ファイルNo.8 心を育てる子供部屋

 今の日本のような少子化社会おいては、子供部屋が必要なのは一部の住宅に限られると言っても過言ではありません。子供のいない家族のための家というのも、これからの家作りの一つの大きなスタイルになっていくでしょう。
 その一方で、子供を持つイマドキの親にとっては、子供部屋をどう作るかは大変重要です。どんな子供部屋にするかで、我が家の子育てが左右されることを考えれば、決しておろそかにはできない部分だからです。
 子供部屋について考えることは、子供との関係を見つめ直す良い機会でもあります。子供の心を育て、親子の絆を深められるような子供部屋について考えます。


ポイント その1 @基本中の基本−子供を孤立させない

 家の間取りは、そこに住む家族の生活スタイルによって変化に富むべきものですが、どんな間取りであっても、子供部屋を孤立させることだけは避けるべきです。たとえ子供が望んでも、決して「孤室」にしてはいけません。具体的には、「玄関から誰にも会わずに直接部屋に行ける」「ドアを閉めたら中の様子が全く分からない」「兄弟姉妹間の"関係"に壁を作る」ような間取りが悪い例です。

 子供を家の中で孤立させるということは、家族の中に子供の居場所をなくすことと同じで、社会の最小単位である家族でコミュニケーションが十分に取れなければ、学校や社会で人間関係を築くに当たっての大きなハンディとなります。ですから、どんな年齢の子供にとっても、まずは子供部屋よりも居心地のいい場所=家族の集う場所を作ってやることが大切です。子供部屋は、成長に応じて必要になってくる最小限のプライバシーを確保し、自己管理を学ばせる(整理整頓、掃除など)ツールとしてあれば十分なのです。

 最近はこのルールにのっとって、リビングイン階段・・・リビング内に階段があり、上の子供部屋に行くには家族のいるリビングを通る必要がある、が流行っています。ただし、このような階段は、特に冬場、リビング内の暖かい空気を上へ送り、逆に冷たい空気をリビングに送り込むという煙突現象を引き起こします。家全体が高い断熱性を持ち、暖房器具を必要としない場合を除き、リビングイン階段は「冬は寒い」ことを覚悟した方がいいでしょう。吹き抜けに関しても同様です。
 子供部屋を孤立させない方法は他にも色々と考えられます。快適性や全体的なバランスなども考慮しつつ、子供部屋(スペース)と他の部屋の視線・動線をつなげるといいですね。

ポイント その2 フレキシブルであること

 子供部屋は、子供の成長に合わせて作り変えられる可能性(可変性)を持たせておくことが要です。最近は、子供が小さい間は8〜12畳程度の一部屋を共同で使わせ、ある程度の年齢になったら家具や仕切り壁で2部屋に分けるという家が多いようです。この場合、最初から出入り口を2ヶ所設け、照明や窓などが部屋を分けた時に同じバランスになるようにしておきます。

 一般に、小学校入学前までは、遊びや生活の場をリビング内など親の目の届くところに設けるのが望ましく、個室は特に必要ありません。小学校低学年では片付け、就寝、着替えなどを子供部屋で行う程度で、宿題などはリビングというパターンが多いようです。その後だんだんと自分のエリアを持ちたがるようになるので、共同の部屋の中に専用スペースを決めて、その部分は自分で整頓し掃除するよう促すと良いでしょう。
 小学校高学年以上になると、兄弟間の性別に配慮が必要になってきます。同性同士ならば緩やかな間仕切り(カーテンなど)、異性ならばある程度しっかりした間仕切り(家具など)を作ると良いのですが、親が過剰に配慮する必要はなく、子供たちの性格や仲の良さを見て、おおらかな気持ちで進めましょう。

 間仕切り壁を作って完全に個別の部屋にするなら、中学生以降に。親の干渉を嫌い、自分だけの空間を欲しがる年頃ですが、ドアに鍵をかけたり、家族を入れないようでは行き過ぎです。自分で掃除などの管理をさせつつ、家族も気軽に出入り出来るようにしたいものです。だだし、この時期の親子関係は、それまでの積み重ね次第と言われます。難しい思春期を親子共々うまく乗り切るには、幼児期からコミュニケーションを十分に取ることが肝心だそうです。

*まとめ*
 「子育てに王道なし」と同じく、「子供部屋作りにも王道なし」ですが、上記の2点は是非押えておきたいところです。また子供部屋が必要なのは、10歳頃からせいぜい10年程度。長くても大学卒業までの15年程度です。子供部屋を一番日当たりが良く快適なところに作るのは、本当にもったいないと思うのですが、みなさんはいかがお考えになりますか。

 そもそも居心地の良すぎる子供部屋は、家族との関わりを希薄にし、非行や引きこもりの温床になりやすいと言われます。どの年齢の子供でも、基本は家族と共に過ごすこと。勉強と睡眠以外は、出来るだけ部屋にこもらないことを習慣付けたいものです。子供可愛さに部屋を整えすぎるのも逆効果。子供部屋は勉強と睡眠がしやすいことが一番で、広さや日当たり、設備が整っている必要は全くありません。

 ところで、子供が自分の部屋を持つのが普通になったのは、いつ頃からなのでしょうか。核家族が増え、子供の数が減ったために、子供が部屋を持つことが当たり前になったわけですが、その恵まれた環境ゆえに子供の心を育てるのが難しくなったとも言われます。私たちも、これからもっともっと子供部屋というもののあり方について考えていきたいと思っています。

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