2009年、すっかり秋めいてきたある日、2002年に購入した AT-900C をいつもの様に起動すると、どうもおかしい。一度 login して、起動に数分かかるこのマシン、login 後はしばらく display を消して放って置くのがエコロジストの心意気。そして数分というか 10分は経ったかという頃に display を付けてみると、なぜか再度 login 画面になっている。
ほっほっほ、我も老いたものよ。login せぬまま login 終了を待っていたとは。
そう思い、再度 login して数分置く。但し今回は、念のため display は付けたままに。するとどうだろう、longin して xp が立ち上がり、暫くすると電源が落ちて、再起動しているではないか。
何だか、裏切られた気がした。長年鍛えてきた後輩が部活や仕事を止めてしまった時の様な、心の奥底で何かがパチンと弾ける様な、そんな気がした。機械は裏切らない、科学は常に我とある、そう思っていた。だがそれは違う。スカイネットは反乱を起こすし、ロボットだって人間に牙を剥くんだ。PC が私の足元を掬う日も、来たっていい。仕方ないんだ。
しかし落胆ばかりしてはいられない。webpage に weblog と、更新がイッツマイビジネスと言わんばかりの通過儀礼が待ち構えている。これをこなすには PC が、起動する PC が必要なんだ。起動してすぐに終了する PC ではダメなんだ。
PC は起動しない、だが PC 上ですべき事がある。それはつまり、購入しか道は無い。それ以外にはネットカフェで作業をするという手もあるが、うっかりそのままネットカフェに住み着いてしまったらそれはそれでかなり面白い。
面白いとか言っているとついぞやってしまう自分が見えるだけに、なるべくネットカフェには立ち寄りたくない。何しろあそこにはシャワーまであったりするからな。
仕方なく、翌日休みにして、秋葉原へ行く事にした。考えてみれば、PC 関係で秋葉原に行くなんて数年ぶりかもしれない。そんなカオスへ突入しなければならないのだ。くそう、間違いなく HDD のとあるセクタが飛んだだけだと思うんだけど、セーフモードで立ち上がっても仕方ないしな、アスホール。
時は今、Windows 7 が出るちょい前である。それなのになぜ今、あれ程忌み嫌っていた Windows Vista しか買えないというのに、PC を買わねばならないのか。これはまさに Microsoft Timer というか、ビルの呪いに違いない。
だが、丁度いいといえば丁度いいのかも知れない。何故なら今、私にはとても気になる PC があったからだ。それは、ASPIRE REVO だ。元々 PC の小型化にとても興味があった私、MINI-ITX とかの超小型 PC など、これこそ技術の粋を結集した傑作、という様な PC がたまらなく好きだ。そんな私の答えの一つがこれであり、金と場所さえあればと思っていたところだった。
これを探して歩いていたのだが、どこへ行っても案外置いていない。というか小型 PC って、マイノリティなのか? ショップブランド系は大型筐体しかないし、小型はベアボーンしか置いてない。OS 自前インストールで小型はちょっと危険な香りで、ちょっと出を出したくない。できれば OS インストール済み完成品プリーズって事で、ツクモへ。するとどうだろう、ようやく捜し求めた Aspire REVO が置いてあるじゃあないか。値段は 39800円。ネットの最安値よりも随分とお高いが、これはやはり業績が厳しいとか存続が危ういからなのだろうか? てゆーかお前ら、ツクモのネットショップでは 34000円位で売ってたくせに、なんだよこのボッタクリだ値! は!? あの界隈で唯一信頼できる店と思っていたが、もう考えを改めねばならぬ時が来たかとちょっと落胆した。
でもまあそれはそれ、気に入っていた店へのカンパみたいなモンだと自分に言い聞かせ、買って帰った。実際はポイントが結構付いて、それで外付け DVD ドライブをほぼタダで買えたのでまあいいかと。
これが Aspire REVO 本体である。単三乾電池と比較してこの大きさ、どれだけ小さいかがお分かり頂けよう。ほぼ 20cm×20cmの大きさで、これが Vista が動く PC なのかと疑問に思う程小さい。
これが Aspire REVO の正面。メモリカード I/F、音声 I/F、HDMI が搭載されている。正面の HDMI は微妙だが、使い勝手を考えての構成と言える。
これが Aspire REVO の裏面。USB 2.0×4、有線 LAN、HDMI、アナログ VGA、電源ポートが並ぶ。最新の PC とは言え、アナログ VGA を搭載してくれているのは嬉しい。個人的には PS/2 があれば最高なんだが、超小型 PC には少々厳しい注文か。
これが Aspire REVO の上面。おまけと言わんばかりに USB 2.0×2 が付いている。本体に拡張性が無い分、USB を多数積むというのは 1つの良回と言える。下の部分はファンだが、発熱量の少ない Atom では、起動時にフッと排気する以外は殆ど無音で排気も少ない。
小型 PC の観点から要点を挙げて説明したが、これ以外にもワイヤレス PC とでも呼ぶべき特徴を、この PC は持っている。本体に無線 LAN を持ち、ワイヤレスキーボードとマウスが付いているのだ。さらに VESA マウントを利用して display の背後に本体を括り付ける事もできる。これにより、電源以外の配線を無くす事も可能なのだ。display に向かって操作するだけでできてしまうコンピューティング、これこそまさに科学の粋、といってもいいのではないだろうか。
さて、この Aspire REVO だが、当初予想していたよりも十分 "使える" PC だ。今まで使っていた Pentium 4 1.6GHz と比べて全く遜色なく動き、むしろちょっと早い気もする。尤もこれは、バス速度向上の影響が強いかも知れない。
OS についても、OS にとって全く必要のない効果を削除する事で、通常使用には特に支障を来たす事もない。重たいアプリを動かしたりしない限りはこの PC で不便を感じる事はなさそうだ。
動画についても ION のお陰か、処理落ちせずに観る事ができる。DVD なら処理落ちはまずないし、web 動画も問題なく観られる様だ。Atom 230 という非力な CPU だけに性能不足を心配していたが、それは杞憂だった様だ。てゆーかオーバースペック求めて来たけど、実はそんなの要らなかったんじゃない? という感じ。第一やってる事は 2000年以降たいして変わらないからなぁ。
よしよしマシン性能には問題ないぞ。だがそれ以外には大きな問題がある。OSだ。何だよこの Vista って OS は。
ヘンな効果ばっかり付けて。エクスプローラは見づらいしアイコンはデカいしすぐシャットダウンできないし。あの使いやすかった xp をどうしてここまで使いづらくできるのか。確認とかも多すぎるし。システムのプロパティ表示するのに何確認してんだよ。アホが使う事前提か? ふざけんな。そういうヤツら用には Windows Fool とか作ればいいんだ。
それ以外にも、光学ドライブが無いのも少々痛い。ドライブは外付け DVD を買いはしたが、これを使う度に差したり抜いたりするのが面倒で、最近はメディアに焼く事をせずに HDD でデータを保管する事が増えてしまった。でも実際メディアに焼くと、そのメディアはその一生を終えるというか、焼いたはいいが 2度と観る事はないという事態に陥る事が多い。そういう意味で、書き込みのケースは目をつぶっておける。読み込みについては、動画かアプリのインストールだろう。それもネットワークからが主流だし、光学ドライブを利用するケースは殆どないのかも知れない。これからの利用方法を、ドライブ無しで組んでいけばいいのかも知れない。
ともかくマンゾック。小さい事はいい事だ!