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8/9   静岡県公文書開示条例(現行条例)の制定過程で開かれていた、懇話会の議事録です。(第5回)



第5回懇話会の討議結果


会議の公開

    (委員の意見・質問)  県議会の委員会の傍聴などの会議の公開については、無形情報であるので今回は除くというが、真の意味の情報公開のためには、なんらかの形で入れていただきたい。県民の要求としてだれに聞かせてもそうだと思う。

    (事務局の答弁)  議会に関しては、それぞれ議会における規則、運営について責任を持つべき者の判断によって、情報公開全般の問題として対応していただくべきものと考えている。

    (委員)  実施機関に議会を含めている蒲原町へ行き調べたことがあるが、請求の半数以上が議会の会議に関するものであった。そういう実態からして、実施機関の中に議会を含める必要がある。

    (委員)  会議の公開は非常に重要な問題だが、公開されると議論が沸かない(自由な意見交換ができないなど、日本の社会では議論についての未成熟さという現実を考えなけれぱならない。

    (委員)  会議の公開についてはスタンドブレーが多くなってきているといわれる。会議を全部公開して、果して核心に触れる議論ができるか疑問であり、慎重に考えていかなけれぱならないと思う。

    (委員)  合議制機関等の会議の公開については、県民からの要請が強いが、一方、自由な発言は保障されるぺきである。また議会については三権分立の原則からいって自主的・自立的に運営されるぺきだなど種々議論のあるところだと思う。
     合議制機関等の情報について一番心配なことは、全ての審議内容を各機関が勝手に非公開にしてしまうことだと思う。しかし、この点については、この提言案で最後のところで「合議制機関等においては、非開示とする旨の規定を作成し又は議決をしようとする場合、原則公開の趣旨を十分踏まえた厳正な運営に十分努められたい」として、この懇話会の意見を集約していると思われる。ここにまとめたように落ち着かざるを得ないのではないか。

    (委員)  この懇話会は執行機関の長である知事から委嘱されたものであるので、立法府である議会に対して遠慮がちに言っているけれども、原則公開が消極的になっていることには必ずしもならないと思う。
     合議制機関等については、一般法である情報公開条例の趣旨にしたがって厳正に対処することが痛切に望まれるところだと思う。

    (委員)  委員会等の公開については、知られたくないこともあるので、全て公開ということはどうかと思う。



制度のPR、意見の反映

    (委員)  県民からいろんな意見を聴くために、県の側からPRをすぺきである。

    (委員)  満点の提言てあるかどうかは疑問ではあるが、県当局には、条例案の作成までには県民の声を幅広く吸収する努力をして、この提言以上に開かれたものになるよう期待する。

    (事務局)  議会に報告している中で委員会からもさらに多くの県民から直接的な意見を聴く機会を持つ工夫はないかと言う提案もあった。この想話会で専門的な立場から広く意見をいただいているが、方法については研究をして、そういう機会を持ちたいと答えてある。

    (委員)  個人的に実施県等の状況を調ぺてきた中での感想を言えぱ、この提言案が全体的にもう少し住民の意見を反映できなかったかということが心残りである。

    (委員)  一般県民にとっては、情報公開の趣旨を十分理解して意識を高めていかなければ棚の上に上がったものになってしまう。

    (委員)  条例ができた場合、利用者が限られてくるのではないかと心配されるので、PRを十分にして、だれもが気軽に利用できるものにしてもらいたいと思う。
     また、県民の声を聴いて弾力性を持たせるものになったらいいと思う。



提言案全般(印象、表現)

    (委員)  事務当局は、この懇話会の提言は勿論のことだが、たとえ少数意見であったものについても、実施案には盛り込んでいく工夫をしてほしい。

    (事務局)  懇話会で論議をいただいた意見については、条例制定のための要綱づくりや条例案の作成に当たって十分検討させていただいて、それに盛り込むという形になると考えている。また、議会で条例を検討していただく段階でも、この提言との間題や提言の中でも直ちに実施できなかったという問題は、十分その説明が必要である。
     また、この懇話会の審議の過程は、9月以降の県議会に報告している状況なので、成文の形で提言をいただいた段階にはそういうところへも配布して、今後審議が必要となる条例案の事前の予備的な検討をしていただくことを考えている。

