2004年11月20日(土) 09:30 - 11:00, 第2会議室 ワークショップC 労働組合のイニシアティブ 座長:山口茂記、宮本一 紺谷智弘 全駐留軍労働組合[日本] 1996年6月の新聞報道において、奈良県立医科大学の車谷典男先生らが行った「造船労働に伴うアスベスト曝露作業者の死亡状況に関する歴史的コーホート研究」の調査結果が発表された。内容は、「在日米海軍横須賀基地のアスベスト取扱い職場で働いた人の肺ガン死亡率は通常の人の3倍にのぼり、じん肺や気管支炎にもなりやすい」というものであった。 この報道がきっかけとなって、全駐労は、神奈川労災職業病センターの協力を得て、当時の現地雇用主であった神奈川県に強く働きかけ、県は1997年から3年かけて13,353人の元従業員への健康管理手帳の周知事業を実施した。 一方で、労災の上積み補償を巡っては、3次に渡る石綿じん肺裁判の支援を通じて補償を求めてきた。第1次の裁判は、2002年10月に原告側全面勝利の判決が下りたことから、全駐労は、防衛施設庁に対して、「石綿じん肺被災者の早期解決と労務管理・労働安全衛生に関する雇用主の責任体制確立の申し入れ」を行い、安全対策は基地管理権の範疇ではすまされない問題であることを強く指摘した。 これに対して施設庁は、「今回の判決は重く受け止めている。今後は第2次訴訟やじん肺の潜在的な罹患者もトータルで考えるならば、他のじん肺裁判の請求事例や同種の裁判に対する行政の労使における疾病の対応など、全体を考慮して具体策を明らかにしたい」と回答している。 |