抄録トップページ
ワークショップE
2004年11月20日(土)
13:30 - 15:30, 第2会議室
ワークショップE
疫学・公衆衛生・予防
座長:グンナー・ヒラーダル、井内康輝

環境ハザーズとしてのアスベスト―シチュチン地域の事例
ネオニーラ・スゼスゼニア−ダブロウスカ
ノファー労働医学研究所[ポーランド]

 本論文は、アスベスト・セメント工場附近のアスベスト汚染地域住民における中皮腫発症率及び特定原因別死亡率を示す。
 1959年にポーランドの南東部の農村地域にアスベストセメント工場が建てられた。クリソタイル・アスベスト以外に、クロシドライトが1985年まで、主に圧力管製造に用いられた。 この青アスベストは、加工処理されたアスベストの年平均重量15%を占めていた。アスベスト製造が始まるや否や、加工過程で生じる廃棄物が、地元の村落で利用可能になることが判明した。30年以上、あらゆる種類のアスベスト(管や板を磨く際に生じる湿った汚泥と乾燥した物の両方)の廃棄物が、道路、小道、農場、運動場の舗装のため、あるいは建築材料として利用された。このことは、アスベスト汚染源を地域中に拡大するとともに、肉眼でも見える青アスベストを大量に含んだアスベスト廃棄物が、いたるところにあるという状況をもたらした。汚染地域は、約12,000ヘクタールで、14,000人の人口を有している。
 本プロジェクトは、コホート・スタディとすべてのがんの疫学的観察を合わせたものであった。1987年から2004年までに、スツクズシン地区で58人の胸膜中皮腫が記録された。中皮腫のリスクは、ポーランド一般人口と比較して125倍高かった。 スツクズシン地区の一般死亡率とアスベスト関連疾患の死亡絵率は、アスベストのない近隣地区の死亡率と比較されている。調査対象者は、1975年から2002年までに、最低3年間住んでいた人々からなっていた。
 生態学的な危険がおよんでいるこの地域住民の健康状態を考慮すると、環境改善と健康への影響を防ぐための早急な総合的対策が必要である。