
小泉元総理よ、さようなら!
2009年7月21日衆議院解散、今期限りで引退宣言していた小泉純一郎氏。
国会職員に見送られて、そそくさと黒塗りの車に乗り込もうとして、記者に声をかけられ
蚊のなくような声でひと言、「どうもお世話になりました。」と言って国会を後にした。
これが2005年、「郵政民営化が改革の本丸」と言って民主党に刺客まで送り込んで
イチかバチか、解散に打って出て、見事296議席を獲得した稀代の変人総理との「今
宵限り」別離の瞬間であった。「小泉劇場」の拍子抜けするくらいの幕切れだった。
その昔、総理になる前、小泉氏は「官僚王国解体論」なる薄手の本を出版していた。
内容は主に小選挙区制と、持論の郵政民営化論だったが、取り立てて余り印象に残ら
ない感じだったが、この本が彼の政治ビジョンのすべてだったとすれば、今考えると、何
ともお粗末かなと思ってしまう。エルヴィス(アメリカ経済)への憧憬、自由主義の礼讃と
排除の論理(強者と弱者)が彼の政治姿勢をかたどったものだった。
確かに財政投融資の資金は、天下り特殊法人に流れもしていたのだろうが、郵政
民営化が果たされた今日、さっぱりその話しのてん末がまな板に乗らない。
200数十兆円の資金は専ら、赤字国債を買い込んでいるという。国と日本郵政鰍フ
もたれ合いは、更に米国債まで買い込んでいると聞く。まあ、民営化されても政府の
意のままのようだ。
あれから4年、郵政民営化ですべてが好転するかのような小泉氏の発言は、正直、
大方の国民が、彼の一流の弁舌に酔って、騙されて来たような感じがする。
その分、衆議院選挙2009を目前にして、国民新党の綿貫氏の発言は、実感を伴って
来た。「郵政民営化は改革の本丸とバラ色の夢をばらまいたが、出来上がったのは泥沼
の社会だけだった」と。
格差と貧困、失業と生活破綻、新聞に載ることもない毎日100人の自殺者、消えた年金、
医療・介護の悪化、知らぬ間の税率アップ、制度の改変、官僚支配のやりたい放題、
無駄遣いの増長、等々・・・。
4年前の自民党の圧勝とはまったく逆の結果が、8月30日、時代を決する。
長かった自民党政権を完全に見限った大衆の想いは、歴史的鉄槌の日を迎える。
民主党が政権をとっても、私たちは、にわかに期待と落胆を繰り返すのではなく、真に
国民本位の政治のレールが敷かれるまで、謙虚に見守ろうではないか。
2008年9月25日に小泉純一郎氏が、政界からの引退を意思表示されました。
66歳。現役の麻生総理より2歳も若いのに残念ですね。
「政治家は引き際が大事」とか「男の美学」とか、いろいろ言われていますが、小池百合子の
後見にもあまり力入らず、自身の構造改革の功罪も種々、囁かれる中で、影響力の薄くなった
ことなど意にとめず、あっさりと政界を去るのも彼らしいですかね。
今振り返って彼の業績で最大のものは、派閥の解体をやったことと、閣僚人事を孤然と行っ
たことでしょうね。「郵政民営化」も「国債発行30兆円以下」も、まだ結果が出ていません。
功罪の罪は、「労働者派遣法」の実施で社会格差を生んだことでしょうね。終身雇用を打破し、
自由な働き方や雇用の流動化自体は悪くなかったのですが、今や労働人口の3分の1以上に
なって低賃金に喘ぐ人が増え、GDPを下げる結果に至ったのは由々しき問題です。
「後期高齢者医療制度」も国民のコンセンサスが足りませんでした。
いずれにしても、自民党はぶっ壊れなかったけれど、既存の枠を越えてのチャレンジングな
行動とワンフレーズな言動は国民に理解された。
だが、しかし、自分の地盤を息子に世襲させたあたりは、変人ならぬ、俗人この上ない。
小泉総理、5年と5カ月大変お疲れさまでした!
