about : 東京の空にフライング・ヒューマノイドを見た!


序章

フライング・ヒューマノイド、それは近年メキシコで目撃されている人型の飛行物体である。
少なくとも 3件の目撃例があり、その内 1件では 1000人を超える群集の上空をゆうゆうと
飛行し続け、やがて飛び去ったという。

そしてそのフライング・ヒューマノイドだが、実は日本にも実在する、という噂が
30年以上の昔からまことしやかに囁かれていた。

目撃談

今回私は、偶然にもフライング・ヒューマノイドを目撃したという人物とコンタクトする事に成功した。
以下はその目撃談である。
そう、あれは元旦の夜…正確には 1月 2日の未明の事だった。
初詣の帰りに友人の家で酒を飲んだ後だから、そうだな、2時から 5時の間だと思うよ。
帰り道を歩いていたら、何だかヘンだったんだ。何て言えばいいのか分らないけど、
ともかくヘンな感じがしたんだ。うなり、って言えばいいのかな? 低い音の、
ハウリングみたいな不思議な音がしたんだ。普段その辺を歩いてる時には
聞いた事がない音だったよ。周りを見回しても、そんな音を出しそうな物なんて
なかったしね。でも音はだんだん近づいてきたんだ。そしてまさかと思って上を
見上げてみたら、何かいたんだ。うっすらオレンジ色に光っていて、回転している
みたいだった。星じゃないし、太陽でもない。丸くないんだ。しばらく呆然と
見上げていたら、それはだんだん近づいてきて、そうだな、50m位まで来たところで
止まったんだ。まるで意図でもあるかのようにね。それではっきり分ったよ。
人、人型だったんだ。両手を挙げて、足は揃えて膝を曲げていた。しかも
笑っていやがった。まるであざ笑うかのようにね。そしてその体勢で、
ゆっくりと回転していたんだ。
そしてふと、目が合ったんだ。そして俺が呆然と見つめているのを確かめ、まるで
満足でもしたかのように、それはゆうゆうと西に向かって飛んでいってしまっんだ。

取材敢行

私はさっそくこの目撃談の現場へ向かった。

そこは何の変哲もない住宅街であった。
はたしてこんな所に、フライング・ヒューマノイドは本当に出現したのだろうか。
しかし今は信じるしかない。そこで私は、ここで数日間の泊り込み覚悟で
空を監視する事にした。

フライング・ヒューマノイドを目撃するまで帰らない、そんな意気込みで。
しかしフライング・ヒューマノイドは私の前になかなか現れなかった。

1日、2日、次第に気力、そして体力を消耗していった。

3日目、疲労の色はもはや明らかだった。私の顔には失望感が現れていた。
フライング・ヒューマノイドは、本当にここに現れたのだろうか?

と疑問を口にしようとしたその時、ついに私の目の前に、オレンジ色に光る飛行物体が現れた!
光に包まれ正確な形状は判らないが、確かに人型で、回転している様だ。
フライング・ヒューマノイド…
私はその場で立ち尽くし、心の中で呟いた。

フライング・ヒューマノイドは目撃談と同じようにゆっくりと私に近づいてきた。
そして確かに 50m程の所で停止し、ゆっくりと回転していた。顔には満面の
笑みを湛えていた。
flying humanoid

オレンジ色にうっすらと発光して、回転しながら悠々と空中を飛行する様は
優雅で、神がかり的なものがあった。ふと、テオティファカンの古代の王の
伝説を思い浮かべた。

しかし、その後は目撃談とは違っていた。フライング・ヒューマノイドは
さらに私に近づいてきたのだ。しかもゆっくりとではなかった。
フライング・ヒューマノイドの顔が一瞬強張ったかと思うと、体を包む
オレンジ色の光が強くなり、次の瞬間には私の目の前に到達していたのだ。
50mの距離を一瞬で駆け抜けて来るなど、現代の科学では考えられない。
フライング・ヒューマノイドは我々の想像もつかない、恐るべき能力を持っていた!!

そして私の脳裏に一つのイメージを焼き付け、フライング・ヒューマノイドは
また悠々と飛行をはじめ、西の空に去っていった。

飛行方法

フライング・ヒューマノイドが焼き付けたイメージは、多分皆さんの疑問への
答えになる事だろう。つまりこういう事だ。

フライング・ヒューマノイドはいったいどうやって空を飛ぶのか?

すごいジャンプ力なのか? いや、そうではない。跳躍力は人並み、垂直飛びは 50cm そこそこだそうだ。
では未知の力が? いや、それも違う。スプーンも曲げられないし、透視ができる訳でもないらしい。

ではどうやって飛行するのか?
次の図は、フライング・ヒューマノイドが私に焼き付けていった、彼らの飛行メカニズムを絵にしたものである。

how to fly

お分かり頂けるだろうか?

ここで、実は回転するのは必須なのだが、重要ではない。即ち、早く回る必要もないし、
ゆっくり回っていても飛べるのだ。重要なのは、気の向くままに任せる、心地よい周波数で
回転する事なのだ。無理をして早く回るのはむしろ良くない。無理をすると、熟練の
フライング・ヒューマノイドでさえ、最悪墜落してしまう事もあるという。

では何が飛行にとって一番重要か? 多分、賢明な読者諸氏ならもうお気づきであろう。
笑顔だ! 最高の笑顔だ!! 最高の笑顔こそ、飛行を可能にするのだ!!! 笑顔から発せられた熱が
上昇気流を生み、回転によって生じる下降気流と相まって空気の渦を形成する。
そして体全身でその渦を全身で受け止める、これこそが彼等の飛行メカニズムなのだ。

つまり、彼等がフライング・ヒューマノイドであるという事は、彼等の笑顔が素敵だという
事と同義である。そしてこれから、こう考える事もできる。

私達もフライング・ヒューマノイドになれるかもしれない。
笑顔が素敵でありさえすれば、フライング・ヒューマノイドになれるかもしれないのだ!!

推測

ここからは私の推測である。我々人類は、元はフライング・ヒューマノイドと同じ生物だったのではないだろうか。
それがある時、一部は空を飛ぶ事を止めて地上に降り立ち、地上の生き物となった。また一部は空を飛び続ける事を選んだ。
そして空を飛ぶ事を止めた私達の祖先は、地上で繁栄を極めた。そしてその営みの中で、ふと空を飛ぶ方法を忘れてしまった
のではないだろうか。
それ故、人間は有史以前より飛ぶ事を夢み、実現するためにさまざまな努力をしてきたのではないだろうか。
そして今、フライング・ヒューマノイドが我々の前に姿を見せるのは、それを、私達も空を飛べるのだという事を
思い起こさせようとしているのではないのだろうか!?

しかしこれらは推測に過ぎず、本当のところは誰にも分らない。

しかし、フライング・ヒューマノイドは、ここ日本に存在した。
都会の雑踏に紛れ、彼らが日々飛び続けているところを、私は確かに目撃した。


homeに戻る