HOME8/9 静岡県公文書開示条例(現行条例)の制定過程で開かれていた、懇話会の議事録です。(第3回)
第3回懇話会の討議結果
4 非開示事項
(1)基本的な考え方
(委員の意見・質問) 基本的な枠組みとしてはくここで整理されている基準でよいと思う。
(委員) 非開示事項がこれだけ定められていると、これをたてにとって今まで出ていた情報も逆に出にくくなるのではないかという心配をする。
(事務局の答弁) 非開示項目が多いということだが、整理するとこういうことになるということである。 各項目の解釈については、条例をつくる場合に、「明白に」とか「非常に」という形容詞をつけて、解釈の仕方に縛りをかけていく必要があると考えている。そういう理解の上で条例の作り方には注意を払っていきたい。
(2)非開示事項の範囲
ア 法令秘情報
(委員) 解釈・判断の余地のある「法令または条例の定めるところにより開示することができると認められる情報」というような表現になってるので、運用の際には問題になると思う。他県の例では、「明白に認められる」というようさらに絞っているものもある。 機関委任事務に関する通達の場合も、同様に解釈の余地はあるが、これについては素案で「明示の指示」と限定しているので明確になっていると思う。
(委員) 一般法に対して特別法が優先するということで、情報公開制度の実施後、個別の条例で非開示の定めをして、実質的に情法公開条例が骨抜きにされてしまうのではないかと心配をしている。
(事務局) 個々の条例について非開示とすべきという規定を設けるとしても、それは、議会の議決を経て県民のコンセンサスとして定められるものである。
したがって、それに従わざるを得ないと思う。(委員) 法制度的には、特別法は一般法に優先するのは当然のことであるが、個別の条例で非開示を定める場合、情報公開条例の趣旨に沿って説得力ある理由を明らかにすることが必要になると思う。
イ 個人情報
(委員) ブライバシーの問題に関しては別途ブライバシー保護条例で考えるとすれぱ、このような原則でよいと思う。
現実の運用においては、一つの請求の中のある部分だけが個人に閲する情報で他は違うといったケースも考えられるので、判断がなかなか難しいという問題があると思う。 例えば、神奈川県でマンションの建築確認申請書の開示請求に対して、建物の平面図など居住者のブライバシーに係わるので非開示、他は開示という実施機関の決定に対して不服申立てが行なわれ、裁判にまで至っているケースもある。(委員) 素案のブライバシーを十分に図るという考えには賛成である。
ただ、問題は政治家など特定の人については、ある程度保護される範囲を狭められても仕方がないのではないか。(委員) ブライバシーの問題は、マスコミにとっても大きな問題で、犯罪者についても確定するまでは容疑者と呼ぷ等の配慮をしている。 この問題は、基本的にはマスコミの自主判断で対処するのが一番よいのだが、取材競争が激し中でなかなか難しい問題である。一番こわいのは法律で締めつけられることである。
その点で、この個人情報を見るとブライバシー保護を手厚くするというようであるが、運用ではなかなか難しいと思う。(委員) これからボーナスの時期になると、公務員等のポーナスが報道される。これを聞くと中小企業のものは非常にさみしい思をする。
何もかも公表し、報道されてしまうということは、いかがなものかと考える。(委員) 個人情報の中で、本人あるいは法定代理人からの自己情報の開示は認められるのか。例えば、学校での事故や体罰の問題などで、学校から教育委員会に提出された報告書は、本人にみせてもらいたいと思うし、内申書でどう評価されているのかということも知りたい。他の要素で明らがに非開示となっでしまうのなら仕方がないが、本人なら、ブライバシーの侵害にもならない。
(事務局) 一般的にいって、この例のような場合は、学校運営上の情報でもあるので、個人情報というだけでの判断では決められない面を含んでいる。
個人情報のうち、.自己情報の問題については、開示だけでなく、訂正権や多目的での使用などいろいろな問題を含めて、別の制度で考えたらどうかと考えている。(委員) 学校の事故や体罰の問題は、処分にも関連してくるので、教育委員会としても消極的になるのであろう。個人情報とは別の問題として考えなければならない。
(事務局) 自己情報の開示については、重要な問題なので、委員の皆さんでもっと討議していただきたいと考えている。
ウ 事業活動情報
