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ワークショップE
2004年11月20日(土)
13:30 - 15:30, 第2会議室
ワークショップE
疫学・公衆衛生・予防
座長:グンナー・ヒラーダル、井内康輝

日本人一般集団における肺癌患者の肺内アスベスト濃度の年代による変化
石川雄一1、佐藤之俊1、高田礼子2、神山宣彦3
1(財)癌研究会癌研究所病理部[日本]
2聖マリアンナ医科大学[日本]
3産業医学総合研究所[日本]


 一般の日本人における肺がんの急速な増加の原因を調査するために、肺の中のアスベスト濃度の年代による変化を分析した。肺中のアスベスト沈着に関し、原発性肺がん(1950年代に8症例、1970年代に47症例、1990年代に53症例)について検証した。また、1970年代における原発性肺がん及び転移肺腺がんの肺中のアスベスト濃度の比較を行った。平均アスベスト小体濃度(AB)(肺(乾)1グラム中のアスベスト小体数)は、1950年代に559、1970年代に1842、1990年代に353であった。1970年代における原発性肺がんの平均アスベスト小体濃度(AB)は男性では2050(48人)であり、転移がんの703(18人)より、有意に高かったが、女性においては有意差は見られなかった。1970年代の原発性肺がんにおける統計的に有意な濃度の増加が注目される。しかし、日本における肺がんの頻度は1950年代から1990年代まで増加し続けているので、アスベスト曝露は、最近の肺がん増加の主要な原因であるようには見えない。