about : ファイナル・カウントダウン

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ある人の話を聞くにあたり、それが冗長になるだろうと予想できたとする。
そんな時どうしたらいいか、考えてみた。

第一に、予め手短にするよう通知しておく事、そして第二に、話の途中で
方向を修正したり誘導したりする事が挙げられる。

第一の手法では結局相手の技量に左右されてしまうし、話を手短に
できる人であれば、頼まなくてもそうしてくれるものだ。
第二の手法では相手の話の腰を折る事になり、どうも気が引ける。
これらの手法には、あまり期待できそうにない。

では、話を早くせざるを得ない状態を作り出すというのはどうだろう?

そこで一計を案じた。
一定時間が経過する毎にシャツのボタンを外していく、というものだ。
これにより、会話による時間経過を相手に通知する事ができる。
さらにご承知の様にシャツについているボタンは限られている訳で、
全てのボタンが外れてしまうとどうなるかを考えると、否が応でも
話を早くせざるを得ない。何故ならそこには危険が待っているのだから。

早速この手法を実践する事にした。
被験者は会社の後輩とした。最悪セクハラで訴えられる事も予想されるが、
相手は男だ。あられもない事をされたと周囲に勘違いされたりする事を
危惧して男からセクハラを受けたなどと訴え出る事はきっとしないだろう。
(そんな事で周囲から慰められでもしたら、人生は破滅だ)

早速話中に "さりげなく" ボタンを外してみた。
するとどうだろう、あまりのさりげなさのせいか、私がボタンを
外しているのに相手は全く気付いてくれなかった。

そしてボタンは全開に。

仕方なく、今度はボタンを付け直した。

全て付け終わると、また外した。

そんな付け外しが 20回に達したところで、ようやく話が終わった。

後輩の当初の目的は達成された様だ。
しかし私の当初の目的は達成されなかった。
私は、無力だった。

その日の夜、私は枕を涙で濡らした。
このやるせない気持ちを、先の会話を 20ヌードと評価する事で、
ごまかす事にした。
−以上−

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