・・・ 結 い 髪 ・・・
「・・・はい、出来ましたよ。」
八戒は満悦の表情で自分の力作を眺めた。
「おい・・・」
作品にされた悟浄は鏡を見ながらかなりの抵抗を感じていた。
「うーん、我ながらいい出来映えですね。」
ごくたまに触らせて貰える髪を何時も、結いたくてウズウズしていた。
サラサラとこぼれ落ちる髪を流しているのも、もちろんそれはそれで美しいのだが、結い上げたらどんなに可愛いだろうと手を拱いている状態だった。
無造作に一つに結んでいるだけで項辺りに色っぽさが漂っていて、思わず後ろからその首筋に唇を寄せたくなる。
「確か・・・俺は暑いって言っただけだぞ。」
「えぇ、それで髪を上に上げましょうって僕が言ったのですよね。」
確かに、髪が上で結ばれている事実に変わりはない・・・が、
「男にこんな髪型させて、お前楽しい?」
鏡の中の八戒を見て悟浄は絶句した。
ニコニコと出血大サービスと言わんばかりの笑顔がそこにあった。
「あー・・・楽しいのね。」
もう知らんと悟浄が立ち上がると、八戒が強い力で引き留める。
「まだですよ。これ、結びませんと。」
取り出した、白いヒラヒラとしたリボンを目の前に差し出されて悟浄は即答した。
「やだ・・・」
何で、男がリボンを結ばなきゃならんのだ。しかも、そのヒラヒラは何?
お前何時買ったん?と胸中に悲鳴と疑問が湧き起こるが口から出ることは無かった。
声にも出せない驚き・・・。そして、声も出せないほどの八戒の笑顔。
「駄目ですよ。大人しくして下さいね。」
顔に合わず肩に食い込むほどの力に悟浄は渋々と頷く。
此処で抵抗しても、勝ち目のない勝負であった。どうせなら、好きにさせて解いた方がずっと賢い選択だ。と悟浄は思った。
しかし、八戒も悟浄の考えを見越してそう易々とは解かせないよう並々ならぬ決意をしていた。
「ほら、可愛くできましたよ。」
前から耳辺りまではそのまま髪を垂らし、後ろは二つに分けて上でお団子・・・それには白くヒラヒラしたリボンが・・・・。
悟浄は余りの情けなさに涙が出そうになった。
「久々にやってみましたが、以外と覚えているものですね。」
「男が可愛くてどうする。」
ふてくされたように言う悟浄に八戒は真顔で
「悟浄は元々可愛いですよ。」
と宣った。
悟浄のささやかな抵抗も八戒の言葉に一瞬にして打ちのめされる。何故なら悟浄の言葉より八戒の言葉に力が有ったから。
本気でそう思っている八戒に悟浄はもはや何も言うことが出来なかった。
ついでに言えば八戒に付ける薬も存在しなかった。
「でも・・・服に合いませんね。」
そうだろ!そのまま解いてくれ!と言うささやかな願いは八戒の言葉によってことごとく裏切られる。
「なんなら、着替えますか?悟浄」
ヒランとノースリーブのワンピースに見える物を取り出す。
「本当は、可愛いチャイナドレスが良いんですけど、さすがに着てくれそうにありませんからね。」
心底残念ですという響きで喋る八戒に薄ら寒い物を感じながら悟浄はなすがままに八戒に着替えさせられていた。
「悟浄は、背がありますからね。細身のが似合いますよ。」
後ろでリボンを結びながら八戒が言う頃には精も根も尽き果てたというように、悟浄は心の中で涙を流した。
「悟浄・・・可愛いですよ。」
堪えきれずに八戒は悟浄に口付ける。
軽く触れるだけのつもりが、のめり込むように深いキスとなる。
慣れというかこの状況で大したことはしないだろうと悟浄いつもの癖では八戒に腕を回す。
「・・・悟浄、我慢できなくなりました。」
八戒は厳かに告げてそのまま悟浄の体をまさぐるように指を這わす。
「ちょっ・・・やめっ・・・八戒!」
抵抗は口づけで封じられ薄い布の上から胸の飾りを転がすように愛撫する。
