about : もち
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正月以来冷凍庫に眠っていたもちを食そうと思い立つ。
もちはかな〜り凍っている。表面は凍りつき、手に取ると
ひ〜んやり、カチカチ。これはどれだけオーブンで焼けば
いいのやらと思いつつ、私の目に入ったのは電子レンジ。
その時、私の前頭葉に浮かんだ電球の画は眩いばかりに
光り輝いていたのは言うまでもない。
皿にもちを乗せ、ラップをまき電子レンジにロード。そして
スタート。徐々にもち表面の氷が溶ける。私の顔には勝利の
微笑み。しかるにその微笑みはすぐに打ち砕かれるのだった。
もちの型が崩れ、ラップに押しつぶされ、みるみるうちに
平べったくなっていくではないか。慌ててレンジを止めるも
時既に遅し。もちは皿一面に広がってしまっていた。
後に残されたのは、もはやもちとは思えぬ得体の知れぬ
物体を一面に乗せた一枚の皿、そして空腹と絶望に包まれ
つつもただその皿を見つめ続ける一人の漢の姿だった。
しかしこれは、どういう原理なのだろうか。
−以上−
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