(委員) 情報公開は大変結構だが、それによって個人なり法人なりに迷惑がかかることのないように、この程度の歯止めはかけておいて欲しいと思う。
エ 社会的危害防止情報
具体例はこれで全てではないと思うが、全てをリストアッブして担当者が間違いのないようにしてほしい。(事務局) 実施の段階までにはさらに網羅的に調査して、職員が判断を間違わないようにしたい。
(委員) 具体例の中に「病院・診療所の開設許可申請書」があるが、病院のノウハウというようなものがこの文書の中に入っているのか。
(事務局) これは、多分、病院自身の問題ではなく、添付書類の中の設備やレイアウトなどが含まれていて、そういうものが公開されると納入業者の方の技術やノウハウに類が及ぶということではないかと考えられる。
(委員) 非開示の例外に関連して、「違法な事業活動」かどうかは、どのように判断するのか。例えぱ、公害をたれながしているという予想に基づいて開示請求をするような場合、企業側からすればそんなことはない、というようなことが多分あると思う。
また、「公益上必要と認められる情報」とは、どのような例があるか。(事務局) 現実に行政の持っている情報の内容と周辺の状況を検討した上で判断せざるを得ない。
特に事業活動情報については、企業とその影響を受けるものとの利害調整という問題もあり、行政機関だけで一方的に判断するのは難しいと思われる。
現時点で「公益上必要と認められる情報」を具体的にこういう情報というものをあげるのは難しいけれども、将来の可能牲を想定して設けておかなけれぱいけない規定と考えている。(委員) 「事業を営む個人の当該事業に関する情報」については、ある程度公開せざるを得ないのはよくわかるが、これとその他の個人情報とをきちっと区分けするのは非常に難しいと思う。将来この辺に問題がおこるのではないかと心配である。
(事務局) 非常に難しい問題が技術的にあると理解している。
考え方としては、一応整理しておきたいということであるが、現実的には重なった部分があると思う。
(委員) 前回も申しあげた神奈川県の警察官の氏名公表の件は、情報公開の象徴的な事件であったと思う。本県においても原則公開とする以上、警察関係の情報を特別に保護することのないようにして欲しい。
オ 行政運営関係情報(委員) 公安委員会は実施機関から除かれることになっているが、公安委員会の非開示にしなけれぱならない情報と、社会的危害防止情報として、非開示となるものが重なっているならば、公安委員会を除かなくてもいいのではないか。
(事務局) 知事部局にある公共の安全や秩序の維持のための情報は、数も少なく限定された分野である。一方、公安委員会には、広範囲に様々な情報があり、それをこの社会的危害防止情報でカパーするのは難しい。
(ア)国等行政協力関係情報
(委員) この国等行政協力関係情報の中に「公表しない旨の取決め」や「県での公開を望まない」とあるが、具体的にはどのような例があるのか、また、甲等との間に新たな非公開の取り決めが定められ、公開の範囲が狭められるという心配はないか。
(事務局) 例えば、国等との委託契約に基づき統計的な調査を行う場合はよくあるが、これらについては、契約の中に『取扱に注意する」とか、明確に「秘扱いとする」というような項目が設けられる場合がある。
このような場合に国等の内部事情をよく聞いた上で、やむ得ない場合は、国等の意向を汲んで非公開とする趣旨である。
今後、このようなケースが増えないかという点に関して、実施県の例においては、そのようなケースは生じていないと聞いているので心配はないと考えている。(イ)行政意思決定過程情報
マスコミなどの立場からいえば意思決定過程の情報は非常に大事なものだが、非開示事項としてあげられることによって、これが保護され、見せられなくなりはしないかが心配である。
(委員) 意思形成に「支障が生ずると認められるもの」とあるが、この認定をだれがするのか。
この条項をたてに今まで出されいた情報が逆に出なくなるという危惧が感じられる。(事務局) 支障があるかないかを判断するのは実施機関であるのは当然であるが、具体的には、知事部局の本庁の場合は、所管の課長ということになる。
しかし、人によって判断基準が異なってはいけないので、庁内のメンバーで横並びの調整を図っていきたいと考えている。
さらに、救済機関である審査会が、本県素案では、重要事項について建議する機関でもあるとしているので、そちらのほうの機能を活用するというか、ご意見き伺って慎重に対処していきたいと考えている。しかし・これは救済機関でもあるので、このようなことが可能かどうかという問題もある。これらを検討しながら、できれば判断基準が固まるまでの最初のうちは、そのような運営を考えていきたい。(ウ)行政運営・執行情報
