フリーターのみなさまへ

〜自由とは責任を伴うものです〜(元フリーターより)

[Jun 02,2001]

先日、米Newsweek紙のトップで日本のフリーターが紹介された。「キャリアを求めず、ただ自由に生きている彼らは、アメリカのIT業界で起こったような新規の産業を呼び起こすことができるのだろうか」といったふうに多少好意的に書かれているような気もした。しかし、実際、今の日本のフリーターはお世辞にも、こんなにいいものではないだろう。

多くのフリーターは、「縛られるのがイヤだ!」、「自由でいたい!」などと言って、就職もせずにフラフラしていると思う。就職難の時代だからというのも大きな理由の一つだろう。

そういう僕自身も、16歳から18歳まで、ほぼ3年間フリーターのような生活をしていた。当時は、みんなが学校で朝からつまらないはずの授業に出ている間に、自分は自由にバイトをすることもできたし、遊ぶこともできた。だから、「俺は自由だ!」と思ったこともあった。

でも、現実は甘くない。なんの努力もせずに、ただ漠然と日々キャリアにもならないバイトをしているだけでは、給料だって安いまま。いわゆる「大変な割には儲からない」ような割の悪い仕事ばかり。なにより、将来が全く見えてこない。貯金だってできないし、身分はいつクビになるかもしれないバイト。キャリアはないからクビになったら、それまで。またゼロからのバイト探し。今のことしか考えないのならいいが、「30歳、40歳になってもこのままだったらどうしよう」と思う日が必ず来る。

つまり、最初は自由を感じると思うが、必ずいつか「虚しさ」を感じるようになる。そして、理解する、「自由とは責任を伴うものだ」と・・。

さらに悪いことに、今のフリーターの多くは、完全に自立していない。自分で働き、家賃や生活費、その他、全て自分で賄っているというのならまだしも、そうではない人が圧倒的だ。いわゆる「パラサイトシングル」などと呼ばれる、なかなか親元を離れない連中である。こういう連中はたいてい心の中で、「なんかあったら親が助けてくれる」と思ってしまっている。ずっと親元においておく親にも問題はあると思うが、とにかく無責任に、貴重な10代、20代という時間を、無駄に過ごしているだけだ。これでは、自由であることの大変さすら実感することはないだろう。

将来、はっきりとした夢があり、一時的にフリーターで頑張っている人は立派だと思う。

ただ、なんの目標もなく現実逃避をしているフリーターに言いたい。当面の壁から、努力もせずに逃げることは簡単だ。しかし、「世の中、そんなに甘くはない」・・・。そして、もし、それに気付くのが遅かったら・・・。もう、その時間は取り戻せない・・・。