なんのためにいい大学に行くの?

いい点数を取って、いい内心点をもらって、いい高校に入り、いい大学に行って、大企業に就職しなさい」と、未だに子供に言う親は多い。でも、そう言われたら、一度聞き返してみよう!「そうやって大企業に入ったらどんな幸せな生活が送れるの?」と・・・・。納得した答えが返ってこなかったら、言ってやろう、「じゃあ、受験なんて意味ないね!」と・・・。

それではまず、最終目的である大企業に就職するメリットを考えてみよう。大企業に入って良いことといえば、一般には、@安定しているA給料が高いB世間体が良い、くらいのものだろう。やりがいという面では、企業が大規模になればなるほど少なくなる。例えば、従業員が5万人いる会社でいくら頑張ったところで、成功しても失敗しても、企業の業績にはほとんど影響がない。自分のやっていることを実感できるチャンスは会社の規模が小さければ小さいほど増えていく。

では、本当に上の@〜Bは正しいのだろうか?

まず@については、比率からいうと、大規模になればなるほど安定しているのは事実かもしれない。でも、これだけ大企業が平気で潰れるような時代になると、そうとも言い切れない。大企業だからといって、一生安定した生活が送れるという時代はもう終わった。これからは会社の名前ではなく、個々がどれだけの実力があるかが大切になる。

次にAについてだが、これも安定性が揺らいでいる今日、大企業でも給料の安い会社は多い。毎年、年収が下がっている人も大勢いる。大企業でもボーナスゼロの企業だってたくさんある。(極論を言うと、このA「給料が高い」状態になるために、「受験勉強しろ!」と言っているようなものだと思う。「給料が高い=いい暮らし」と考えている親は多い。その割に、お金の使いかたを子供に教える親はほとんどいない。この「お金についての教育」についてはまた次回・・。)

最後にBだが、これは日本人得意の見栄の世界である。「人に良く思われたい・・・」という気持ちが強い余り、現実を直視しない人は多い。実際に働いてみるとわかるが、世間体なんて、どうだっていい。「自分がいいと思えるかどうか?」・・、ただそれだけだと思う。人のための人生じゃあないんだから・・・。

こうやって考えていくと、「大企業に就職する=幸せ」という等式は、完全に崩壊している。つまり、大企業に就職するために受験する意味はもうなにもない。

ただ、勘違いして欲しくないのだが、「勉強なんて全くしなくていい・・」というわけではない。受験という決まりきった勉強ではなく、本当に自分を磨くための勉強をしよう。実力がないものはどんどん切り捨てられる時代だから、受験よりもハードな勉強が必要になるかもしれない。でも、自分の得意な分野なら、自分の好きな勉強なら、絶対に受験よりも楽しいはずだ。今の中高生には、そういう自分が楽しいと思えるものを是非見つけてもらいたい。一日でも早くそれを見つけられれば、そこにはきっと、あなたの親も本心では望んでいる「あなたの幸せ」があるはずだから・・・。