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ワークショップC
2004年11月20日(土)
09:30 - 11:00, 第2会議室
労働組合のイニシアティブ
座長:山口茂記、宮本一

地域労働運動からのアスベストに対する取り組み
森田洋郎
全日本自治団体労働組合[日本]


 横須賀においてはいわゆる旧総評系労組の集合体である地区労働組合協議会が存在する。全造船、全駐労、日教組、自治労などにおいて組織され、地域課題について取組みを行う。1988年に提訴された横須賀住友石綿じん肺訴訟は、労働組合主導で集団的に初めて提訴した労働災害訴訟としての提起であった。地区労働組合協議会はその役目として関係者とともに、被告会社のみならず地域運動として市役所、労働基準監督署、裁判所等への対策を開始し、広く地域に訴えかけを行った。その後、横須賀米軍基地における提訴が全駐労からなされるなど、裁判も広がりを見せている。今後も地域への取り組みとしてアスベストの存在と危険性や、被災者救済の活動を続けていく必要がある。なによりもこの取組みを通して、私たちの労働組合がアスベスト問題を学んだ。
 横須賀市においては1987年当時、学校施設等でのアスベストの除去対策があった。私たちもこの当時は国からの指示にもとづいた除去ということに疑問を抱かずにその対策を見守っていた。しかし最近になり当時の国の対策が、アスベスト含有率が5%未満のものには何ら対策を講じないという偽りがあったことが判明した。そこで現在、含有率5%未満のアスベスト調査を横須賀市全ての公共施設において、当局の調査と平行し、組合員による職場点検活動を行っている。また、PCB(ポリ塩化ビフェニル)入りコンデンサの放置による組合員の被災も最近発生し、こうした危険物質に対するずさんな管理が明らかになっている。これらのことはそこで働く労働者の被災問題のみならず、公共施設という性格からも犯罪行為と言わざるを得ない。私たちの労働組合にはアスベスト犯罪を調査し公表する責任がある。