頼まれてもやりたくない(誰も頼まないけど・・・)内閣総理大臣という激務を、よく5年と5カ月、ようやってくれました。無欲の勝利でしょうか。「ワンフレーズ総理」とか、「負の遺産持ち」とかいろいろ言われましたが、終って見ると、ポッカリと穴が空いて、淋しささえ感じますね。
見ましたよ。フジテレビ『時代が求めた“変人”誰も知らない小泉純一郎の正体』。
35年間、小泉純一郎の秘書官として仕え、支えて来た飯島勲氏の小泉評のすべてを。「普通の人」「離婚」「孤独に強い」「反主流派の政界人生」、「有言実行」そしてラスト、小泉さんの至福のひと言、「勝ってもよし、負けてもよし」とする政治信条が印象的でした。
ブッシュに愛され、自衛隊のイラク派遣、腹をくくった2度の訪朝--拉致家族に批判され、構造改革なくして成長なし、派閥に組せず孤高の閣僚人事にチャレンジ、一かバチかの郵政解散で「殺されてもいい」発言、刺客送りの逆転勝利、2007年10月郵政民営化決定--財投は特殊法人に流れなくなるのか、改革を止めるな!発言、格差社会の行く末は?、引退時期の明言、等々、薄氷を踏む想いか、鉄血宰相だったか・・・、10年後の小泉評価を待ちましょうか。
中でもとりわけ、一番感心したのは、内閣閣僚メンバーを決め込む時に、総理執務室で、飯島秘書官と、世間の衆目を集めているまっ最中、ソファに寝そべっての究極的談合の図(アニメ)でした。
してやったりの感!!。明日の日本を左右する閣僚を決める前夜に、たった二人で将棋の駒でも動かすような、極上のシニカル・ドキュメント。感動にウチ震えました!?。(ちょっとオーバー)
権力への執着なし。金権政治への関心なし。浮いた噂のひとつもなし。
稀に見る稀有な宰相だったのかも知れないのですぞ。それ故、庶民には常に支持率が高かった。愛されもした。
35年間、陰に日向に付き合った飯島秘書官。思わず、田中角栄の懐刀だった早坂茂三を憶いだしましたよ。一幕が降り、秋の銀座を行く彼のガッチリしたうしろ背中が、心なしか、淋しそうでした。
最期に贈る言葉。「潔し、われ行かんと欲する径(みち)は、棘(いばら)径のみぞ」 (字余りタダオ)
2005年9月。郵政民営化の一本釣りであれよあれよの296議席を獲得した自民党。小泉劇場も小泉マジックショーと化し、国民に真を問うと言って、その通りになっちまった。衆議院を総理大臣権限で解散し、実に離れ業をやってくれたものだ。まさかと思っていたが、積年の想い、郵政民営化は次国会、議席3分の2の賛成で成就する。運の強さも小泉流か。
思い返せば、小泉内閣が誕生した4年半程前から、不思議な巡り合わせというかツキが小泉さんにはつきまとっている。変人扱いされ飄々として弧然、派閥に組せず、金権政治とは今もって縁が無い。2006年9月には自らの任期明けといって、その地位に留まる様子も今のところ見受けられない。権力欲も金欲もない。過去の総理では、三木武夫や細川護煕なんかがそうだった。
こんなに権力欲のない総理もめずらしからん。そこいらが案外と人気盛り返しの所以かも知れない。
刺客で送り込んだ、小池百合子や佐藤ゆかりにも無派閥を薦めた。
民主党代表を降りた岡田氏は戦術を間違えたかも知れない。賛成・反対の自民党の内紛劇が、反対一枚看板の民主党の中に無いわけがない。一時は民主党の政権取りも期待されたが、終ってみれば自民党の圧勝であった。小泉さんの改革の本丸、郵政民営化、賛成か、反対かのシンプルな主張が浸透した。民主党は寄り合い所帯なのに、年金の一元化や税制改革を声高に叫んでも、結局、国民に「無理している」と、見透かされていたのかも知れない。
テレビのチャンネルをつけると、田中真紀子ほどではないにしろ、岡田氏の生真面目な小泉批判が、党首討論まで拒否されるはめになった。あまりに小泉・自民党批判がきつかった。
この選挙が政策論争を主体にするならば、他党批判ばかりでなく、独自のマニフェスト解説をメインにすべきだった。受けて立つ小泉さんは、我慢の子であった。
日本人って案外と無意識にでも、この辺の攻撃的ポーズを嫌う。森嘉朗の空き缶インタビューも小泉さんの一途さ、頑固さに拍車をかけたし、「殺されてもいい」発言は初志貫徹の想いが、直接間接、国民に伝わった。
今回の自民党への投票率は61.7%。比例区では、名前を貸しただけの人や、一般公募した26歳の派遣社員までが当選した。ちょっと驚きではある。
自民・公明の与党で327議席の絶対安定議席は、ゆるぎのない数ではあるが、くれぐれも与党独裁にならないことを願う。
小選挙区制度は政権政党になにかポカがあると、次回の揺り戻し選挙がきついという。
イギリスの保守党と労働党のように政権交代が7〜10年おきに変わってくれるのも、互いの切磋琢磨には良いのかも知れない。
小泉総理、あと1年、頑張ってください。
小泉純一郎氏を本エッセイに載せてから2年5カ月が経ちました。何度か追加掲載しようと思いましたが、他の話題に忙しく、ついご無沙汰でした。ということは、結論を言うと、彼に関して興味ある話題がなかったのだと、今改めて知らされました。
2003年9月20日、自民党総裁に再選されましたね。翌日には前回同様、派閥の立ち寄るスキもない孤高の内閣閣僚を発表しました。顔ぶれだけを見ていたら果たして「改革推進内閣」といえるのでありましょうか。
小泉総理の2年5カ月。バブルの後遺症も癒えることもなく、景気は後退したまま、未曾有の失業者と自殺者を産み続け、残酷でトリッキーな犯罪が減らず、30兆円国債の発行も単年に留まり、世の中は依然として暮らし上向きの兆しすら見せていません。(本人は明るい兆しが見えて来たと言っていますが)
それなのに、未だに筆者は彼が歴代総理の中で、頑固で異端の人であり、口だけの人、丸投げの人と揶揄されても一貫して彼を支持し、彼を信じて、未来に希望を繋ぎたいと思うのは何故でしょうか?
