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ワークショップD
2004年11月20日(土)
11:10 - 12:30, 第2会議室
ワークショップD
アスベスト訴訟
座長:古川武志、バリー・キャッスルマン

横須賀・造船労働者のじん肺・アスベスト訴訟
野村和造
弁護士、神奈川総合法律事務所[日本]


[住友重機石綿じん肺第1次訴訟]
 横須賀の造船所(住友重機械株式会社)において長年働いてきた元従業員8名は、1988年夏、同社に対して、損害賠償訴訟を提起した。原告らは、石綿粉じん等の粉じんに曝露され続けてきた結果、じん肺に罹患し、肺がん、中皮腫罹患の危険におかれていると主張し、会社はこれを争った。裁判は約8年8か月に及んだが、1997年春和解成立(なお、その後1名が肺がん、1名が胸膜中皮腫で死亡している)。
 この和解を受け、会社と労働組合間で、退職者に対するじん肺・アスベスト関連疾患に関し、上積み補償協定が締結された。これは、造船会社では初めてのことであり、その後、他の造船会社もこれに続いて上積み補償協定を結ぶようになった。

[第2次訴訟の提起]
 2003年夏、住友石綿じん肺第2次訴訟が提起され、現在、横浜地方裁判所横須賀支部に係属中である。
 原告は、じん肺に罹患した元従業員11名と、胸膜中皮腫で死亡した元従業員の遺族。会社は、前記協定の補償対象者にあたらないとし補償を拒んでいた。原告らは自らの救済だけではなく、より広範な退職者の救済を認める新協定の締結を目指している。