっと傾けながら、ごじょうに次の行動をただします。
「うん。えへへー」
ごじょうは、ポケットから白い封筒を取り出すと、かたん、とポストに入れました。
御満悦です、本当に嬉しそうです。
ダメダメ御主人の八戒でなくとも、くらくらしそうです。
………このときの御主人さまの様子は、あえて語りません。
ただ、目をそむけたくなるような形相だったことだけは、たしかです。
「もーいい。ありがと」
「仕事は、これで終わりか?」
「うん!」
「よし、じゃあ、これから俺と良いところへいこう?」
……良い所?
これは誘拐の手口ではないでしょうか。
「ううん、ごじょう、帰る〜」
ごじょうが、おろしてぇ、とぱたぱたすると、焔は逃がすまい、と、その制服の胸に、ごじょうをぎゅってしまってしまいました。
「新しい世界に招待してやろう…」
「いやー! ごじょうはかえるの、はっかいのとこにかえるのーー!」
ごじょうは男の子です、泣いたりしません。
でも、どんなに一生懸命焔をぽかぽかしても、焔は全然聞いてくれなくて、ごじょうは悲しくなります。
…でも、泣いたりなんか、しないのです。
「う…っく…ひっ…」
「おい」
苦りきった、焔の声。
何とかごじょうをあやそうとしますが、もはやどうともなりません。
すっかりごじょうに怯えられてしまった焔の背後に、それはそれは恐ろしい、殺気が発生しました。
当然、八戒でしょう。
焔をもってしても、全身に鳥肌が立つほどの大迫力です。
ものすごぉく、振り帰るのが嫌でしたが、このままでは埒があきません。
仕方なく、ごじょうを下に降ろした瞬間、
――ドゴォッ!!
「ぐはっ!?」
焔の後頭を、地面から引きぬかれたポストで不意打ちです。卑怯です。でも、それが八戒です(笑)。ごじょうに近寄る虫は、どんな小虫でも(オイ)許さないのです。
一瞬ですが、妖力制御が外れていたことなんか、誰にも内緒です。
焔は血を吐いてうめいていますが、八戒は彼が生きていることを確認して、舌打ちを一つ。トドメを刺そうとしましたが、
「あ、八戒〜!」
わ〜ん、と、ごじょうが八戒の方へ駈けよってくるのを眼にして、瞬時にいつもの優しい御主人・八戒の顔に戻りました。
すばやくいつもの位置にポストをぶっさすと、ごじょうを両手を広げてお迎えです。
「おかえりなさい、ごじょう」
「ただいま〜」
おいで、と両手を広げると、ぽすっ、と、八戒の腕に飛びこんでいきます。この辺は、八戒の躾のたまものです。
…もう、この瞬間には、二人の中には焔のことなど吹っ飛んでいます。
笑顔をかわしあう二人の間に、いったい誰が入り込めるというのでしょう?
「おしごと、終りましたか?」
「うん!」
えへ、と笑うごじょうのほっぺたについてる滴をぬぐってやりながら、八戒は優しく眼を細めます。
まっててね、と、ごじょうが踏み台にのぼって、たったいまポストに入れたばかりの手紙を、とりだしました。
おや、と八戒は納得しました。
「あのね、はっかい、おてがみきてるの…」
ちょっとハズカシそうにはにかみながら。
住所のない宛名だけの手紙を、八戒に手渡しました。
うけとると、八戒はにっこりと笑いました。
「ありがとうございます、ごじょう。ご苦労様v」
さぁ、おやつしましょうか、今日は新作の長文おやつがあるんですよーv
八戒、ごじょうを抱き上げて、二人のおうちへと帰りました。

――え?手紙の中身はみないのかって?
…見なくとも、御主人の八戒には、解かっているのです。

『はっかい、すき。』

ただしその文字は、八戒にしか判別できない、ミミズ文字だったりしますけれど。





鎖骨様より戴きました。以前ちょろりと寝言の方で出しましたポ○ペネタ。
よもやこんな素敵な小説になって戻ってくるなんて・・・!棚ボタとはこのことで御座います(オイ)
鎖骨さん、ありがとう!!お脳のちょろいごじょうはツボですよね!ほんっと、チビってスバラシイ・・・(悦)


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