リー・モーガン


 30歳を過ぎて2〜3年くらい経った頃だったと思う(32〜33歳と書けよ!).ロックと呼ばれる,小5以来ずーっと聞いてきたジャンルの音楽を受け入れられなくなった時期がある.簡単に書くと,聞くのが嫌になったのだ.あの大好きなルースターズでさえである.そんな時,ふとレコード屋で耳にした何気ないサックスをメインにフィーチャーした曲が鳴るジャズ・コーナーに引き込まれた.これが,本格的なジャズとの出会いであった.

 学生の頃,よく軽音部のBOXがあった建て屋の周りで,ジャズ系の人たちが,プ〜だの,パァ〜だの朝から晩までトランペットやサックスの練習をしていた.管楽器は部屋で練習することができず,いつも外で練習をせざるを得なかったのであろう.1〜2度,彼らの定期演奏会の準備をした機会に実際のライブも見たことがあるが,当時はジャズには興味が持てなかった.

 さて,たまたま入り込んだジャズ・コーナーで,最初に買った自分にとって記念すべきアルバムは,アート・ペッパーのモダン・ジャズである.全くのド素人にとって,ジャケットといい,ミュージシャンの名前といい,アルバムタイトルといい,文句なしにかっこよかったことが栄光ある1枚目に選ばれた理由だ.アートくん,おめでとう!というわけで,当時は,アルトサックスとテナーサックスの音色の違いも分からないのであったが,小洒落て小粋なアートサックスをふんだんにフィーチャーしたこのアルバムにノックアウトされたがため,この後,約3年くらい,ジャズ三昧の日々を送ることになる.ジャズのガイドブック片手に,ロックを聴き始めた頃のような初々しい気分を,30過ぎて味わえるなんて思っても見なかった.

 マイルス・デイヴィス,ジョン・コルトレーン,ソニー・ロリンズなどは,さすがにすばらしく,ハンク・モブレイやクリフォード・ブラウン,ビル・エヴァンスにも魅了された.で,数あるジャズプレイヤーの中で,一番のお気に入りは,天性の突貫小僧リー・モーガンである.アート・ブレイキー・ジャズ・メッセンジャーズにいたことでも知られている名トランペッターである.曲としては,"The Sidewinder"や"I Remember Clifford"があまりにも有名であるが,私はアルバムとしては,Blue Note時代の「Candy」が最も好きである.これは1957年の作品で,わずか18歳でリーダー作を発表してから1年後のアルバムになる.他に,Vee Jay時代の「Expoobident」や「Here's Lee Morgan」といったアルバムも実にすばらしい.

 コルトレーンの「Blue Train」をはじめ,共演でも多くの名演奏を残した彼だが,33歳のとき,別れ話のもつれで,愛人ヘレンにピストルで殺害されてしまう.つやつけ男として,かっこいいといえば,かっこよすぎる死である.ギタリストでは,ロリー・ギャラガー.ジャズメンでは,リー・モーガン.突っ込む根性と男意気.自分の子供には,これだけは,伝えたい.

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