    (委員)  行政側では、「前例がない」からとか言いがちだが、この制度も「お上の作ったもの」と言われないような運営が望まれる。制度を生かすかどうかはここにかかってくる。

    (事務局)  前例重視という点については、現在の瞬間的な公平感ということと同時に、過去と現在の公平感も大事と考えているので、消極的になりがちということもあるが、ご指摘のような点については十分注意していきたい。

    (委員)  あるべき姿と静岡県の現状との板挾みでなかなか前に出てはいけなくて、せいぜい半歩くらいかという感じで臨んだ会合もあったが、この想話会は情報公開に向けては原則公開を貫いてほしいということをかなりの委員が言っていたのに対し、多少盛り込めない部分もあったかとは思うが、ほとんどが取り込まれており、この最後の案には賛成したい。
     なお、各委員の意見を取り入れる中で「付記しておく」という言い方では消極的な意味合いが出てくるので、「意見があった」と言い切れぱ迫力が出てくる。

    (委員)  行政は、内部に関するものはふたをしがちであると感じていたが、この想話会では、出された意見の中には行政の立場としては載せられない部分もあろうかと思うが、少しでも前向きの形で把えようとている姿勢を見させていただき、行政に対する見方が一つ変わったという点がある。
     提言については、総体的に賛成させてもらう。

    (委員)  県側で作った文章には自ずと限界があると思うが、全体的に最初いただいたものが修正され、かなり前向きになっている。最初は公開しにくい部分が強調されていたが、今は原則公開が貫かれている。現実的、消極的、行政的な部分がちらほら見えるが、静岡県の現状ではやむをえないとも考える。
     磁気媒体や制度実施以前の公文書については、将来できるだけ公開をという表現になっているが、本当に実現できるように前向きにやってほしい。
     救済制度も条例では十分議論を尽くしてほしい。

    (委員)  要は、行政主導で始まったものをどこまで修正できるかということではないかと考えていた。
     かなり「お上」流に対する歯止めは各所でかかっていると思う。日本の社会の現状からすると、この程度で止む得ない。



提言(案)のとりまとめ

    (委員)  提言としては、多くの方のご賛同をいただいたこの提言案を認めていただき、一部ご指摘をいただいた「てにをは」にも気を配りながら、もう少しきれいな形で直すことで了解されたい。


    その他

    (委員)  提言書の提出に関連して、細沼委員から「当懇話会の委員となり検討が進んだ後に情報公開について勉強をしたこともあり、また、会議でも十分いい足りない点もあって、提言(案)の内容に取り入れられない点も多いので、当懇話会の一委員として、知事あてに、提言とは別の意見書を出したい。」との意見が出された。
      この意見に対して、委員の間で協議した結果「個人が自主的に勉強した成果に基づき、個人としての意見書を出すことは、自由であり、当懇話会として制約できないものではあるが、当懇話会の一委員として要望を別に出すということは、委員として、集約した提言に対してどういう責任を持つかという基本に係わる問題であり、懇話会(会議)のあり方としてはおかしいのではないか、これまで懇話会全体で討議してきたことがどうなるのかという問題がある。また、3月28日には、当懇話会の提言を行う予定であり、それまでは懇話会の委員という立場であるので、個人の意見書をそれ以前に提出されることは、適当でないと考えられる。
     したがって、細沼委員から、この様な要望があったことは、当懇話会の議事録には書きとめること。また、個人として意見書を出される場合には、この意見書の発表の時期・タイミングについて、会長と会長代理に相談し、良識にしたがい対処していただく。」ことで懇話会としての意見が集約された。