Chapter 5  強く儚きものへ ---------- ●ソンティー台地● ファズ 「漆黒の鎧を着た男・・・・・。  お前がブラックソーンか!」 ブラックソーン 「・・・・・・・・・・  そうだ。」 ファズ 「お前か!  お前が、  ディソールを襲ったのか!」 ブラックソーン 「・・・・・・・・・・。」 ファズ 「答えろっ!」 ブラックソーン 「・・・・・・・・・・。」 ファズ 「口をきくまでもない  ということか!」 ---------- ●ソンティー台地の戦い後● ファズ 「どうだ・・・・・  これで  少しは話す気になったか!」 ブラックソーン 「・・・・・・・・・・  なるほど・・・・・・・・・・。」 ファズ (まさか・・・・・  無傷だと・・・・・。) ファズ 「!!!!!」 ブラックソーン 「・・・・・・・・・・  今回は、お前を殺すのが  目的ではない・・・・・。」 ファズ 「・・・・・・・・・・。」 ブラックソーン 「・・・・・・・・・・  目的はすでに果たした・・・・・  さらばだ・・・・・。」 ---------- ●城塞都市マルファ● アルヴィーン 「よくここまで来たな、  ファズ。  しかし、ここはヴァレイム領、  しかも首都の目と鼻の先だ  ここで剣を引き、軍を返せ。」 ファズ 「アルヴィーン、もうよせ。  お前は非がヴァレイムに  あるのを分かっているはずだ。  なぜヴァレイムのため戦う。」 アルヴィーン 「なぜ?  俺はヴァレイムの将校だ。  ヴァレイムの民のため戦うのは  当然だろう。」 ファズ 「お前もカームウェルの町で  見ただろう。  ヴァレイムは民衆を苦しめて  いる。ヴァレイムを倒すのは、  民衆のためでもある。」 アルヴィーン 「カームウェルは  元ナイトウェルド領。  しかし、ここマルファや  首都ラエタは違う  古くからのヴァレイム領だ。  民は恐れている。  ここの民にとってお前は、  アウスに攻め込んだ  俺と同じだ。」 ★選択肢 →「違う!」 ファズ 「俺たちは・・・・・  そんなんじゃない!  普通の人たちを  傷付けるつもりはない!」 アルヴィーン 「違わないな。  お前たちがどういうつもりでも  民衆はそうは思わない。」 レイマリー 「・・・・・確かにお前の  言うとおりかもしれない。」 ファズ 「レイマリー・・・・・。」 アルヴィーン 「お前がレイマリーか  ・・・・・。」 レイマリー 「しかし、フェルナンデスは  倒さねばならない。  フェルナンデスは  マーディアス大陸を  崩壊に導く。」 アルヴィーン 「ヴァレイムの問題は  ヴァレイムのもので  片付ける。」 レイマリー 「フェルナンデスのそばには  ブラックソーンがいる。  奴は危険だ・・・・・。」 アルヴィーン 「・・・・・・・・・・  お前はやはりブラックソーンと  つながりがあるのか・・・・・。  確かに  ブラックソーンは危険な男だ。  だが奴は俺が押さえる。」 レイマリー 「ブラックソーンは  サーナス王伝説に関連して  動いている。  伝説に伝えられることは  動き出した。  今起きようとしていることは  もはや、ヴァレイム、  ナイトウェルドといった  国家間の問題ではない。  精霊達も含めたマーディアス  大陸全部の問題だ。  国家間で争っている  場合ではない。  戦争を早く終結させるためにも  フェルナンデスは  倒さねばならない。」 アルヴィーン 「ブラックソーンが  サーナス王伝説に関連して  動いているのは  俺も知っている。  戦争を早く終わらせたければ、  お前たちが兵を引けばいい。」 レイマリー 「さっきも言ったように、  伝説に伝えられることは  動き出した。  お前1人でどうこうできる  問題ではない。」 アルヴィーン 「・・・・・・・・・・  どうしても引かぬとあれば  よかろう、  この俺を倒していくがいい。」 ファズ 「やめろ、  俺はお前とは戦いたくない。」 