その理由はいくつかありますが、最近の政治の動きを見ていると、鈴木宗男、辻元清美、田中真紀子事件以来、政変劇が実にクリーンになりました。遅れついでのマスコミが派閥政治を盛んにオンエアしましたが、自民党橋本派の内紛を見る限り、派閥も地に落ちたように見えます。
また、小泉、亀井、藤井、高村の4人の総裁候補が立った時の、純ちゃんの飄々として、「落ちても受かっても良し」とする態度は、権力にしがみつく権謀策士の中でとっても好印象だったのです。何代か前に潔く60歳でやめた熊本のお殿様、細川護煕氏のことを憶い出しました。金でも権力でもない高邁な使命感というのでしょうか。私利私欲のなさ、権力依存のなさ、乱世に立つ「米百俵」の小林虎三郎のフィーリングでしょうか。(ちょっと誉めすぎ)
凡そ50年もの間、順送りのように繰り返されていた老獪な議員達の政争の愚も、今やそのイメージを変えようとしています。でも、いつまた金にまみれたチミモウリョウがバッコするかわかりません。ご用心、ご用心。
また、拉致問題で名を馳せた49歳の安部晋三氏をポーンと自民党幹事長に抜擢し、若造、青二才と呼称されようが一切意に介さずに、若手の起用に踏み切った世代交代の決断力は大したものです。国民に支持されることこそ最上の味方と考える純ちゃんのしたたかさも垣間見えます。
さて、具体的改革ですが、郵政や道路公団の民営化、特殊法人の見直しなど、どれも改革半ばのものばかりです。特に特殊法人は157団体あって廃止されるのは石油公団と住宅金融公庫の2つだけというではありませんか。これで構造改革といえるのでしょうか。規制改革反対大臣の金子一義、藤井道路公団総裁に弱気の?国土交通大臣石原伸晃、構造改革反対論者の総務大臣麻生太郎の起用も意味のある事なのか、ヘンな人事もあるわけよ。
「消費税値上げをせずに歳費の徹底見直しを図る」は庶民としてとってもわかり易い話だけれども、郵政や道路公団の民営化は果たしてどれだけ庶民にプラスになるのか見えないね。財政投融資がガンになっているというが、その意味がいまいちわからない。三位一体の改革、経済特区、行政改革、規制改革等々もどこまで実現可能かまだまだ先が見えないね。
「2年半で何にもしなかった」という意見もある。延々と続く不況と中小企業の喘ぎは、経済政策失政など国民のやるせない不満も満々ちているわけよ。学者竹中平蔵を貧乏神と言うのもわかるよ。他にいないから小泉さんで、という意見も数多い。純ちゃんの思いが真に国民に届くのはいつになるのだろう。
でもこの2年5カ月、ずっと考えていたけど、この人はビジョンを語らない人なんだなあとつくづく想う。
そんな局面が何度かあった。チャーチルになれ、吉田茂になれ、とは言わないけれど、こんな混迷の時代、10年先のビジョンの一つくらいあったっていい。生真面目すぎて歯の浮くようなことは言えないか。
どんな嵐の夜にも、小船が難破しないように、岬には灯台があって、灯台守がいるだろう。
でも、筆者のいままでの人生で20人以上の首相にまみえたろうか。そんな中であなたは間違いなく記憶に残る首相の一人になる。
4年5カ月前・・・・・。
「驚天動地」。政治の世界にもあったんですねっ。「一匹オオカミ」「変人」と揶揄されていた注目の人が粛々として浪々、変わることのないこの日本社会を「構造改革なくして景気回復なし」のひとことで、国民から87%もの支持率をもらって見事内閣総理大臣になっちまった。
昨日までの森総理のこきおろしと自民党の不人気は一夜明けると夢のようだ。
国民の大多数が投票権もないのに、何日かにわたった自民党の総裁選候補4人に興味を持ち、一番従来型でなかった小泉氏に注目の眼が注がれた。時の流れに乗ったと言ってしまえばそれまでだが、「国民」という言葉を一番口にしたのも彼だった。フタをあけると圧勝というお土産つきだった。