(委員) 規定の仕方としては「おそれのある」というような文言にならざるを得なく、曖昧な所がどうしでも残るので、運用に当たっては、より具体的に合理的な形でわかるような基準を設定して、解釈にぶれのないような実施の仕方が要請されるところだと思う。
(事務局) ご指摘のとおりで、条例等での項目の設定は、曖昧な規定とならざるを得ないが、埼玉県の部市計画地方審議会の裁判でその辺を指摘されており、その後に制度化した都道府県においては、できる限り具体的に規定するように努力している。
本県においてもなるぺく明確にしていきたいと考えている。カ 合議制機関等情報
(委員) 合議制機関等の一覧表にあるものは皆開示してもいいように思えるのに、なぜ非開示なのかわからない。
考え方としては、原則開示として、どうしてもできないものの項目をあげるというようにすれぱよいと思う。(事務局) この資料は、合議制機関等の一覧表であり、非開示の一覧ではないので理解いただきたい。
この中で、議事録の非公開の定めがあるのは、都市計画地方審議会だけである。
したがって、その他のものが議事録や資料を非公開とする場合は、会議で議決をするか、開示が好ましくないと実施機関が判断された場合ということになる。(委員) 埼玉県で裁判になった例がある。これは、都市計画地方審議会の議事録が請求された際に、審議会の運営規定の中に会議の非公開が定めてあったが、議事録については触れていなかったので、裁判所のほうで実質的な判断をして、会議録を公開すべきという結論を出したものである。
このように、会議の非公開と会議録の非公開は理論的にはつながらない部分がある。(委員) 合議制機関等の裁量でいつでも非開示とできるということでは心配である。
行政側に開示・非開示が委ねられているとちょっと危険ではないかと思う。(委員) 合議制機関等の会議は、委員の発言の確保や審議の公正を保つなど、傍聴人との関係で場合によると非公開とするものもあるかもしれないが、原則は多分公開なのではないか。
会議あるいは会議録の公開・非公開を整理して、その上で議論するために、合議制機関等の運営規程なとを調ぺてもらいたい。(事務局) 全部当たったわけではないが、原則公開で場合によって非公開にできるという規定の仕方が多いと思われる。
運営規程などは、調査して、次回に提出する。(委員) 情報公開条例は一般法ということであるので、個別の機関の意思決定にまで立ち入ることは出来ないわけだが、考え方としては、それら個別の審議会なり懇談会なりが公開・非公開の決定をしょうとする場合するには、具体的に何かの公益を害するという明確なものが存在して始めてそういうことが認められるということであって、そういう考え方をそれぞれの機関に要望することになるだろう。
その他
(委員) 開示請求した時点では非公開だったが、一定の時期がたっと公開しても差し支えなくなる情報があると思う。これらについて決め方なり、請求者への指示内容についても、事前に一定の整理をしたほうがよいと思うがどうか。
(事務局) 時限秘の扱い方については次回の検討項目に入っているが、考え方としては非開示決定の際に、開示できる期日を請求者に知らせらようにしたいと考えている。秘匿事項の取扱い基準については、諸規程を整備していく中で明確にしていきたい。
(委員) 今まで行われていた研究とか取材のための情報提供は、これは権利としてではなく、行政上の判断で行われていると思うが、この開示請求の制度ができたからこの手続きでやってくれということはないですね。
(事務局) 従来となんら変わりなく、手続きにこだわらず、積極的に対応していきたいと考えている。
(委員) ブライバシー情報は県よりも市町村のほうが多いという話もあったが、市町村でも条例が作られたときに、県の基準では開示されるが、市町村では開示しないというようなことはあるのか。
(委員) 一般論としては違いがあるかもしれないが、県の考えが今の一般的なものと思うので、市町村で作られても同じようなものになるのではないかと思う。
(委員) 住民も困惑するので、県内は統一した見解を持たなけれぱならないと思う。
(委員) 次回の「他の制度との調整」については条例、法令について具体的なものをあげてほしい。
(事務局) 合議制機関等とも併せて、サンブルとして次回に提出する。