アルヴィーン 「ファズ・・・・・  俺がお前と戦う理由がもう一つ  ・・・・・・・・・・  本当は俺はお前と  ふたたび戦える日を  待ち望んでいたからだ。  いくぞ!  ファズ!」 ★選択肢 →「それは、そうかもしれない・・・・・。」 ファズ 「しかし、フェルナンデスは  倒さねばならない。  フェルナンデスは  マーディアス大陸を  崩壊に導く存在だ。  奴を倒せば戦争は終わる。」 アルヴィーン 「ヴァレイムの問題は  ヴァレイムのもので  片付ける。」 ファズ 「もう、ヴァレイムだ、  ナイトウェルドだといって  国家間で争っている場合  じゃないんだ!」 レイマリー 「ファズ・・・・・。」 ファズ 「レイマリー・・・・・。」 アルヴィーン 「・・・・・・・・・・  お前がレイマリーか・・・・・。」 レイマリー 「フェルナンデスのそばには  ブラックソーンがいる。  奴は危険だ・・・・・。」 アルヴィーン 「・・・・・・・・・・  お前はやはりブラックソーンと  つながりがあるのか・・・・・。  確かに  ブラックソーンは危険な男だ。  だが奴は俺が押さえる。」 レイマリー 「ブラックソーンは  サーナス王伝説に関連して  動いている。  伝説に伝えられることは  動き出した。  今起きようとしていることは  もはや、ヴァレイム、  ナイトウェルドといった  国家間の問題ではない。  精霊達も含めたマーディアス  大陸全部の問題だ。  国家間で争っている  場合ではない。  戦争を早く終結させるためにも  フェルナンデスは  倒さねばならない。」 アルヴィーン 「ブラックソーンが  サーナス王伝説に関連して  動いているのは  俺も知っている。  戦争を早く終わらせたければ、  お前たちが兵を引けばいい。」 レイマリー 「さっきも言ったように、  伝説に伝えられることは  動き出した。  お前1人でどうこうできる  問題ではない。」 アルヴィーン 「・・・・・・・・・・  どうしても引かぬとあれば  よかろう、  この俺を倒していくがいい。」 ファズ 「やめろ、  俺はお前とは戦いたくない。」 アルヴィーン 「ファズ・・・・・  俺がお前と戦う理由がもう一つ  ・・・・・・・・・・  本当は俺はお前と  ふたたび戦える日を  待ち望んでいたからだ。  いくぞ!  ファズ!」 ---------- ●城塞都市マルファの戦い後● アルヴィーン 「くっ・・・・・  俺では奴らに勝てない  というのか・・・・・。」 ファズ 「アルヴィーン  もういいだろう・・・・・。」 アルヴィーン 「俺は・・・・・  同じ敵に2度も情けを  掛けられるようなら  死を選ぶ・・・・・。」 ファズ 「よせ、アルヴィーン。  お前は  ヴァレイムの人たちの間で  人望が高いと聞いている。  戦争が終わった後、  ヴァレイムの人たちに  必要な人間だ・・・・・。  ここで死ぬのは誇り高き  人間の取る行動じゃない。」 アルヴィーン 「・・・・・・・・・・。」 アルヴィーン 「もう一度、  もう一度だけ借りておくぞ  ファズ。」 ファズ 「アルヴィーン・・・・・。」 ●ヴァレイム領 首都ラエタ城内● フェルナンデス 「大地の神殿に戻るだと・・・・  どういうことだ。」 ヴィラ 「どうしたもこうしたもない。  ヴァレイムはもう終わりだ  ・・・・・  私の計画どおりではなかったが  お前はこの大陸中を戦渦に  巻き込むという役割を  よく果たしてくれたよ。  おかげで伝説の預言は動き出し  伝説を紡ぎ出す6人の星神と  カーシリアスの民は  集まりつつある。」 フェルナンデス 「最初からわしをたばかって  おったのか・・・・・。」 ヴィラ 「何を言う、コインフェイムを  お前に教えてやったのは私だ。  お前がここまでなれたのは  私がいたからだ。  お前が余計な野心を持たず、  アウスなんぞほっといて  私の言うとおりラー・デルーを  攻略しておれば、  しばらくは  この大陸の支配者として  いい目が見れたものを  いらぬ野心に目がくらみ  アウスなんぞを攻めたのが  お前の失敗だ。  