"目には目を、歯には歯を" これはやられたらやり返すという意味で解釈されている。 がしかし、本来の意味は違うのだという。 "目をやられたのなら目まで、歯をやられたのなら歯まで" だというのだ。 つまり、これは報復に制限を課しているのだ。 もし被害以上の報復をすれば、応報は際限なく続き、拡大する。 その結果がもたらすものは考えるまでもない。 だから、昔から知恵のあるものはその制限を設けてきたのだ。 そのもっとも進んだ考えは "右の頬を打たれれば左の頬を差し出せ" だ。 一切の報復を禁止したのだ。 (ただこれを笑顔でやってしまうと、単なるマゾと勘違いされてしまうので注意が必要だ。) 報復から何が得られるだろう? 被害が元通りに回復するだろうか。 恨みが晴れるだろうか。 起こってしまった事象の存在確率は常に 1 である。 なかった事にはできないし、忘れる事もできないだろう。 被害を思い起こすたび、嫌な思いは尽きないだろう。 そればかりか、報復する事で自分の手も汚してしまう。 多分、後味の悪さを味わって終わるのがオチだ。 (湾岸戦争のときでさえ、兵士には心的障害があったという。) 嫌なヤツが大変な目に逢っているのを見て、胸がすくのだろうか。 それはエンターテインメントではないのか? それはなされなければならないのか? それは贖罪たりえるのか? 報復する事が有意義であるというのなら、それを示して欲しい。 |
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