夜 9時、千代田線北千住駅。 いつもの帰宅風景。 駅について、降りる人に道をあけるため降りたプラットフォーム。 乗車を待つ人々の列の中に、少々髪型に違和感を覚える男性がいた。 しかし彼は、髪の端を金色に染めており、髪にはこだわりが感じられた。 あまりジロジロ見ているのも失礼なので、できるだけ気にせずにおいた。 降客が去り、乗客が動き出した。 偶然私は、先程の虎縞ヘアーの男性に続いて乗り込むこととなった。 そこで気付いた。 |
くそっ! 何て事だ。つむじ無しだ!! |
違和感を覚えた理由は単純だった。異様にボリュームが少なく、 頭部に髪がぺったりくっついている様な感じになっていたからだった。 言うなれば、濡れタオルを頭に乗せているかの様に。 見たところ、生命反応が無い部分には着色しておらず、 生命反応が有る部分に以前着色したものが残っている様に思える。 これもある種の偽装手段なのだろうか。 しかし私は思う。目立たぬ事こそ最善の策なのではないだろうかと。 私の目につきさえしなければ、この "カツラの鷹" と呼ばれる私に 見付かりさえしなければ、見破られる事などそうはないだろうて。 |
−以上− |