人のせいに  せんでもらいたい。」 フェルナンデス 「ぬぅ・・・・・  ブラックソーン!」 ヴィラ 「・・・・・・・・・・  ハーハッハッハッ!  お前は誰に  命令しておるのだ。」 フェルナンデス 「ブラックソーン・・・・・  貴様もか・・・・・。」 ヴィラ 「ブラックソーンは  元々私の部下だ  お前がその野心のために  私の計画から外れすぎたことを  しないか、  それを監視する為、  送り込んだのだ。  さて、私は伝説の預言の  次の章に進むための準備を  しなければならないので、  ここでおいとまする。」 フェルナンデス 「・・・・・わしを  ・・・どうする気だ・・・。」 ヴィラ 「別にどうもしない・・・・・  お前なんぞほっておいても  伝説の預言が  そのとおりに進行すれば  どうせ人間は滅ぶ・・・・・  だが、お前にも  最後の協力をしてやろう。」 ヴィラ 「最後にこの兵士をやろう。  お前も一代の野心家なら、  自分の生死は  自分で決めてみろ。」 アルヴィーン (・・・ヴァレイムも・・・  もう終わりか・・・・・  ファズ・・・・・  借りは返すぞ・・・・・。) ●首都ラエタ近郊● ジェラルド兵 「報告いたします。  我がジェラルド軍は、  カームウェルの解放軍と共に  ウィデンの町の解放に成功。  ラエタの北門を攻めるため  軍を集結させました。  同じく、リューペール様率いる  ナイトウェルドの  ダ・ナント騎士団も  同じく東門を攻めるため  軍を集結させているそうです。  あなた方の独立部隊が西門を  攻めればそれに呼応して、  各門を攻める手はずと  なっております。」 ファズ 「報告ご苦労様です。  ゼルスタン王も、  リューペール様もついに  ここまできたのですね。」 ジェラルド兵 「はい、  あなた方が  ヴァレイムの東南部を押さえて  いてくれたからです。」 ファズ 「とんでもありません。  俺たちの力なんて  たいしたことありませんよ。  ゼルスタン王には承知しました  と伝えて下さい。」 ジェラルド兵 「承知いたしました。」 ジェラルド兵 「ファズさん  ・・・・・  早く戦争が  終わるといいですね。」 ファズ 「ああ、そうですね。」 ジェラルド兵 「では、ご武運を!」 ファズ 「あなたこそ。」 ---------- ●首都ラエタ● フレーマー 「来ました!」 ブルサシュ 「うろたえるな!」 ファズ 「おとなしく降伏しろ。  降伏すれば  危害は加えない。」 ブルサシュ 「なにを言う。  貴様らは俺たちの故郷を  踏みにじる侵略者だ!  誇り高きヴァレイムの軍人は  そんな奴らに  降伏したりはしない。」 ファズ 「やめろ、  北門も東門もジェラルドの兵と  ダ・ナント騎士団に  攻められている。  お前たちに勝ち目はない。  無駄な血は流したくない。  降伏してくれ!」 ブルサシュ 「うるさい!  俺たちは  侵略者に降伏するくらいなら  死を選ぶ。」 ファズ (くっ、  こんな人たちとも  戦わなくてはならないのか  ・・・・・。) ブルサシュ 「いくぞ!  侵略者に裁きを!」 ---------- ●首都ラエタの戦い後● ブルサシュ 「・・・・・  ヴァレイムの者は・・・・・  決してお前らのことを  忘れない・・・・・  この侵略者め・・・・・  ヴ、ヴァレイム万歳  ・・・・・。」 ファズ (ファズ・・・・・  この人殺しめ・・・・・  いったい何人の人を  殺してきた・・・・・  何人殺せば気が済む  ・・・・・。) ファズ (すまない・・・・・  しかし、  俺はもう後戻りは出来ない。  これ以上犠牲を出さない為にも  フェルナンデスを倒す。) ---------- ●ラエタ城内● ファズ 「・・・・・・・・・・  追い詰めたぞ・・・・・  フェルナンデス!」 