直ぐに堅くなるそこに軽く爪を立てると悟浄は唇を引き剥がし、小さな悲鳴を上げる。
感じているのを嫌がるように首を振ると結ばれたリボンがヒラヒラと揺れる。
それでも縋り付くように八戒にしなだれかかり切ない吐息を漏らす。
立たせたまま悟浄の腰を支え、指をスカートの中の悟浄自身を絡め取る。
「あっ・・・八戒・・・やだ・・・」
キスだけで煽られて微かに立ち始めたそれに八戒の指が触れた瞬間、悟浄は過敏に反応する。
「悟浄・・・可愛いですよ。」
指の動きに合わせるように腰を揺らしている悟浄に八戒も欲望を煽られる。
「悟浄・・・」
そのまま、悟浄が使っていた椅子に座ると悟浄を自分の上に跨ぐように乗せる。
「・・・っ・・やっ・・・これっ・・・っあぁん」
割開いた足を伝って悟浄の秘所に指を埋め込む。
慣らされずに入れられたことに衝撃を感じて声を漏らすが、動かない八戒に焦れて悟浄が腰を揺らす。
「平気そうですね。」
早急な事を十分解っていながらも悟浄の姿に八戒は抑制が無くなりかけていた。
「くぅ・・・ん・・・・」
二本の指をくわえ込んで快楽に酔っている悟浄は切なそうに前を八戒に擦りつける。
「ごめんなさい・・・触れて差し上げたいのですが・・・」
悟浄を支えるので手が塞がっているのですよ。と八戒も悟浄の乱れように息が弾む。
「も・・・いいからぁ・・・っ」
悟浄は自分で八戒の指を抜くと、八戒のものを手早く取り出すと自分から身を沈めていった。
「あぁ・・・ん・・・はぁ・・あ・・・」
自分を埋め込んで喘いでいる悟浄の姿が余りにも愛しい。
「なんか、倒錯的ですよね。」
自分がやっておきながらスカートを身につけている悟浄の姿に浅ましいほど感じていた。
もちろん、女性として見ているのではなく悟浄がスカートを身につけていることに対してである。
「ばっ・・・馬鹿言って、んじゃ・・・ね・・・」
息も絶え絶えに八戒の上で感じまくっている悟浄は変わらぬ口を叩きながらも快楽に押し流されまいと必死で抵抗していた。
「あっ・・・やぁ・・・っ・・」
突き上げるように腰を動かすと悟浄の内は焦がれていたように八戒を奥へと導く。
「あっ・・・八戒っ・・・いいっ・・・」
見えないスカートの中で陰湿な音を立てながら揺すられてる悟浄は八戒のなすがままに快楽を甘受し溺れていった。
「やぁっ・・・も・・・イクッ!」
落ちそうなほどに体を仰け反らせて全身で快楽を感じている悟浄の内に八戒も欲望を解き放った。
「うわぁ・・・ドロドロ・・・」
服も脱がずにやったせいでスカートは使用不可能になってしまっていた。
「別に良いですよ。それとも、もう一度着たかったのですか?」
ブンブンと音を立てそうな程首を振る悟浄を笑いながら八戒は重ねるように言う。
「誰にも見せられませんから・・・」
変な虫が付きそうです。
それでなくとも、もてる悟浄にこれ以上の心配の種を増やして欲しくなかった。
「これ、解いて良い?」
あの行為にも耐えたお団子頭を指さして悟浄は笑う。
「もったいないですね。折角結びましたのに・・・」
でも、解くと髪が・・・という言葉は意味を成さなくなってしまった。
無造作に解かれたそれは波打って悟浄の肩へかかる。
「悟浄・・・」
笑いを堪えながら鏡を手渡す。
不思議そうに悟浄が鏡を覗き込む。
「・・・っ・・・八戒!」
フワフワと波打つ髪を情けなさそうにつまみながらそのままの視線で八戒を見る。
「だから・・・言おうとしたんですよ。」
苦笑を漏らす。
そして、何とかしろとごねる悟浄の髪を楽しそうに結っている八戒がいた。
管理人の誕生日記念に頂きました(^^)
花詠さんありがとう!素晴らしくって涙が出てきました(笑)
イラスト・・・描いてみたいけど・・・こっそり送ってみようかな・・・