人生って奴は、一寸先は闇だね、まったく・・・。
こんなてん末が待っていようとは、当の折口雅博氏も予想だにしなかったろうね。

 社保庁の年金問題で揺れに揺れていると思ったら、間髪入れず、コムスンの介護の話に飛び火してしまった。
介護は年金同様、誰もが行き着く老いの問題。「介護を食い物にしている」これ以上の侮蔑の言葉は見当たらない。

 厚生労働省とグッドウィル・グループの間に一体何があったのだろう。28,000人の介護スタッフと65,000人の利用者の間に、利益確保のために目に余るほどの不正がどれ程あったのだろうか。本人はひたすらテレビ行脚を続け、不正に対する故意はなかったと言っているが、あふれるほどの涙を流しても、信頼回復は難しい。

 驕りと欺瞞の領分が、折口氏にいか程沈潜していたのかは知る由もないが、2000年、介護の民営化を実施した厚生労働省の責任は全くないのか。
聞くところによると民間参入を積極的に促すために、当時、実に甘い制度や政策が施行されたと聞く。それが今となって介護ヘルパー数の水増し不正請求と騒いでいる。最初から、もっと制度そのものを厳しく出来なかったのか。

 最近は、いわゆる3K職場から人材が脱落していくのを数多く耳にしている。医療現場の看護士や、著しく安い賃金で雇用されている介護ヘルパーも然りである。地方の小さなケアセンターで、申請どおりのスタッフを常態化するのはなかなか難しい現実もある。

 そこに持って来て、週刊誌的に言えば、貧しくて自衛隊の高校に入り、防衛大学まで出て任官拒否。日商岩井から、派手なディスコで名を上げ、只々金儲けがしたくて、全く畑の違う人材派遣と介護ビジネスに手を染めた。
テレビ行脚で、コムスン事業は赤字で、いくら社会貢献事業と繰り返し言っても、豪邸に住んで、何千万円もするフェラーリを乗り回している男の話は、空しく聞こえるだけなのだ。

 折口雅博。こうなる以前の2000年にはグッドウィル・グループ株式会社が、日経ベンチャーオブ・ザ・イヤー新規上場企業の部3位にランクされ、2002年には経済界大賞青年経営者賞を受賞し、2004年1月には日本経団連理事に就任、2005年7月には政府より紺綬褒章(日本赤十字社に対する貢献)を受賞していた。飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
ところが一転、2007年6月経団連理事退任。今、コムスンは同業他社の手に渡ろうとしている。この浮き沈みの激しさ。これが人生か?
その昔、テレビで偶然、父と離婚後、25年間会えなかった母親との再会シーンで流していた彼の涙を再び憶い出した。


 ホリエモンの時もそうだった。ベンチャーの旗手、時代の寵児のように扱われ、選挙にまで刈り出され、中島みゆきの唄にもある♪浮かれ街あたりで名をあげた。上げたり下げたり、仕舞いにゃ奈落に突き落とされる。古くは江副浩正のリクルート事件。角川春樹の不祥事件。孫正義の一連の事件。祭り上げては叩き潰すマスコミと日本人の気質。東証1部上場、売上2,000億円企業、若さの驕りと昂ぶり。成り上がりベンチャー経営者にはリスキーな危うさが常に同居している。

 介護ビジネスにとって、民間活力による訪問介護「24時間365日在宅介護サービス」の実施は、「親方日の丸」には出来ないサービスだった。利用者にとっては、深夜にでも来てくれるホームヘルパーを、ほんとうに有り難いと思っている家族も沢山いるのだ。
コムスンを潰した後、官なり公共・公益事業がそこまで本格的にやれるか甚だ疑問である。買収を考えている他企業もコムスンの持つ老人ホームに食指は伸ばしても、24時間介護には関心を示さない。
介護は今後とも益々社会的ニーズが高まっていく分野だ。「24時間365日在宅介護サービス」は社会にとって必要なサービスである。コムスン事業の志と理念が後退しなければと切に願う。

 会社という組織である限りは利益を追求するのは、当然の帰結だろう。
だが、社会貢献をやるものには厳しい自己規律や自己抑制も必要だ。「メザシの土光さん」を思い出す。折口氏にもなんらかの心の隙があった。猛省を促したい。その上で、敗者復活、再チャレンジの可能性も残しておくべきだ。

 


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