about : ギンギラギンをさりげなく

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昨今は、どんな言葉でも短縮、短縮。大抵は 4文字程度に略されてしまう。
言葉は短縮する事で意味や味わいが変わってしまう事もあるのだし、
こんな日本の言語文化の変化に、どうしても眉を潜めてしまう。
そんな老人の気苦労を、ここに呈させて欲しい。

昭和の昔、ギンギラギンにさりげなくという歌があった。
このギンギラギンだが、もし昨今の短縮文化におされ、
ギンギンと短縮されてしまったら、どうなるだろう?
さめたしぐさであつくみろ なみだのこしてわらいなよ
あかいかわじゃんひきよせ こいのバンダナわたすよ
あめのなかでだきしめるぜ そっと

ギンギンにさりげなく そいつがおれのやりかた
ギンギンにさりげなく さりげなくいきるだけさ
冒頭部は、相手に悟られない様に冷めた体で、涙を流しつつ笑いながら、
熱い視線を送っている。多分見守り系の変態だ。

そいつは赤い革ジャンを引き寄せるのだが、それが自分の物か他人の物かは
言及していない。売り物かも知れない。次の節に抱きしめると続くので、
先ほど熱い視線を送っていた相手が革ジャンを着ていたものと思われる。

そして恋のバンダナを渡す。昨今バンダナといえばオタクの代名詞だ。
多分この熱い視線の主はオタクであると推察される。

そしてその遠くからネットリと熱視線を放つだけでは飽き足らず、
とうとう相手に手を出す。だがそっとだ。
多分女性の扱いに慣れていないに違いない。

だが、ギンギンだ。そしてさりげない。それがこの人のやり方なんだ。
この一連の流れ全てが、彼流なのだ。
ギンギンだ。そしてさりげない。さりげなくいきり立つだけだ。


まあこれはこれで、アリかもしれないが、
略してしまった事で、意味合いや味わいが違ってしまった事が、よく分かるだろう。
−以上−

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