ステルビオ/ガビアに採用されているVG30系エンジンは、この頃すでに完成の域に達しており、本車に搭載されているVG30DETに関しても固有の問題となるトラブルの発生はあまり無いと考えて良い。
当然の事ながら、経年劣化に伴う多少の不具合の発生や、過度の運用によるトラブルからは逃れることは出来ないが、エンジン本体は当時の国産車水準に充分に達した優れた製品で有ることは間違いなく、更にオーテックにおいてチューニングを施された際にエンジン本体のバランス取りなどの一連の作業が行われている事もあり、レパードに搭載されているオリジナルよりも精度は上がっていると考えて良いだろう。
もっとも、チューニングといっても殆どターボ・ユニットの交換程度で済ませているのでエンジンを構成する各部品類は殆どストックのまま使用されており、特殊なものに関してもオーテック・ジャパン扱いで部品の入手が可能である。
10万キロを遙かに越えたレパードではオイル漏れや補器類(電子制御及び発電装置)のトラブルも散見されているが、特にエンジンの電子制御機器に関してはこの当時の日産車全体の弱点と言えなくもないので、これに関しては注意が必要である。
また、この電子装備にはオーテックの手が入っており(プログラムの変更等)、調子が悪いからといって安易に同グレードのレパードからの中古品等との交換は避けた方が良い。
加えて、ターボ・エンジンである関係からターボ・タイマーの装着は必要と思われる。
当時のレパードにはインダッシュのターボタイマーがオプション設定されていたとも聞くが既に入手難であり、市販品で充分であろう。
取付には市販されているレパード用の接続ハーネスが、そのまま利用出来るので極めて簡単に装着が完了出来るのも利点である。
部品の入手に関しては、現時点ではまだ充分に消耗部品等は供給されているが、特にオーテック関連の専用部品に関してはこれから徐々に製廃となる可能性も否定できないので注意が必要である。
いずれにしろ走行距離が5万キロ程度で、アイドリングの断続的な不調や突発的なエン・ストなどが発生している場合には、まず吸気系のエア・クリーナーの状況(市販のスポーツタイプに換装している場合は、希に不調となる場合有り)を確認後、出来るだけ早期にメンテナンスを受けることをお薦めする。
また、既にそれと解る顕著なオイル漏れの発生が有る場合にはオイル循環系か、エンジン本体のオイル・パッキンが損傷している可能性があり、いずれは大きなトラブルとなる可能性が高く、早期のメンテナンス及び修理をお薦めしたい。
現在、問題なく稼動しているクルマであれば、基本的なメンテナンスの頻度は現在の国産車と同程度の時期で行えば必要にして充分であろう。
間違っても3万キロでタイミング・ベルト交換等というイタ車的過保護の必要はないと考える。
フルレンジ電子制御オートマチック・トランスミッションが全車標準で装備されているが、これもレパードと同じ形式の物がそのまま流用されている。
現在、10万キロ超のレパードでは、その使用状況及び整備状況によって、既にトルク・コンバーターの不具合やロックアップ機構の作動不良などが発生しており、A/T本体に対する耐久性の低さや電子制御機器の脆弱さを問題視する傾向にあるが、基本的には通常の使用においてはかなりの寿命を持つものと推測され、事実、20万キロ以上の使用に耐えた例もある。
しかし、本家のレパードよりも明らかに高出力になったエンジンを搭載している関係上、このA/Tに関してはメンテナンスに気を配っておいた方が得策である。
よく言われる「A/Tフルード」の交換時期に関しては諸説有り断言は出来ないが、概ね3万キロ見当で交換していけば問題ないであろう。
既に3万キロ超の走行距離で、交換が行われているか判別できない場合には、早急にフルード交換を行なって初期化を行っておくことが大切であろう。
恐らく、現在のステルビオ/ガビアで、A/Tの顕著なトラブルが発生している個体は存在していないだろうが、若干の変速ショックの増大が感じ取れ、フルード交換によっても改善されない場合には、市販のオイル・トリートメントを投入してみるのも一つの方法である。
しかし、それが原因となったと推測されるA/Tのトラブルに対して、日産ディーラーは対応してくれない場合が有る事を、よく認識しておいて欲しい。
電子制御関係のトラブルに関してはディーラーへの持ち込み修理に頼るしかないが、最悪でも機器の交換程度でトラブルは解消するので、現時点ではそれ程心配する必要はないと思われる。
デファレンシャル・ギア・トレインは、ビスカス・カップリング方式によるLSDが装備されているが、これもレパードの物の流用であり機械式のLSDほどの作動感は感じ取れないが、比較的ハイ・スピードでのコーナーリングでは明らかにLSD特有の押出し感があり、又、低速コーナーでは意識的にリアをスライドさせることも容易だが、デフに対する負担が大きく余りお薦めできる事ではない。