フェルナンデス 「小僧、お前が伝説を  紡ぐ出す者か・・・・・。  お前もわしも同じだ・・・・・  ヴィラの奴の手の上で  踊らされて・・・・・。」 ファズ 「俺は、お前とは違う!  お前は戦争を生み出す元凶だ!  お前だけは、  行かしてはおけない!」 フェルナンデス 「勝てると思うなよ  ・・・・・。」 ファズ 「俺が倒れても  ゼルスタン王がいる。  リューペール率いる  ダ・ナント騎士団がいる。  それらが倒されても  平和を求める人たちは  いくらでもいる。」 フェルナンデス 「戦うのは人間の本能だ、  どんなに多く平和を望む人間が  いようと戦いを望む人間は  それ以上にいる。  人間の歴史は  大半は戦いの歴史だ  平和など戦いという名の  舞台の間の寸劇にすぎん。」 ファズ 「そんなことはない!  戦いは一部の人間の欲望や  野心から生まれるんだ!  それによって、  平和を求める人々も  狂わされていくんだ!」 フェルナンデス 「それは、  本能が目覚めるからだよ。」 ファズ 「お前の言っていることは  過ぎた欲望や  野心を持つ人間の言う  言い訳だ!」 フェルナンデス 「どうやら、小僧、  お前とは平行線のようだ。  お前が平和をもたらすことが  出来るなら、わしを倒して  やってみろ。」 ファズ 「最後だ、フェルナンデスっ!」 ---------- ●ラエタ城内の戦い後● ファズ 「最後だ・・・・・  フェルナンデス。」 フェルナンデス 「どうやら・・・・・  そのようだな・・・・・  最後に聞け、小僧。  わしはもともと欲望や野心の  強い男だったが  理性でそれを  押さえていた・・・・・。  多くの人間はそういうものだ。  わしは大地の神殿の有る  地方の官吏となった時、  大地の神殿の  司祭と会った・・・・・。  そして、コインフェイムを  見せられた・・・・・。  この力を手に入れることが  できたら・・・・・  その時だ、わしの理性は  吹き飛び欲望と野心が  大きく頭をもたげた・・・・。  わしはヴァレイムの  実権を握ったら  各地のイクシア遺跡を接収し、  管理下におくことを条件に  コインフェイムの製法と  使用法を手に入れた。  信心深いヴァレイム国王に  大地の司祭が推薦することで  わしは大将軍カムフォート卿の  補佐となりコインフェイムを  用いてユゴを制圧した。  そして力をつけたわしは、  カムフォート卿を失脚に  追込み大将軍となり、  更に、ナイトウェルド領を  次々と制圧することで功を上げ  宰相となった後は、  ヴァレイム国王を幽閉し殺して  ヴァレイムの実権を  握った・・・・・。  そうなると更にわしの欲望と  野心は大きくなった。  マーディアス大陸の統一を  求めるようになった  ・・・・・。  しかし、それはすべて  大地の司祭の計画通りで  あったようだ。  奴は、わしを使って  マーディアス大陸全てを  巻き込んだ戦争を起こし  コンフェイムを  マーディアス大陸の全土で  使わせることによって  マーディアス大陸を支える  多くの精霊の力を解放し、  伝説にある通りのことを  起こそうとしておる。  そして、伝説の通り小僧、  お前が現れ、司祭達もお前と  関わりを持つようになった。  大地の司祭の計画通り  伝説は動き出したのだ  ・・・・・  ここまでわしもお前も  大地の司祭の思惑通りに  動いておったというわけだ。」 ファズ 「・・・・・・・・・・。」 フェルナンデス 「大地の司祭の次の計画は  わしはしらん・・・・・  しかし、  伝説は次の章に進むと  言っておった・・・・・  そして、  そうなれば人間は皆滅ぶとも  言っておった・・・・・  恐らく  大地の司祭の次なる計画は  古の精霊の復活・・・・・  小僧、わしは自分の  欲望と野心のゆえに、  大地の司祭の計画から  逃れることは  できなかった・・・・・  小僧、  お前に出来るならやってみろ  大地の司祭は  ブラックソーンと共に  大地の神殿に行った。  