心の宇宙

◆心って何?



『心って何?』と聞かれて、みなさんはどう答えますか?いざ聞かれると結
構考え込んでしまうのではないでしょうか。
辞書を引くと、『人間の理性/知識/感情/意志などの働きのもとになるも
の。また、働きそのものをひっくるめていう。精神。心情。意識。』等、辞書に
よってもまちまちで、簡単に定義することは出来ないと精神科医の先生も言
っておられます。

 また、今の医学においては『心=脳』だと、言っておられる先生が多いよう
です。でも実際は、そう言ってられる先生方でも、『心のはたらきが、物質で
ある脳の活動から生まれる謎は、まだだれも解明していません。』と言ってお
られます。しかし、『心=脳』だと心の病気も脳の病気も同じになるはずです。
でも、両者は決して同じではありません。

 ヒステリーなどは、脳のどこにも傷がついてない、脳を手術しても治りませ
ん。しかし、患者さんの心を探っていくとヒステリーの原因がわかってきて、本
人の忘れていた過去の辛い記憶などが、ヒステリーの症状を生み出し、その
記憶を思い出しただけでヒステリーの症状が良くなることも少なくないので
す。このヒステリーの例を見ても、脳イコール心だと言えない事がわかりま
す。脳をいくら解剖してもCTスキャンかけても、心の働きはわからないので
す。

 しかし、そうかといって脳と心はまったく別物かといったらそういうわけでも
ありません。もっと重い心の病気である精神分裂病や躁鬱病に効く薬も数多
く開発され、脳に作用する薬で心の病気が楽になるのです。脳の働きと心が
深くかかわっていることは間違いありません。

 ある精神科医の先生は、脳と心の関係を考えた場合コンピューターに例
え、脳はハードウェア−心はソフトウェア−と言っておられます。なかなか良
い例えで、ソフトは触ることも目に見ることも出来ませんが、確かに存在して
ます。人間もソフトがないと行動することが出来ないのです。しかし、心という
ソフトは、脳を覗き込んでも、何も見えてきません。心というソフトウエアは誰
も知らないのです。ですから、心理学では直接ソフトを解析することを諦め、
その代わり、アウトプットつまり『心というソフトウェア−が働いた結果、何が
起きたか』を研究しソフトの働きを想像しようとしています。

 でも間違いなくいえる事は、心が人間の理性/知識/感情/意志/思考
や行動を生み出してる主体であり源であることは確かなことだと言えます。



◆表面意識(顕在意識)と潜在意識



心について考えていきたいと思います。
心については精神とか意識とか色々と言葉で表現されますが、基本的には
同じ事を言ってると思います。私自身はこれから心について、私の考えを話し
ていく上で意識という言葉を使っていきたいと思います。

 人間の意識は大きく分けると表面意識(顕在意識)と潜在意識とに分けるこ
とが出来ると思います。表面意識は全体の約10%、潜在意識は約90%占
めてるといわれてます。

 表面意識は情報を感覚器官から受け取って、思考し、判断し、決定する。
肉体の随意的な動きも表面意識により管理されています。話したり、目を開
けたり閉じたり、走ったり座ったり、文章を書いたりする時、この表面意識を
使ってます。使った情報は潜在意識に保管され、将来の行動や意思決定の
参考となります。

 潜在意識は過去にあった感覚的な印象と記憶がすべて保管されてます。良
いことも悪いことも、出来事にまつわる感情や周囲の状況も記憶されてます。
非随意的な内臓の機能(消化、循環、生殖)、まばたきもこの潜在意識で管
理され、反射的に繰り返してる習慣や体質もこの管理下にあります。そして、
潜在意識は昼夜問わず働いています。

 睡眠中の夢が潜在意識の産物であることは良く知られています。ある種の
夢は、人生を改善するための解決策を模索する潜在意識の試みです。実
際、潜在意識には問題解決の能力があります。インスピレーションやひらめ
きも潜在意識の産物です。

 偉大な発見や、思想、洞察などは、ゆったりとリラックスした状態にあるとき
の潜在意識の活動から生まれるともいわれています。潜在意識は、ゴールや
答えを設定すると、そこに向かって直進します。独自の感情や意見はなく、す
でに記憶されてる情報を参考に応答します。表面意識が送り込む提案やアイ
デアをそのまま受け入れ、それをもとに行動する。また、現実と想像を区別で
きない。

 潜在意識の力は、表面意識の意志の力より優先する。酸っぱいレモンを想
像しただけでつばがわくのはその為です。そして、自分の習慣や生き方を変
えたければ潜在意識に新しいプログラムを入れてあげればいいのです。



