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ワークショップD
2004年11月20日(土)
11:10 - 12:30, 第2会議室
ワークショップD
アスベスト訴訟
座長:古川武志、バリー・キャッスルマン

米海軍横須賀基地石綿じん肺訴訟について
古川武志
弁護士、古川武志法律事務所[日本]


 横須賀市は、東京湾の入口に位置し、明治維新後から海軍の重要な基地と海軍工廠がおかれていた。1945年の敗戦後、この基地と海軍工廠は米海軍が接収し、日米安保条約により、今日まで、米海軍第7艦隊が使用している。
 1945年の敗戦後、米海軍は、この横須賀基地に艦船修理廠を置き、航空母艦、潜水艦等様々な艦船の改修、修理に使用した。特に、朝鮮戦争、ベトナム戦争時には、修理作業は繁忙を極めた。
 軍用艦は、被弾の際の防火のため、艦内にアスベストを多用しているが、米海軍は日本人従業員の健康問題に関心が低く、基地の日本人従業員は1980年頃までアスベストの危険性を全く知らされず、防護措置をとらないままアスベスト製品の取付、除去作業に従事した。
 1980年から基地内でようやく大規模に行われるようになった法定のじん肺検診で基地の日本人従業員の石綿じん肺罹患の問題が明るみに出た。
 1999年7月、患者単位で12名の元基地従業員が、雇用主である日本政府を相手に地方裁判所に提訴し、2002年10月に全員勝訴した。しかし、日本政府は患者単位3名の原告につき10年の消滅時効の完成を理由に控訴し、高等裁判所、最高裁判所は、原告敗訴の判決を下した。現在、地方裁判所に患者単位22名の第2次訴訟、患者単位11名の第3次訴訟が係属している。