2004年11月20日(土) 13:30 - 15:30, 第2会議室 ワークショップE 疫学・公衆衛生・予防 座長:グンナー・ヒラーダル、井内康輝 キャロリーナ・メンシ1,2、L.リボルディ1,2、G.リボルタ1,2、S.バッチェティ1、D.コンソニ1、AC.ペサトリ1、G.チアピーノ1,2 1ミラノ大学労働衛生学部公衆衛生[イタリア][不参加・論文提出] 2ロンバルディア州中皮腫登録[イタリア] はじめに ロンバルディア州中皮腫登録(LMR)は、国の法律に基づき国家中皮腫登録所の地域運営センター(ROC)として2000年に活動を開始した。この登録所は、2000年1月1日以来、イタリア北部のロンバルディア地域に住む人々に発症した胸膜、腹膜、心外膜、精巣鞘膜の悪性中皮腫(MM)に関する全ての新たな症例を収集している。 目的 この地域の悪性中皮腫の発生率を推定すること、アスベスト曝露を定義すること、未知の汚染源を特定すること 方法 毎年、約300の疑わしい症例が、各病院の選別された部門(病理学、呼吸器内科、外科、腫瘍科)から積極的に報告されている。それぞれの症例の診断は、イタリア中皮腫登録ガイドラインに従った臨床記録を検証することで確認されている。中皮腫と確認された症例については、アスベスト曝露を確かめるために標準化されたアンケート調査が患者またはその近親者に実施される。 結果 2000年から2003年の間の697症例が現在までに評価されている。その診断結果は、確実(certain):416症例(60%)、ほぼ確実(probable):78症例(11%)、可能性あり(possible):40症例(6%)である。160症例(23%)については、中皮腫の診断は確認されなかった。臨床的に確実性の高い(確実+ほぼ確実)悪性中皮腫(MM)494症例(男性338人、女性156人)について、その年齢の中央値は68歳(範囲は35〜96才)であり、最も発症が多い(発症例の94%)部位は胸膜であった。アスベストに対する職業的曝露は症例の60%に見られた。最も重大な曝露は、建築業、金属製造業、機械製造業、及び保守管理業であった。意外にも、非アスベスト織物工場で高い割合の中皮種の症例が見出された。悪性胸膜中皮腫の年齢標準化発症率は、男性及び女性がそれぞれ3.8/100.000(人口10万人に対して3.8人)[95%信頼区間:3.1〜4.4]及び1.4/100.000 (人口10万人に対して1.4人)[95%信頼区間:1.1〜1.7] であった。 結論 悪性中皮腫(MM)の発症率は、イタリアで最高であった。予想されていなかった高いリスクが非アスベスト織物作業者に見られた。 |