◆潜在意識の宇宙



潜在意識は意識の全体の約90%を占めてますので大変強い力を持ち、意
識に影響を与えてます。

 人間は生まれてきて同じ環境に育っても、それぞれ性格の異なる個性を持
ちます。それぞれの心の傾向性が生まれてきた時からまるであるように、見
事に違います。

 前世または過去世という言葉を聞いたことがあると思います。
ちょうど、『前世療法』で知られるアメリカの精神科医、ブライアン・L・ワイス
博士の来日の記事が5月9日の読売新聞の夕刊に載っていましたので、ご紹
介します。

 博士は1944年生まれで、エール大で医学博士号を取得し、マイアミ大学
医学部精神科教授を経、フロリダにワイス研究所を設立、治療のかたわら講
演を続けている方で、20年前に、神経症の女性に催眠療法を行ったところ、
彼女は自らの「過去世」を思い出し、その過程で癒される体験をし、博士本人
も前世や輪廻転生の問題に目を開かれていき、その後20年にわたり3000
人に及ぶ事例を集め、輪廻や前世の実在を確信したそうです。博士の前世
療法で数多くの方が、過去のトラウマを知ることで、現世の症状が軽減・解消
されたそうです。その間、前世や輪廻を語ったため、多くの批判やからかいを
受けたそうですが、科学者には、常識や偏見に惑わされず、オープン・マイン
ドで物事を見る姿勢が大切だと語っておられ、近年アメリカでも輪廻転生を信
じる人の割合は増えてるそうです。

 博士は、「人間は何回も生まれ変わりながら、愛や慈悲心などを学び、自ら
を高めていく存在です。死は決して終わりではない。肉体は洋服のようなもの
ですが、私たちの魂は不死なのです。」と語っておられます。そして、その過
去の叡智がこの潜在意識の中に隠されているんではないでしょうか?

 その叡智はどれほど深く味わいに満ちた素晴らしいものでしょうか。それ
は、今世だけでない遠い過去から積み重ねてきた自分だけの経験と智恵で
す。それを考えると、なんと人の意識とは深く神秘に満ちているのだろうと言
わざる終えません。

 時代は徐々にですが、精神的価値を見直す方向に進んでいくと思います。
その第一歩を今我々は踏み出しているのです。無限に可能性を秘め広がる
心の宇宙へ向けて・・・・・。



◆心の神秘



心の神秘について、ブライアン・L・ワイス博士の、退行催眠における事例を
紹介いたします。彼女は50歳の南アメリカの方で、閉所恐怖症で苦しんでい
ました。この恐怖症は子供の頃に始まったそうです。退行の中で、彼女はエ
ジプトで奴隷だった過去世で、ファラオの親類だった主人が死んだ時に、生き
たまま葬られたことを思い出しました。死後の世界でも主人に奉仕するため
に、何人かの奴隷が主人と一緒に生きたまま葬られるのが、当時の風習だ
ったのです。閉め切られた狭い墓の内部で窒息する前に飲むようにと、奴隷
には毒薬が与えられていました。このことを思い出したあと、彼女の閉所恐
怖症は消え、二度とぶり返しませんでした。

 こうした症状改善のメカニズムは何なのでしょうか?これについてワイス博
士は次ぎのように語っています。「私の体験では、抑圧した、または忘れてい
た傷になっている辛い思い出を思い出すことが、しばしば癒しにつながってい
ます。その時の感情と共にこうした出来事を思い出すことは、医学用語でカタ
ルシス(感情浄化)、解除反応と呼ばれていますが、これは精神分析やその
他の伝統的な心理療法の基本です。こうした葬られている記憶を意識によみ
がえらせるという行為それ自体が、非常に役立つのです。心理的発掘作業を
子供時代、幼年期だけに留めずに、過去世のくせや記憶も掘り起こすこと
が、完全な癒しが起こるために必要なのです。こうした記憶が症状の改善を
もたらす第二の理由は、他の体、他の時代にいる自分自身を体験し、自分自
身の死や生まれ変わりを何回も目撃すると、自分が永遠の魂であって、単な
るこの肉体だけではないと、はっきり悟ることができる、という事実です。私達
の魂としての真の本質に気づくことが、強力な癒しをもたらすのです。」

 この事例をみただけでも人間の心の神秘を感じざる終えません。それを考
えると、人間の魂はどれだけの長い年月を旅してきているのでしょうか。まさ
に永遠の旅人かもしれませんね・・・。





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