自分に打ち勝ち、  大地の司祭の計画を  止めてみろ。  それが出来なければ  平和なぞ勝ち取れん  ・・・・・。」 ファズ 「・・・・・フェルナンデス  俺は自分に打ち勝ってみせる  そして、  大地の司祭を止めてみせる。」 フェルナンデス 「そうか・・・・・  では地獄で  それを見ているぞ。」 ファズ 「フェルナンデス!!」 フェルナンデス 「・・・・・わしも一代の欲望に  身を焦がした男だ・・・・・  地獄へ行くのに  誰の手も借りん・・・・・。」 フェルナンデスが死ぬ事で 戦争は一応の終結をみた。 その後、 ナイトウェルド国王とゼルスタン王、 リューク、リューペール、 それに俺による協議によって マーディアス大陸は一つの国として 統合されることになった。 初代の国王は戦争を終結に導いたとして ゼルスタンが戴冠することになった。 ゼルスタンは恩赦を施し、民衆を慰撫して ひとときの平和が訪れた。 ファズ 「ゼルスタン王、  ご相談したいことが  あるのですが・・・・・。」 ゼルスタン 「ファズか  まずは立つがいい。」 ゼルスタン 「今やお前はマーディアス大陸の  英雄だな。  本来、お前がこの椅子に  座るべきなのだろうが  ・・・・・。」 ファズ 「私はそんな器では  ありませんよ。  それよりも、  私はリュークさんと話が  したいのです。  すいませんが王と  リュークさん、  リューペール団長以外の方を  退出させてはくれませんか。」 ゼルスタン 「わかった。  皆、しばらくの間  下がってくれ。」 ファズ 「リュークさん。  俺がお聞きしたいのは  『サーナス王伝説私論』のことについて  です。」 リューク 「どういういきさつでその本のことを  知った・・・・・。」 ファズ 「レイマリーに聞きました。  レイマリーは人間が精霊に  贖罪するべきだ、そのためには  人間は滅びなければならないと。  そういって戦っていました。  そして、そう考えるきっかけの一つと  なったのが、あなたの書いた  『サーナス王伝説私論』です。  それに、大地の司祭の計画というのも  それと関わりがあるように  思えるのです。」 リューク 「まだそういうものがいたのか  ・・・・・。  分かった、  私の書いた本『サーナス王伝説私論』の  内容を教えよう。」 ゼルスタン 「リューク・・・・・。」 リューク 「いいんだ、ゼルスタン。  これは俺に架せられた宿命だ・・・・・  それにファズくんには  知る権利がある・・・・・。」 ゼルスタン 「・・・・・そうか・・・・・。」 ファズ 「いえ、内容についてはだいたい  レイマリーから聞いているんです。」 リューク 「では、何について聞きたいんだ?」 ファズ 「『サーナス王伝説私論』の内容が  真実であるかどうかです。  レイアさんは、『サーナス王伝説私論』  は『サーナス王伝説』を  ある方向だけから見たものだと  言っていましたが・・・・・・。」 リューク 「そうか・・・・・  この件に関しては水の司祭にも  ずいぶんと世話になったからな  ・・・・・・  ファズくん。  確かに『サーナス王伝説私論』で  述べられている『サーナス王伝説』は  ある方向だけから見た  『サーナス王伝説』の断片の  私見を集めたものに過ぎない・・・・・  今はそう確信している。  当時の私は広く流布している  『サーナス王伝説』を覆す  この自説に溺れこの説の正当性を  信じていた・・・・・。  この本は出版されるとセンセーションを  巻き起こしたが  マーディアス大陸で神聖視されていた  サーナス王を侮辱するものとして  マーディアス大陸中で発禁処分となり  私自身もヴァレイムから  手配されるようになった。  