2004年11月20日(土) 11:10 - 12:30, 第2会議室 ワークショップD アスベスト訴訟 座長:古川武志、バリー・キャッスルマン 白石昭夫 NPO法人愛媛労働安全衛生センター[日本] 696:1 そして 11,871:1 これら数字は1991年アメリカ連邦裁判所での発電所集団訴訟件数と日本における発電所訴訟件数の比率であり、原告人数の比率である。この数字から読み取れることは日本の被災が少ないことではない。日本におけるアスベスト被災に対する認識の遅れや、被災者救済への取り組みの遅れである。 それ故、このケースは日本におけるアスベスト被災に対するさまざまな問題を提起している。 なぜ労災保険制度による補償の請求ではなく裁判として行われたのか なぜ企業はアスベスト被災を認めようとしなかったのか なぜ発電所労働者の被災例が少ないのか アスベストの有害性は周知の事実であり、職業病としての認定基準が示され、被災者への補償制度も確立している。大学病院など専門的な病院では悪性中皮腫などの診断がなされ、死体解剖や学会への報告がなされている。しかし、労災保険補償請求制度が知らされず、請求権の時効により裁判を求めざるを得なかった。 日本独自の下請けや孫受け会社の制度は、劣悪な作業を下請けさせ、労働災害や職業病を社外に放り出している。このケースはまさに正社員に起きたアスベスト被災であり、全国の発電所に関係する重要な裁判であった。 |