Web のネタになりそうなんでちょっと行ってみるか、という軽い気持ちで始動した浅草サンバカーニバルへの道。といってもただの物見遊山なんですけどね。だのに人からはやれ踊るのか、はたまた脱ぐのかと聞かれ、普段の言動がこうも同方向ベクトル的反応を生むとは思いもよらぬ今日この頃、如何お過ごしでしょうか。私は元気です。
浅草…そう、このローカルな響き。浅草寺、雷門、花やしき、神谷バー、電気ブラン、そしてビルの上には何故かウ○コ。この日本的風景が渾然一体となったこの町に、何故サンバ。ラテンのリズムとは相対する、そう和太鼓の力強い音こそ似合いそうなこの町に、ちょうど地球の裏側より輸入されたるカーニバル。直結されるのは、上下白の下着姿のおっさんが酔っ払いながら踊ってるんじゃねぇか、とかおばさんが浴衣で踊り狂ってるんじゃねぇか、とかそんな映像。そして人は皆その違和感を笑う。がしかし侮るなかれ! 実は夏の終わりの一大イベントだった。
まずはやはり序文の通りの、町並みとサンバ隊のギャップをご覧頂きましょう。どうですか、この日本情緒の象徴とも言えるちょうちんと、羽根付きデーハーなサンバダンサーの組み合わせ。しかもこの勢いで浅草雷門前を通過するんですよ。いやー素敵ですねぇ。このサンバダンサーに去来する思いは如何に。
よくリオデジャネイロのサンバカーニバルの映像の中に、殆どこれは裸なのでは? という様な人が映りますよね。例の乳首しか隠していない様な、いやさ、乳首すら見えてるんじゃねーの? という。まさか日本で、日本の浅草で (おっさんなら有り得るが)、しかもこの広い道のど真ん中で、まさかそんな格好する人はいないよねぇ。と、この人が目前に来るまでは、そんな気持ちでした。ある意味、ちゃんとやってますよね。
もうこの辺に来ると、羽根付きダンサーズの狂喜乱舞。私のシャッターを切る回数も自然と数を増す有り様。白黒黄色、青に紫。もう色の統制なんてあったもんじゃないですが、いいんです、派手なら。やった者勝ち、まさしくそんな空気がそこには流れていました。
ちなみにこの時、オフィシャルの(?)カメラマンがうろちょろして、せっかく間近に迫ったダンサーに被ってしまい、もうナンダコノヤローと猪木ばりの…いや、ナンダヨーとチューヤンばりの突っ込みをしたとかしなかったとか。
ここまでの画像では "ひょっとして浅草とはいえ、本場のカーニバル並みの狂気ぶりなんでは?" と思ってしまうかもしれないので、普通のサンバ隊の映像もご覧頂きましょう。サンバ隊の多くは一般参加の、みんなでサンバを楽しもーぜ! という有志クラブみたいなもんです。お揃いの T シャツ、顔ペイントに太鼓等の鳴り物で練り歩く、そんな感じです。派手な部分が目立ちがちですが、大部分はこういう手作りのお祭り的なものなんですよ。
でも、その鳴り物は案外必聴。大音量で、大人数の割に結構統制が取れてます。しかも 4割り の縦系と 3割りの横系をしっかり使い分けていて、なかなか良いリズムを作っています。
とまれやはり人の目は派手なものに行きがちなもの。派手路線となるとやはり企業参加のチームは大部隊で派手さも違います。これはアサヒの隊ですが、でっかい山車(だし)と多数のサンバダンサーを擁し、ひときわ目を引いていました。でも山車の先頭にいる人は日本人で、何故か日焼け知らずの美白ガール。一体何故? まあ多分ミス○○とか、キャンギャルとか、社員のキレイどころかというヒトなんでしょうねぇ。
ちなみにこの山車では、先頭にいたヒトより後ろに居たヒトタチの方がサンバ風でした。
3-4 車線の道路を封鎖して行われる、この様な夏の終わりの最後の悪あがき。このため交通は麻痺し、ひしめく人の群れで歩道も思うように進むことができない。沿道の喫茶店ではアイスコーヒー 1杯で何時間も居座る客。そして何よりヒドイ騒音。でもいいのだ。祭りなんだから。夏なんだから。夏の終わりの、最後の悪あがきなんだから。こんな狂気も終わってしまえば、ぼんやりしてなまったるい、それでいて妙に甘美な記憶として人々の心に残るのだから。