この12日の間、野党党首の言動がかすんでいた。建前もあるのだろうが自民党の批判に明け暮れていた。その空しいことよ。参議院選を前にしてここまでしくまれた偶然はそうそうないだろうが、国民の期待が大きいだけに、失望もまた大きくなる。今こそ追い風。ドドッとやれることは何でもやっちまおう。
今回の自民党総裁劇で特に面白かった(不謹慎と知りつつ・・・)のは亀井氏の勇み足だろう。3番手に甘んじ、小泉総裁誕生のキャステイングボードを握る立場にいたご本人だったが、党員による圧倒的小泉支持の予備選から議員による本選に至る道のりでの立候補とりやめ劇だった。
水と油に近い政策展開を90%小泉流に合わせ3役入りを果たそうとしたが、小泉内閣のフタをあけて見ると何処にも亀井のポストはないではないか。ジダンダ踏んだのも無理はない。そして橋本氏の名前もなかった。麻生氏の起用は敵に塩を送った小泉総裁の懐(ふところ)の深さかも知れない。
派閥の幹部から依頼されたらその人は絶対に登用しないと言い切った「一本づり」は、いまどきの離合集散議員にしては多分に骨のあるところを見せてくれた。
小泉氏の総裁選としてはぎりぎり3度目の正直ではあったが、日本の政界や国民の意識もまんざら捨てたものでもないか。案外戦いに敗れて城をあけ渡したあとの政変劇の方が面白かったかも知れないのだが・・・。
後から振り返ると、フーンなるほど、とうなずけるエピソードがいくつかある。
4氏はそれぞれ、日本経済を病気やけがに例えてこう説明していた。「肺炎で栄養をどんどん補給しないとどうしようもない状態だ。」(亀井氏)、「足を骨折しギブスで固めて、やっとよちよち歩きをするようになった」(麻生氏)、「ギブスの上から足を掻く」といった例えは古いか・・・。
亀井・麻生氏の認識は相変わらずも赤字国債を使って需要を喚起しないとますます景気が落ち込むといった「失われた10年」の延長線上にあった。
これに対し、小泉氏は「日本経済は660兆円の借金に苦しむ糖尿病である」と言った。
一方の橋本氏は「肺炎や糖尿病の合併症かもしれない」と言った。何とも中庸的である。
結局、こんな従来型の言い回しにあきあきしていた国民と、その国民に一番近いところにいる自民党の党員は、「解党的出直しだ」、「郵政3事業の民営化」、「首相の公選制」などを唱える小泉氏の「平時の革命」的言語に同調した形となった。最初から小泉対橋本、亀井、麻生の戦いではあった。
結果はご存知のとおり。
歯に衣着せぬ人気もので「変人」の名付け親でもある田中真紀子を含む女性5人の入閣と、民間人3人の起用、森内閣からの留任も入れて3役を盟友等で固めて、したたかさもそれなり。
過去に郵政大臣や厚生大臣を経験しているが、厚生大臣になってからも「郵政3事業の民営化論」を口にしていて、あなたは何大臣と思ったこともあった。その時の実績もあまり聞こえて来ないのが気がかりではある。
が、今や混迷の時代。リーダーシップに富み、各論よりも総論に長けた変革主張型の総理大臣が必要なのかもしれない。もっと21世紀ビジョンを声高に言わねばならないのが「いまどき」ではある。言行一致に期待したい。
景気はすぐには回復などしないが、イメージと清新さだけでも国民の気持ちは閉塞感から解き放たれ、「よし頑張ろう!」とその気にさせてくれるだけでも、料亭とラグビーと座持ちが好きだった何処かのおじさんとは違う気がする。
案外、自民党のボロ負けになると噂されていた7月の参議院選挙も小泉人気で乗り切れることになるのかも知れない。
ガンバレ!! 純ちゃん。
(いずれパート2掲載予定だ〜っ。)