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お伽噺
昔々、とある国のとある町に小さな洋服屋さんがありました。 洋服屋のご主人は他にも商売をしており あまり洋服には興味がありませんでしたが、 町のお偉い役人さまから是非とも洋服屋を開いてくれないかとの
要望もあり渋々お店を開きました。
お店はデザイナーさんと縫い子さんと売り子さん3人でまかなっていました。 より良い洋服を作るためにデザイナーさんは いっしょうけんめいにデザインを考え より良い洋服をつくるために縫い子さんは 丁寧に洋服を縫いました。 そうしてできた洋服を売り子さんは丁寧な応対でお客様に売っていました。 小さなお店でしたがひとつだけ自慢できるものがありました。 それは店頭にあるショーウインドウです。 そこにデザイナーさんがいっしょうけんめいに考えたデザインを 縫い子さんが丁寧に縫った洋服を 売り子さんがどこの真似でもない自分のやり方で飾りました。 表向きの華やかさとちがいこのショーウインドウで作業するには 暑さや、狭さなど大変な苦痛を伴います。 でも売り子さんはこのショーウインドウに出来上がった洋服を
飾り付けするのが大好きでしたのであまり苦痛とは思いませんでした。
そのうちにこのお店のショーウインドウは町では評判となり 少しずつですがお客様も増えていきました。 となるとご主人も欲が出たのでしょうか、国のコンテストに このお店の洋服を出すことを決めました。 その結果 見事にこのお店の洋服はコンテストに優勝し国一番の洋服になりました。 そうなるとこの町の人だけでなくよその町の人もお店にやってきて大繁盛です。
ショーウインドウの前は毎日たくさんの人でした。
そのうちお店も大きくなり、 デザイナーさん、縫い子さん、売り子さんも増えました。 ショーウインドウも大きくなりましたが最初の売り子さんはやり方を変えません。 昔どおりのやり方で洋服を飾ります。 後から入った売り子さんもそのやり方を真似ています。 大きくなったから、作業するには楽になっただろう、ですか? 苦労はまるで変わりません。
人が増えたのでかえって大変かもしれません。
ある日、ショーウインドウの前にいたお客がこう言いました。 「ここの洋服は国一番の洋服だが、どうもこのショーウインドウの飾りつけは 国一番にふさわしくないようだ」 「そうだ、そうだ」と賛成する声も聞えます。 「ああしたほうが」「いや、こうしたほうが」と口々に意見を言い合います。 子供がこう言いました。 「ショーウインドウの横に入口があるよ、鍵はかかっていないから、飾り付けを変えてみたら?」 とあるお客がショーウインドウの側に近づき中を確認した後こう言いました。 「坊や、ここのお店の洋服は国一番の洋服だ、その洋服を着る我々は同じように国一番の人なのだ。」 「その国一番の人があんな暑苦しく狭い場所で飾りつけなど出きるわけがないだろう」 そう言ってまた他の人たちと
「ああしたほうが」「いや、こうしたほうが」と口々に意見を言い合います。
子供はその大人たちを不思議そうに見つめていましたとさ。
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