私は、ラーメンが好きだ。 街中の店で食べるのも好きだし、家で作るのも好きだ。 生麺も捨てがたいし、カップ麺は便利だ。 だがそれらより、長く食べ慣れた即席麺に、特に愛情を持っている。 即席麺となれば、何より素だ。 具など入れるのは以ての外。 そもそもあのスープには、味がついている。 具を入れる事で、その味を壊すのは適切でない。 その上、スープと麺のあの絶妙なバランスを、崩してしまう。 少なくとも即席麺に於いて具は邪道、そう思っていた。 だが今日、その概念が大きく揺らいだ。 それは、マルちゃん正麺に、訳あって人参を入れた時だった。 人参を 1/2本ほど切って入れ、少々色が出てくるまで茹で、 そこへ麺を入れて作った、ただそれだけの即席麺。 いつもの味わいから、遠く及ばぬ程、美味かった。 あの醤油と油が織り成す少々攻撃的な 2D 空間の味わいに、 人参の甘みが加わり別次元の、3D の味わいに変化したのだ。 せめて調味料を追加したとか、炒めた野菜を投入したとかなら そんなに感動もしない。美味くて当たり前だ。だって美味いもの入れたんだもの。 たかが人参、味が嫌いな人だっている。 正直自分でも、人参を好んで食べている訳ではない。 だがこれは。 素晴らしいの一言しか出ない。 |
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