BOSEのトラブル対策


BOSE・サウンド・システムの修理

 既に、不具合を発生しているクルマも存在しているだろうが、対策としては次の三つが考えられる。

 一つめは、日産ディーラーからメーカーに修理を依頼し、オーディオのO/Hを行ってしまう方法で、この時、注意しなければいけないことは、BOSE特有のスピーカー・アンプの存在である。

 従来品はレシーバー部で音量をコントロールし、コードを介してスピーカーに送るだけだが、BOSEの方式はレシーバー部からは音源の電気信号と、音量に相当する電流を個別にスピーカーに送り、スピーカー本体に装備されているアンプで増幅してクリアな音質を再現しようとしたもので、この、スピーカー・アンプ自体が振動や湿気などで正常に機能しなくなり、結果として不具合を生じさせているのである。

 従って、現在不具合を発生させる要因となっていると思われる部品のみではなく、出来ればレシーバー部とスピーカー全て(不調な物も、そうでないものも)を修理に出してしまった方が間違いがないであろう。

 私の場合にはレシーバー部にも故障があり、その修理後に件のスピーカー・アンプに行き着いたのであるが、故障の度に修理を御願いした為に「こちらを直せばあちらが壊れ」という「不毛なモグラ叩き」を繰り返す結果となったが、根本的な問題は改善されない為(BOSEシステムの脆弱性と耐久性の無さ)に、再び不具合が発生する可能性は残るため、余りお薦め出来ない。


 二つめは、レシーバー部を市販の国産品に交換し、BOSEのスピーカーも取り払って同じ場所に市販のスピーカーを装着するか、市販スピーカーを後部のトレイ辺りに設置してしまうかの、どちらかになるが、いずれにせよ新たにコード類を引き直すか、BOSEで利用していたハーネスを改造して利用することで実現可能である。

 しかし、前者の場合はBOSEのスピーカー・サイズが特殊なので市販品との相性が悪く、車体への多少の加工が必要となるので、稀少なこのクルマのパネルを切り取ったり、穴を開けたりする勇気のある方のみ実行されたい。


 三つめは、一つめと二つめの折衷案でレシーバー部を市販品に交換し、純正ハーネスを利用してスピーカー・コードの代用として純正のBOSEスピーカーを鳴らそうというもので、簡単に言うとBOSEのスピーカーのアンプを殺して、BOSEの純正スピーカーのみを使用するということです。

 つまり問題はアメリカ製の耐久性のないスピーカー・アンプが問題なので、それを使わず市販のデッキで純正スピーカーのみを直接鳴らそう。という方法なのです。

 但し、この方法は、せっかく専用にセッティングされたアンプの特性が生かせませんのであくまでもBOSEの音質とバランスに拘るのでしたら、お薦めは出来ません。

 また、BOSEのスピーカー本体のインピーダンスが2Ωと、市販品の4Ωの半分であり、高出力でオーディオを楽しまれる方はBOSEスピーカーが入力過多で壊れる可能性がありますので注意が必要です。


 この作業はオーナー自身でも可能ですが、その場合には次の点に御注意下さい。
スピーカーとレシーバーの取り外しには、かなりの内装を分解する必要がありますが、その際にウッド・パネルを傷つけることの無いように注意して下さい。

 また、フロント・スピーカー・システムはドアにインチ・ネジで固定されており、更に、そのスピーカー・ユニットも、これでもか、というぐらいインチ・ネジで止められていますが、これの取り外しには、少し特殊なソケット・レンチが必要ですので別途準備が必要です。

 スピーカー・アンプ自体はそのまま残しておいてなんら問題有りませんので、アンプからスピーカーに繋がっているカプラを外して、そこに市販のオーディオからのスピーカー・コードを接続するだけで作業は完了しますが、純正ハーネスを利用してスピーカー・コードの代用としますとキレイに収まります。

 問題の純正ハーネスの改造では、スピーカー側のカプラは4極ですのでカプラをばらすか、市販のカプラに置き換えるか、それともカプラをブッたぎって直接配線してしまう必要があります。また、その際に車体側のカプラの通電テストをして、どの配線がスピーカーの入力になっているのか探し当ててから、スピーカー本体に結線した方が確実です。

 市販のオーディオの配線は全てトヨタを基準に作られていますので、日産車用の別売りの対応ハーネス・キットとダイバー・シティー用の接続ケーブルが別途必要となります。

 私の場合はこの方法で行いました。
この方法ですと、いざというときは元のBOSEシステムに戻すことも可能であり、一番コスト・パフォーマンスに優れる方法であると考えます。


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