この本を読んだ一部の過激な若者は、  武力による反戦活動を起こしたが、  それは戦争を行なう人間の悪しきもの  として全て滅ぼす活動だった・・・・・  そして、多くの人達が命を落とし、  戦争が急速に広がっていった  私はヴァレイム領を逃げ出し、  古くからの友であるゼルスタンのもとに  身を寄せた。  その私のもとに、  ファズくんの父である  イーノルドから書簡が届いた。  それには『サーナス王伝説私論』が  『サーナス王伝説』をある方向だけから  見たものであること、そう結論するに  いたった経緯が書かれていた。  そしてまた、マーディアス大陸中で  信じられている『サーナス王伝説』も  また違う方向だけから見たもので  真実は別にあること、  そして真のサーナス王伝説を知ることが  マーディアス大陸に降りかかる災厄を  防ぐ鍵になるのではないかという  見解が書かれていた。  私は水の神殿におもむいたが、  イーノルドはもう・・・・・  それから私は再び慎重に  『サーナス王伝説』について調査した  そして、『サーナス王伝説私論』  に書かれた『サーナス王伝説』が  精霊を祭る施設や、信仰の厚い場所に  多く伝えられており、  広く流布された『サーナス王伝説』が  都市や都市近郊の神殿に多く資料が  残っていることが分かった。  ファズくん・・・・・  詳しいことは、ここでは言わないが、  『サーナス王伝説私論』に書かれた  『サーナス王伝説』は  多くの精霊の立場からみた  サーナス王の伝説・・・・・  人々の間で信じられている  正史の『サーナス王伝説』は  人間の立場からみたサーナス王の伝説  だと思う。  そして、これらはもともとの  真の『サーナス王伝説』から  二つに分かれたものだと考えられる。  そして何より重要なのは、最終章、  最終句の内容は同じということだ。」 ファズ 「精霊と人間との契約の3000年の後  古の精霊蘇り、  大いなる災厄をもたらす。  しかし、私とサーナスの血に連なる  カーシリアスの民現れ  6人の星神とともに  其を討ち滅ぼすであろう・・・・・  ですか。」 リューク 「そうだ、  些細な差異はあるが内容的には同じだ。  古の精霊が蘇り、  大いなる災厄をもたらす  というのが具体的に何を指すのかは  わからん。  コインフェイムの乱用により  マーディアス大陸を支える精霊力が  解放され、  大陸が崩壊するということなのか、  本当にマーセルヴァに大精霊達が  封印されていて、それが蘇り、  契約違反者である人間を  滅ぼそうとするのか、  それとも、他に我々の知らない  何かがあるのか・・・・・。  いずれにせよ、この部分はオリジナルの  『サーナス王伝説』に伝えられるものと  同じで、この伝説の最重要部分だと  考えられる。  そして、伝説に伝えられる時は今だ。」 ファズ 「・・・・・・・・・・分かっています。  俺が伝説にあるカーシリアスの民ならば  伝説の終焉を見届けなければならない  のでしょう。  それがどういう結果を迎えるとしても  ・・・・・。」 リューク 「君のお父さんも、自分が伝説にある  カーシリアスの民であるなら  そうしなければならないと言って  サーナス王伝説のことを調べていたよ  ・・・・・。」 ファズ 「とにかく今は大地の神殿に  向かいます。  大地の司祭の進めている計画  というのが気になります。」 リューク 「そうだな、  私にも大地の司祭が何を  計画しているのかは  分からないが  サーナス王の伝説に  関わることは間違いない。  私は少しでも  伝説の事が分からないか、  水の神殿の書庫に  行ってみるとしよう。  何か新しい発見があるかも  しれない。」 リューペール 「わしはアウスに一時もどる。  アウスの再興もあるが、  ラー・デルーが気にかかる。  あそこを狙っていたのは  大地の司祭だ。」 ゼルスタン 「うむ、  私は戦後の処理がある。  再び、争いが起らないよう  ここを離れるわけにはいかない  皆頼んだぞ。」  →Chapter6へ ----------