ある勇者の手記



これはある無人の家で発見された手記である
署名がないためこれが誰の手により書かれたものかは明らかではないが
その内容によれば
一度は王にまで上り詰めたものの
国民の支持を失い
古傷が元でその生涯を終えた勇者の手によるものであるらしい

8月3日(水)
とうとう召喚師の免許を手に入れた。
今日からでもアルダーナ国の為に敵国へ攻め込んでやりたいところだ。
8月5日(土)
全く、図書館で調べておいたモンスターのほとんどが召喚できないじゃないか。
魔術師のジジイがいうにはこのオーブで借りられる精霊力は炎の力だけらしい。
しかも我が国の国力では強力なモンスターを召喚できるオーブは造れないとかいう。
これでは先が思いやられる。
8月10日(木)
ようやく召喚に成功した。
部隊名は”ドレッドウルフ”だ。
ゴーレムの隊長で敵の攻撃を凌いで、 その間にスケルトン、エルフ、ヘルハウンド、ファルコンで速攻する作戦だ。
さっそく明日にでも敵陣に攻め込むぞ。
8月11日(土)
なんてことだ。
敵にドラゴンがいやがる。
スケルトンなんざ一瞬で灰だ。
作戦を練り直さなくては。
11月26日(火)
今日、敵の外務大臣とかいうやつの部隊を倒した。
おかげでいっきに有名人だ。
魔術師のオヤジもやっとオレの実力を認めたらしい。新しいオーブをくれた。
なんでもマミーとかいうモンスターが召喚できるシロモノらしい。
大余剰祭1日目
巷はおおあまり祭だかで騒いでるが、これはチャンスだ。
政府のやつらも油断してるだろう。
大余剰祭の最終日に政府のやつらに一泡吹かせてやる。
1月1日(光)
くそ、あの将軍、やるじゃないか。
なにが”なかなかやるな。近衛兵にしてやる。”だ。
近衛兵なんざまっぴらごめん、といいたいところだが、 なんでも役職に就くと”モンスター討伐部隊”として世界各地に行かれるらしい。
いい機会だ。オレ様の強さを世界に見せ付けてやる。
2月30日(闇)
惨敗だ。
まさかモンスター共があそこまで強いとは。
あんなやつ倒すことが出来るのか?
街のやつらめ、陰でオレのことを笑ってやがる。
いまにみてろ。
5月13日(光)
ついにやった。
地下都市ベリキエールに棲みついてるモンスター共を追っ払ってやった。
街中オレ様のニュースでもちきりだ。
これで魔術師のジジイもオレ様から取り上げた高いオーブを返す気になるだろう。
6月5日(土)
あの成り上がり者め。
なにが”弱すぎて話にならないね!”だ。
オレ様から近衛兵の座を奪ったことを必ず後悔させてやる。
それにして国王も国王だ。
防人をやれとはどういうことだ。
12月22日(木)
やっと防人から解放された。
近いうちにまた政府に挑んでやる。
1月6日(闇)
国民がオレ様を支持しないとはどういうことだ?
やつの方がオレより有名だということか?
もっともっと敵を倒せということか?
6月7日(光)
やったぞ。
ついにオレ様が国王だ。
今日から国名は”ドラグナス”だ。
明日はいよいよ歴代勇者に挑戦だ。
なんでも審判は神様で、既に死んじまった王様も地獄から引っ張りだしてくるとかいう噂だが。
そんなのはきっとデマに違いない。
6月8日(火)
やはり勇者というだけのことはある。
なかなか強いやつばかりだ。
しかし、ドミニオンの勲章をもらった。
これでオレ様も勇者様の仲間入りってわけだ。
領地も増えて更に高級なオーブが生産できるようになるだろう。
6月11日(土)
なんでだ。
なんでオレよりあいつの方が国王に相応しいというんだ。
しかもあいつのせいでドミニオンからバーチャーに格下げだと?
くそう、いまに必ずまた国王になってやる。
8月3日(水)
今度軍師になったやつのせいで散々だ。
敵国にみたこともないモンスターがいやがる。しかもかなり手強い。
全然勝てやしない。どうすればいいんだ。
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