Thank you, mother!

話は前後するが、前述のように、当時、うちは母子家庭だった。

母親は朝から仕事に行き、帰ってきたら夜。ぼくと弟にご飯をつくって就寝。そして、また朝には出勤。これだけでも、母親には頭が上がらないが、この人はさらにすごい母親だった。

「高校に行かない」と母親に言ったとき、ぼくも内心「いくらうちの母親でも、これは反対するだろうな」と正直、思っていた。しかし、彼女の答えは以外にも一言、「いいよ」。他に多くは語らなかった。

普通の母親なら、ここで、子供の今伸びていこうとしている芽を、自分の狭い常識にあてはめようとして、摘み取っていたと思う。

この時、母親のぼくに対する信頼と、これを裏切ってはならないという責任感のようなものが、はっきりと実感できた。なにがあっても、自分の選んだ道を突き進んでやるぞ!という決意もさらに強固なものになった。