本来、後輪の駆動トルクの片輪抜けを防止する目的で装備された物であり、サーキット走行やドリフト走行などに対応出来るだけの能力はないと考えられることから、ハードな走行を目的とされる方はNISMO等の機械式LSDなどに換装する事をお薦めする。
通常の走行においては、殆どメンテナンス・フリーとディーラーは説明しているが、より快適な走行とデフの延命を望むなら3〜5万キロ程度に1回はデフ・オイルの交換は行った方が良い。
特に、以前のオーナーによるクルマの使われ方がはっきりしない個体に関しては、保険のつもりで全てのオイル,フルード,クーラントなどの油脂類及び冷却材を交換してしまう事も有効であろう。
ベースとなったレパードでも、その作動感の鈍さを始め、信頼性の低さや耐久性の無さが問題となっているが、残念な事にこの部分も流用されている。
確かに当時の国産車、特にトヨタ系の同クラスの車両と比較すると明らかに劣っており、この時代の日産車全体のウィーク・ポイントと言える。
事実、パワー・ステアリング系のトラブルは低年式のレパードを中心に少なからず発生しており、ステルビオ/ガビアにおいても注意すべき点である。
特にレパードと同程度の車重でありながらトレッドが大きく、更に遙かに太いタイヤを純正で装着している本車は、物理的にもより不利になっており、確かにステアリングの操作感は鈍く、それがダイレクトなドライブ・フィールを得ることを阻害している。
無闇に軽いステアリングは逆に危険であるが、せっかくパワーステアリングの油圧コントロールを選ぶことが出来るボタンまで付いているのだから、この辺りはなんとかして欲しかった部分である。
さて、本題のパワー・ステアリングの弱点であるが、まずパワステ・ポンプの容量不足が考えられるが、これはどうすることもできない。
従って、トラブルの発生源は主にパワーステアリング・フルードの漏れによる油圧の低下が第一原因といえる。
本体のシールやパッキンよりのフルード漏れ、そしてパワステ・ホースの劣化による漏れなどが主なトラブルの原因であるが、前者の場合はパワーステアリング本体のO/Hが必要となり費用は多少かさむ。また、後者はホースの交換だけであるので、ホースの耐用年数を遙かに超えて使用されている場合には早期に交換が望まれる。
フルードの交換については特に時期の指定はないが、その色や状態によって適宜交換が必要であろうと思われる。
日産お得意の前輪ストラット,後輪セミトレ・アーム という定番のもの。
現代のGTやスポーツカーが持つ最新の足廻りから較べると流石に古くささは隠せないが、名車と呼ばれたブルーバード510より連綿と熟成を続けてきたこの形式は、実際に効果があるのか疑わしい最新の足廻りより遙かに単純で、しかも部品点数も少なく、且つ信頼性の高い物である。
本車には8段階に硬さを調整できるショック・アブソーバーと、バネレートを変更した専用のスプリング、若干のワイド・トレッドに対応する為の専用部品で構成されており、有り難いことに10万キロ超のレパードの多くが遭遇している電子制御のアクティブ・サスペンションの作動トラブルなどを恐れる必要はまったく無い。
既に完成されつくしたサスペンション形式なので、弱点と言える物は取り立ててないが、車検時等の定期的なホイールアライメントのチェックと調整、そして、これから距離を延ばしていく事による各ブッシュ類の経年劣化及びショック・アブソーバーのヘタリに関しては適宜交換及びメンテナンスを行ってもらいたい。
これも基本的にはレパードと同様の構造であると考えて良い。
従ってABS(アンチロック・ブレーキ・システム)も同様で日産純正のシステムであり、消耗部品の全ては日産部品共販にて入手出来るが、ブレーキ・ホースの一部は輸出車両用の部品扱いで、しかも、オーテックへの発注となるため入手時間が少し掛かるのがネックである。(殆どの部品は即日、オーテック発注は4〜5日)
ブレーキ・パッドに関しては純正の他、NISMOの通称「赤パッド」も選択できるのでブレーキの制動に不満がある人は、そちらを使う方法もある。
肝心のブレーキ関係の問題点であるが、ハードなブレーキングを行うとブレーキ・マスター・シリンダーの取付部分の強度不足による本体のブレが発生するという事例も出ているが、制動性能を大きく左右するほどの問題ではなく、また、どうしても気になるので有れば、ブレ止め用のプレート(ストラット・バーとセットになっている。レパード用)を追加すれば良いが、あえて、その必要はないと思われる。
取り付けた所で体感出来る程の効果はなく、所詮はファッション的なものであると理解していただきたい。
どちらにせよ、サーキット走行で全開走りをするには明らかに役不足であり、ブレーキ本体を含んだ大がかりな換装が必要だが、ステルビオ/ガビアでサーキットを攻めたいという酔狂な人以外は、現状のままで必要にして充分である。